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ブライダルメタル

azitarou=サンがこのような記事を書かれていたので、ふと私も自分の結婚式を思い出すなどした。

私はほんっっっとうに結婚式に対するモチベーションが低かった
なんか…もう何もかもが茶番に思えてくるんだよね。何が「初めての共同作業」だ、とか、ふたりの馴れ初めなんてものを大々的に他人に発表してどうすんだ、とか思ったり…とにかくああいうのが苦手で…。やるならオタクらしくディープな内容をやってみたくもあったが、さりとてそこまでの気合もなく、ただただ流されるままに無難な式を挙げたのだった。まあ双方の親戚の顔を立てるためにも不可避なイベントだからしょうがない…と、だいぶ後ろ向きだった気がする。ちなみに馴れ初めエピソード公開は断固としてやらなかった。

だがしかし。一点だけどうしても譲れない、これだけはモチベーション低いなりにこだわりたいものがあった。
そう、音楽である!

結婚相手も私もメタラーだ。ヘヴィメタルという類の音楽が大好きだ。
己の人生の節目たるめでたい祝いの席で重低音を響かせない手はないだろう。当日の音響担当のお兄さんに厳選した音源を聴かせ、いやここではもうちょっとBGM的な邪魔しない音楽を…などとたしなめられたりしつつ……プレイリストが完成した。
そして今でも、参席してくれた人(の一部)の間で語り草になっているのが、披露宴の序盤のプロトコルを終えてさて宴のフェイズに入りましょう、というタイミングで流したこの曲である。

確か宴が始まる合図として、スイーツバイキングが設置された庭が開け放たれる、とかいう演出だった気がする。そのタイミングで「ライララララライ」である。野太いおっさんの声で。
まさに北欧の森でヒゲモジャの妖精さんたちが酒だ宴だとはしゃぐさまが披露宴にピッタリだ!と自信満々の選曲。これ以上の曲はないと今でも大きく頷ける。そしてこちらの自信を裏付けるように、参席者(の一部)がこの時バカウケしていたのを覚えている。大成功だった。

その後はもうRainbowやらDioやらOzzy OsbourneやらJudas Priestやら、新郎新婦の大好物ばかりを好き勝手流したので本当に楽しかった。参席者にウケなかろうが関係ねえ!おれたちはこれが好きなんだ!これはおれたちのための祭りなんだわかったか!もしも音楽すら好きに選ばせてもらえなかったら、私は式の間ずっと死んだ目をしていたことだろう。冒頭に書いたように私は心の底から結婚式のモチベが低かったので、己にとっての一大シーンで大好きな音楽とともにあることができて本当に良かったと思う。

そして、新婦から新婦両親への贈り物を手渡すというお涙頂戴コーナーでは、Steve Vai=センセイの泣きのギターをお見舞いしてやった。私はその時既に疲れきっており、涙など1mlも出なかった上に両親の表情もろくに覚えていない体たらくだが、きっと感動してくれたことだろう。そうに違いない。うん。

ちなみに私の音楽好きは親譲り(親はメタラーではないが)で、父親は披露宴のためにオリジナル楽曲を作り、紋付袴姿でアコースティックギター弾き語りをやってのけた。これも参席者の間で評判だった。音楽まわりでは話題に事欠かぬ式となった。
まあ、この演奏中に私ときたら、お色直し中に出されたせいですっかり冷めきってしまったメインディッシュの肉を貪り食っていたわけなのだが…そのせいで父親からチクチク言われたが、ちゃんと聴いてたよ!それに司会のお姉さんに言われたんだもん、「新婦はほとんどお料理を食べる暇がないから、お父さんの演奏中に食べるといいよ。身内だしそれぐらいなら許されるから」って!ごめんって。

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