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選挙で投票先を決めるために知っておくと良い6つのステップ

東京都議選のときに「支持する政治家も政党もない人は、どうやって投票先を決めたら良いか」というnoteを書いたら、好評でした。やはり、こういう悩みを持っている人は多いですね。

というわけで、東京都だけじゃなく、日本全国の人が関係する今回の衆院選バージョンも書いてみたいと思います。

都議選の時も書きましたが、「誰に投票すればよいかわからない」「投票したい人がいない」というのは、選挙に行かない理由としてよく聞きます。政治に全く関心がないわけではないけど、自分の選び方に自信がない。支持政党はない(僕もです)。そういう人向けの記事です。

都議選の時も書きましたが、「そもそも情報が足りなくて選べない」と思っているあなた!

実は4年前の衆院選と比べても、ネットで簡単に手に入る情報は激増しています。前回は選べなかったとしても、今回は投票先が見つかるかも。ネットや社会はこうやって進化していきます。

内容は一部が都議選とダブりますが、衆院選向けの便利なサイトやツールも続々と出ているので、それらも紹介します。

1. まずは選挙サイトで選挙区の候補者を確認

選挙の投票用紙(正確には「投票所入場整理券」)が家に届いたら、まずはインターネットで自分の選挙区を調べてみましょう。

使いやすいのは選挙ドットコム。郵便番号を打ち込むだけで、自分の選挙区と候補者が分かります(この機能、他の社も真似したらいいのに)。

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東京1区だとこんな感じで候補者が並びます。ワードクラウドで、候補者が重視している社会課題や政策も視覚的に分かります。

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2. 比例代表の各ブロックの候補も確認

衆院選は「小選挙区比例代表並立制」と言って、自分の住んでる選挙区(小選挙区)から立候補する候補者だけでなく、政党も選ぶ(比例代表)の2票があります。

比例代表は北海道、東北、北関東など全国11ブロックに分かれています。NHKのサイトがとても見やすいです。例えば、九州ブロックは...

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各政党名をクリックすると、各党の候補者も並んでいます。たくさんいますね。こんなの、誰に投票すればいいかわからないと呆然とした人のために、この記事はあります。

最初にすることは、ふるいにかける。

3. 政党で「投票しないところ」を決める

各政党は国の重要な政策について方針がわかれています。税金や社会福祉、外交問題、新型コロナウイルス、選択的夫婦別姓や同性婚などなど。

自分が興味のあるテーマで各党の意見を確認してみましょう。近年いろんな団体が政党や候補者にアンケートをするようになり、その結果をネットで公表しています。10年前と比べて、圧倒的に投票先を選ぶための情報は増えていると言えるでしょう。

JAPAN CHOICEは経済、働き方、教育、環境、ジェンダー・LGBTQ+、移民・外国人、政治改革、地方創生など、分野を細かく分けて各党の政策を比較しています。

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こういう風にどこかの組織がまとめた政策比較ではなく、各党が発表している公約をより詳しく見たいという人もいるでしょう。その場合は、NHKのサイトがお勧めです。

各党の公約を9つの政策に絞って、簡潔に紹介しています。

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僕は選択的夫婦別姓や同性婚に関心があるので、その点を深堀りしたい。そういうときはGoogle検索です。「選択的夫婦別姓 衆院選」などで検索すると、たくさんのメディアの記事や関係する団体からの発信があります。

中には、公約で書いていることと、候補者が違うことを言っているケースも見つかるでしょう。その政党には、その政策に関してブレがある、ということもここから分かります。

こうやって各党の考えを確認した上で、僕の場合はまず「投票しないところ」を決めるようにしています。これで選択肢を半分ぐらいに減らせます。

でも、これだけで投票する人を決めてしまうと、候補者個々人を見極められません。次のステップです。

4. 候補者個人の考えを確認する

候補者の考えは、街に貼っているポスターを見てもよく分かりませんし、日本全国にたくさんの候補者がいるので、新聞やテレビを見ても自分の選挙区の候補者の考えは少ししか書かれていません。

こういう時こそ、インターネットです。

朝日新聞と東京大谷口研究室は国政選挙のたびに、候補者に非常に細かなアンケート調査「朝日・東大谷口研究室共同調査」を実施しています。今回の衆院選でも候補者1051人中974人が回答している網羅性が高い調査です。

様々な政策に関する個々の候補者の考え方を、選挙区ごとに調べることができます。

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しかも、各党の候補者の考えの平均値を割り出したチャートも公開しています。各党の公約との整合性はあるのかをチェックすることもできます。

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朝日新聞だけでなく、NHKのサイト日本テレビとJX通信社による候補者アンケートもあります。こちらも見てみると良いでしょう。

