noteの人と会ってきた 上

 先日noteで知り合った人とリアルで会った。
 きっかけは一通のDMだった、noteに私のことを書きたいという内容だった。ネタがほしかったので丁度良かった、個人情報以外ならどんなことでも書いて良いのはありがたい。

 下のリンクから山田視点の記事が読めます!併せてどうぞ。

山田さんですか?」

 仕事でもないのに白のワイシャツ姿、何故かiPhoneの箱を手に持っていた。身長は私より少し低いか同じくらい、黒ブチメガネが似合う一般的な男性だった。
緊張している様子だったので天気の話でもしようかと思ったら、先手を打たれた。話の主導権を握られると敗北感のような遣る瀬無い気持ちになる。

 お昼過ぎの少し混んでいるカフェに入る。待合席で簡単な自己紹介程度の会話をした。

「今年20歳になりました」

そう言うと目を丸くして驚いていた、よく24歳くらいに見られるので予想通りの反応だ。その後も学校でどんな勉強をしたか仕事をしているかなど、たまに会う知り合いと会話をしている気持ちになる。

席に案内されると何を頼んでもいいと言われた。奢ったんだからヤらせてくれと言われるのを警戒して中の上くらいのハムサンドを選んだ。
山田は見た目よりもたくさん食べると言う印象だった、二人席の机上は食べ物で埋まった。

 もっとがっつりそう言う質問をされるのかと思っていたが以外にも「オススメの本」を聞かれて驚いた。
 正直、インタビュー料にしては高い一万円札を受け取ってからその額に見合う時間をカラダ以外で提供できるのか自信がなかった。
自分には手札があまりない、若い女の身体とちょっとかわいい顔くらいしかない。それを最大限活かせない状況の今、何を持って山田に価値のある時間を提供できるのか精一杯考えながらコーヒーを飲む。

「席、近いですね」

 普通の感性の人なら話しづらいと思うのだろう。とうの昔に失ってしまった感覚だ、隣の席の会話なんてよっぽど興味がないと聞かないとはわかっていてもイヤラシイ話題になると声を潜めたり自慢をするときは声が大きくなる、ヒトらしくて素敵だと思う。
十代になって初対面の男に抱かれているうちに「恥」が減ってきた。流石に肌を見せるのは対抗があるけれど、そういう話題について抵抗がなくなった。

 援助交際や酒などグレーな話をしながら食べ進める。初めてはいつだとか援助に来るお兄様方に何万回もしたような話をした。援助交際にも順序があってAVのインタビューシーンみたいなものが存在する。

1.こういうこと結構するの?
2.初めてはいつ?
3.どうしてこういうことしてるの

私的ベスト3だ。もれなく山田も三点セットを聞いてきた。
男の人は女以上に'はじめて'を重要視している節がある。もう過ぎてしまったことを話すよりもこれからの未来の話をした方が有意義な気がすると思いながら、いつも通り全てに答えていく。同情というよりは尊敬しているような反応をされた。

誘われると断れないんですよ

 そう口にしたとき山田に焦りが見えた。全く誘う気は無い、都合の良い返答を選んでしまう癖が染み付いているだけだ。

 なんとなく飲み物の追加を訪ねてみた、これで頼まずに個室に行きたがったらあの一万円はそういう意味を持つものになる、出来心で30代の男を試してみた。

「あっ、頼みます」

頼むんだ。

届いた紅茶をすごい勢いで飲んでいた、排水溝か?

結局めちゃくちゃ行きたいやんと思いながら記憶にも残らない話をした。今書いていても思い出せない、インターネットで知り合った人と会うのが当たり前になり過ぎて山田のことも車窓を流れる景色程度にしか捉えていないのだと思う。

 お会計をそそくさと済ませて待望の個室に向かう。少しベタつくぬるい風を浴びながら歩く、小一時間話して不器用ながらも私のことが本当に知りたくて諭吉を渡してまで会いにきてくれたのだと伝わってきた。個室に二人っきりになっても何も起こらないだろう、そう確信を持ってエレベーターに乗り込んだ。

またたび。

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