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パフォーマンスと化すDXと、「申請主義」という深刻な課題

コロナにはじまった2020年も、終わりが見えてきた。
この1年は、政治・行政にとって、相当のインパクトもある1年だった。コロナショックという未曾有の事態に、人々からの政治・行政への期待も高まったし、10万円給付金の手続きがきっかけとなり行政サービスのアップデートが進み、デジタル庁の発足や脱はんこなど、DX化の議論も加速している。

表面的な議論が進むDX

全体としては、DX化が進むことで、行政サービスは効率化・高品質化が進むので、自治体職員と住民にとって良い流れであることは間違いない。

しかしながら、ぼくはDX化の議論に若干の不安を持ってしまう部分もある。
それは「イケてるテクノロジーを使って、便利になった方がよくない??」みたいな、DXの表面だけが見られてしまうことだ。

ぼくも新しいテクノロジーにはワクワクする気持ちはある。そして、それを実装したくて、気づけば「これって、本当に住民みんなが使いこなせるんだっけ?」みたいな未来がきてしまうかもしれない。
また、脱はんこや脱FAXなどの、行政の手続き簡略化は「今、マイナスなものをゼロにしよう」といった視点で語られることが多く、本来は前向きな議論にも関わらず、ネガティブに映ってしまうかもしれない。

DX化は行政サービスを根本から変えうる可能性があるにも関わらず、表面的なアクションで終わってしまう -そんな不安が拭えない。

では、「DX化によって、行政サービスを根本から変える」とはどういうことか?
それは「申請主義」という考え方のアップデートだ。

本質的な課題は「申請主義」

日本に限らず、世界中の行政のサービスは、そのサービスを使いたいと思う人が、自分で申し込まない限り、使うことができない。
例えば、全国民への10万円給付も、自分で申込書を書いて、郵送しなければ、振り込まれなかった。
給付金は、家のポストに申込書が届いていたので、まだ申請な方だ。

子どもがいる家庭では、育児給付金や保育園の申し込み、医療費控除…、高齢者の方がいる家庭ではデイサービスや施設の利用申込み、その前提となる要介護認定の判断…、もっと身近な例では、引越しする時には自分から役所に行って手続きをしなければ、住民票の更新ができない。
一見当たり前に見えるが、もし「引越した時は役所で手続きしなければらない」と知らなかったり、仕事が忙しい・具合が悪いなどで何も手続きをしなかったら、どうなるのだろう?

このように、行政サービスは「自分が使える制度や申請しなければならない事柄を、自分で調べ、自分で申請しなければ使えない」という「申請主義」が前提となっている。

この結果、例えば、コロナ禍で、大学生や経営者が、本来は使えるはずの給付金の存在を知らず、もらい損ねてしまったケースがたくさんある。より踏み込むと、生活保護の申請などで、命に関わるケースもたくさんある。


このように「使いたいと思う人が、自分で申し込まない限り、使うことができない」という申請主義が、行政サービスの質向上における、最大の壁だ。


申請主義をアップデートしていく

DX化の議論は、こうした「申請主義」を打ち破る可能性を大いにもっている。
例えば、千葉市で実証実験が進められているが、アプリを入れておけば、自分に見合った行政サービスをプッシュ通知で教えてくれる。

POETOが運営する「POTOCU」では、簡単なアンケートに回答していくだけで、自分が使える支援制度を教えてくれる。

このように、「不便な手続きが楽になる」「便利になった方がいいよね」といったキャッチーだが表面的な変化ではなく、DX化によって「本当に必要な人に、必要な支援が届く」という未来が期待できるのだ。

骨太にDX化を考えるイベントを実施

そんな思いから、NEWPEACE thinktankでは、誰ひとり排除しない社会の実現を目指し、社会福祉士などのソーシャルワーカーが中心となったNPO法人「Social Change Agency」、アドボカシーを中心としたパブリックアフェアーズのコンサルティング専門機関の「マカイラ」、デジタルコミュニケーションを活用して政治を身近なものとする「POTETO」とともに、「DXと申請主義」について骨太に推進していく。

そして、まずは第一弾として、12月16日にオンラインイベントを開催、素晴らしい取り組みを実践している自治体・企業を招き、事例の共有と議論を行っていく。
参加費は無料ながら、高い専門性を持ち、実直に取り組まれている豪華なゲストが揃っている!ぜひ参加いただきたい!

参加申し込みはこちら↓↓
https://japangovtechaward001.peatix.com/

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