これで投票したい人や政党をかなり絞り込めたのではないでしょうか。ここからが最後の仕上げです。

5. 大切なのは言ってることだけでなく、やってきたこと

選挙で訴えることと実際にやることが違う政党や候補者は、たくさんいます。言ってることだけでなく、やってきたことを見る必要があります。

先ほども紹介したJAPAN CHOICEは与党の公約実現度を公開資料から調査して公開しています。なぜ、野党は調べないのかというと、政治を動かす中心は与党であり、野党の公約実現はそもそも与党に阻まれがちだからです。

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政党だけでなく、候補者個人が何をやってきたかも知りたいですよね。候補者の名前を検索してみましょう。その人がどういう活動をしてきたか、問題のある言動なども見つかるかもしれません。

ここで注意しないといけないのはいわゆる「フェイクニュース」です。検索で出てきた情報が正しいとは限りません。発信元がはっきりしない匿名情報などをすぐに信じることは危険です。それが事実で、かつ、重要な内容であれば、政治家の言動は他のメディアやジャーナリストも報じているはず。そうでなければ、信頼性が低い情報かもしれません。

国会でどんな発言をしてきたかを知りたければ、「衆議院議員活動統計」というページもあります。国会の本会議や委員会の出席数や発言数が文字数レベルでまとめられています。

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どういう風に参考にしたら良いかは、僕が7年前にこのデータベースを紹介した記事も読んでみてください。

僕は、その人の経歴や政治家としての活動歴も、細かくチェックするようにしています。そのうえで、最終的に一番期待できそうな人に(いなければ一番マシな人に)投票します。

一番重要なポイントは「あなたと全ての考えが一致する候補者や政党なんて、存在しない」ということです。当たり前ですよね。全ての考えが一致する人なんて、家族や友達にもいないはず。まして、政治家にいるはずない。

なので、比較的良い人を選ぶことを心がけましょう。比較的悪い人よりは良いはずなので。

6.衆院選挙でもう一つ重要な「国民審査」

衆院選で忘れてはならないのが「国民審査」です。司法のトップに立つ最高裁判所の裁判官たちが、その任に適しているのかを有権者がチェックできる重要な機会です。

選挙の投票先を選ぶのにヘトヘトで「裁判官のことまで調べるのは大変だ」と思ったそこのあなた!NHKが素晴らしいサイトを作ってくれました。

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このサイトを見れば、審査対象となる11人の裁判官の経歴や、話題となった主な裁判でどういう判断を下したかが分かります。

選挙と一緒で、あなたが気になる裁判について、どうだったか調べてみましょう。例えば、夫婦別姓、一票の格差、医者免許なしのタトゥーなど、様々なトピックで、裁判官たちが異なる判断を下していることがわかります。選びがいがありますね。

誰になんで投票したかメモしておこう

最後に重要なポイントです。誰になんで投票したかメモをしておきましょう。すぐに忘れてしまうので。前回の選挙で投票した人は当選しましたか?その人は期待外れでしたか?

そのチェックのためにもメモしましょう。

まとめ

・まずは政党から絞り込む
・候補者で絞り込む
・残った候補者名で検索して決定
・最高裁判所の判事もしっかりチェック
・投票した人と理由をメモして次回に備える

誰に投票するかに正解なんてないし、正しい選び方もありません。あなたが好きな方法で、好きな候補者に投票すればいい。それが民主主義です。

どうしても投票したい政党や候補者がいない。そういう時には投票しないことも、あなたの自由です。しかし、そのあなたの「投票したい政党や候補者がいない」という声は「選挙に関心がない」という声と区別がつきません。

東京都議選の記事にもつけた、最後の文章を今回も添付しておきます。

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最後に(ちょっと長いけど)一言だけ。

僕は新聞記者時代にミャンマーを取材していました。2010年に20年ぶりに選挙が実施され、軍事政権からの民主化が進んでいたころです(残念ながら2月のクーデターで歴史は逆戻りしました)。

軍事政権が長く続き、自由も選挙も存在しなかった国で、民主化を求める学生デモに参加し、20代と30代の大半を牢獄で暮らした男性にヤンゴンで話を聞いたことがあります。

彼は自分を逮捕し、虐待した軍への恨み言ではなく、未来への希望を語ってくれました。選挙が始まり、人々が選んだ政権によってミャンマーは変わっていく、と。

僕はふと、聞いてみました。日本では投票率が低く、特に若い世代に政治への無関心が広がっている。ミャンマーもいずれそうなるんだろうか、と。

それまでの笑顔が消え、考え込んでから、彼は答えました。「私達は民主主義のために戦ってきた。そのことを忘れないでいて欲しい」

投票する権利は、昔からあったわけではありません。誰かが戦ってくれて、託されたものです。彼が希望を持って語ってくれたように、僕も自分たちの一票で国を変えていくことができる、と信じています。

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