高校数学をもっと楽しく面白く

高校で数学を教えています。高校数学の魅力を多くの人に伝えたいと思っています。 空いてる…

高校数学をもっと楽しく面白く

高校で数学を教えています。高校数学の魅力を多くの人に伝えたいと思っています。 空いてる時間に少しずつ記事を書くので頻繁に投稿することはできませんが、温かく見守ってください。

最近の記事

定規vs.コンパス 仁義なき口ゲンカ

定規(以下『定』):だからあ,俺の方が優秀だって言ってるじゃん。 コンパス(以下『コ』):いやいや,あなたってできること少ないでしょ。 定:何言ってんだよ,作図の主役はこの俺様定規だぜ。すっと置いて,さっと引く。気持ちよい直線が何本も引ける。理論上は無限の長さの直線が引けるんだぜ。 コ:私だって,プスっと刺して,さっと回す。気持ちよい円がいくつもかけるわよ。理論上は無限に大きい円もかけるし,何より私は作図のときに『長さを測りとる』ことだってできるのよ。 定:じゃあ,俺は俺だ

    • 対偶って面白いかも

       高校数学では論理についてきちんと学ぶ機会があります。それが「論理と集合」という単元です。ここでは、命題やその真偽について学んだり、必要条件や十分条件についても学んだりします。また、命題の逆・裏・対偶についても学習します。  この辺は数学というより論理学という方が適切かもしれません。もちろん、数学という言語(自然科学の法則を正しく記述するための言語)をきちんと扱うためには、論理について正しく学ぶ必要があります。  今回はその中の一つである対偶についてお話しします。  ある

      • 得点も,平均点も,順位もすべて同じなのに,偏差値は違う話

         A君は悩んでいます。定期テストの結果が返ってきたものの,この成績が良いのか悪いのか判断できません。  成績の評価の方法はいろいろあります。内容をどれだけ理解しているかという到達度で判断する方法(絶対評価)もありますが,今回は同じクラスの人と比較して,自分がどれくらいの位置にいるのかで評価したい(相対評価)と思っています。  ということで,国語は70点,数学は65点でしたが,どちらがよい成績なのでしょうか?  という質問を生徒に投げかけると,「情報が少なすぎる」という返事が

        • 放物線はどこにある?

           ほとんどの学校で高校1年生の1学期に学習する2次関数。そのグラフの形のことを放物線ということを中学校で聞いたことがある人も多いでしょう。実はこの放物線は、日常生活のいろいろなところに現れます。ここでは、思いつくまま日常生活に潜む放物線について述べてみます。 ①物を投げたら放物線  これは、その名のとおり放物線ですね。ボールを投げたときに,そのボールが描く軌跡が放物線です。右の写真のように,噴水における水の軌跡も放物線になります。このような線を描くのは,地球の重力に物が引

        定規vs.コンパス 仁義なき口ゲンカ

          高校生×モンティ・ホール問題

           モンティ・ホール問題と言えば確率論では有名な問題です。もともと,アメリカのゲームショー「Let's make a deal」の中のゲームをモチーフにした問題で,その司会者のモンティ・ホールの名をとって「モンティ・ホール問題」という名がついています。問題の意味は中学生でも分かりますが,その解答の意味は大人にとっても難しい。そんな難問に対して,高校生が立ち向かうとどうなるのかというお話をしましょう。  まずは,問題についてテレビショー風に説明します。高校生の健が,うっかりア

          高校生×モンティ・ホール問題

          数学の教科書では教えてくれないピタゴラスの話

           中学3年生のときに,有名な三平方の定理を習いましたね。そのときに学校の先生が,「この定理には別名があって,『ピタゴラスの定理』といいます。ピタゴラスはこの定理を・・・。」という話を聞いたことでしょう。中学校の数学では人名がついた公式や定理を目にすることがほぼないので,人名がついた定理に興奮し,しかも,それが有名な「ピタゴラスイッチ」の名前の由来であることに驚き,中には「私も定理を証明して,歴史に名を残そう」と思った人もいるのではないでしょうか。  ところが,そんな偉大な数

          数学の教科書では教えてくれないピタゴラスの話

          因数分解は何のためにするのかを、スライムを倒しながら考えてみる。

           中学から高校の数学で学習する因数分解って,ただの計算練習のように感じる人も多いのではないでしょうか? 授業中に「因数分解は何のためにするの?」と聞くと,しばらく考えてから「方程式の解を求めたいから」という答えが返ってくることが多いです。  もちろん「方程式の解を求めたいから」は因数分解を行う理由の一つです。確かに, $${x^2-5x+6=(x-2)(x-3)}$$ と因数分解できると,$${x^2-5x+6=0}$$ の解は,$${(x-2)(x-3)=0}$$ よ

          因数分解は何のためにするのかを、スライムを倒しながら考えてみる。