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アメリカ出張(2023年8月7~20日)


夏はサバゲーのオフシーズン

更新が3カ月以上途絶えてしまった。

日常の“忙しさ”にかまけて更新をサボったのが主な原因ではあるが、夏はサバゲーのオフシーズンというのも理由として挙げられる。
6月は都合が合わずサバゲーに行けず、7月に入ってしまい、そのままオフシーズンへ。
真夏の屋外フィールドでのサバゲーは、本当に命の危険を感じるほどであるため、7月8月は避けることにした。
実際、フィールド自体が夏季は閉鎖する例もある。(シュバルツバルト等。)
ということで、9月3日、仲間たちとも都合がつきサバゲーに繰り出すことにした。

その記事は、本記事と同時にアップするとして、その前に、8月に行った海外出張の話を少し記事にしておこうと思う。

海外出張の目的

そもそも、我々のような大学教員にとっての海外出張(海外に限らないかもしれないが)は、主に以下の3つと思われる。

1)学会出席・講演
2)研究打ち合わせ
3)博士学位の外部審査員

1)が一番イメージしやすいと思うが、私にとってこれは、年1回あるかないか。
3)は、海外の大学の学生の博士論文の審査に外部審査員として論文テーマに関係する専門家が加わり、博士論文として通すかどうかの審査に関わるのである。
その外部審査員として、私もこれまでに2度呼ばれたことがある。(ドイツとイギリスが一度ずつ。)
共同研究をしている外国人研究者の学生の外部審査員として頼まれることがたまにある。今後も時折あるだろう。

しかし実際は、海外出張として一番多いのは2)である。
これは、知り合いの研究者がいる大学を訪問し、何かテーマを決めて、それについて一緒に議論するわけである。
そのときの滞在に伴って、その大学のセミナーで講演させてもらったり、訪問した研究者の学生と話をしたり、滞在中にいろいろとやることはあるわけである。

「だったら、オンラインでもよくね?」

と思われそうだが、それは真っ向から否定したい。
わざわざこちらが10時間以上かけて訪問し、直接会って話すからこそ、相手も本気を出してくれるし、時間を割いてくれる。
それに、私自身もその研究に集中できるし、伴って滞在期間中は他の研究にも身が入るのである。
新しい刺激も受けて、モチベーションも上がる。
日々の様々な業務から物理的に逃れ、身の回りの"娯楽"を強制的に減らすことで、数学に没頭できる環境を作り出すのである。
出張期間中にいっきに研究を進めて、残りの作業を日本に持ち帰って時間を見つけて進めることで、論文を書く。
最近は、そのパターンで論文を書くことが多い。

今回も、そのパターンで論文の「種」を作りに行く。
それが今回のアメリカ出張の目的である。

8/8~12(火~日)にColgate University

8/7(月)の朝、伊丹発、羽田・ニューヨークと乗り継いで、シラキュースを目指す。
日付変更線をまたぐ関係で、ニューヨークに着いたのが7日の昼前。
ニューヨークでの乗り換え時間が10時間近くあったため、ニューヨークをチラッと観光した後、夜の便でシラキュース空港へ向かう。

タイムズスクエア。人は多いし、たしかにニューヨークに来た感満載。
ただ、日本でいう所の「ハチ公前」みたいなもんかと思うと、ありがたみが減る。
その他、セントラルパーク・エンパイアステートビル等をチラ見し、自由の女神を遠目から見た。
遠めに見える自由の女神。
当初、21:40発の便が悪天候等により0:42発に延期。シラキュースに着いたのが深夜2時過ぎ。
さすがに疲れたし、待たせてしまったロバートに申し訳なかった。

シラキュース空港から車で約1時間。ハミルトンという小さい町にあるのが、Colgate Universityという小さな大学だ。
そこに、知り合いの研究者・ロバートがいる。
深夜の到着にもかかわらず、空港まで車で迎えに来てくれるめちゃめちゃいいやつだ。

今回ここに訪問したのは、ロバートの方から「うちに来なよ!」と言われ、「行く行く!」といって実現したものである。
元々2020年4月に計画していたものが、某ウィルスの影響で中止になり、今回の出張になったわけである。
ロバート、年は私の1つ下で、研究テーマも近く、学生時代からお互いのことをよく知っていた。
「最近出た○○の論文が面白そうだから、そこにある未解決の問題を一緒に考えてみよう」というやりとりを事前にメールで行っており、話は早かった。

左がロバート。右が私だ。

8日火曜から11日金曜まで、徹底的に議論し、なかなか興味深い例を発見するに至った。

黒板中央付近に書いてあるM(K_{3,6})(正確にはその双対)がその例。

その例に、ある別の具体例の計算(といっても、理論的な考察がいろいろと必要なのでそう簡単ではない)を加えて論文にしよう、ということで話がまとまった。
もちろん、具体例の計算が完成しないと論文にならないのだが、これはなんとか9月中に(10月の新学期が始まる前に)時間を見つけてなんとか完成させたいと考えている。
それが、滞在中に良くしてくれたロバートへの「恩返し」だ。

12日土曜は、シラキュースの街中に連れて行ってもらった。

シラキュースでおすすめのワッフル屋での昼ご飯。まぁなんというか、アメリカンだ。
Destiny USAというショッピングモール内のアスレチック。
日本でいうイオンモール的なものだろうか。
そこにこういうアスレチックがあるのがやはりアメリカという感じがする。
ギャーギャー叫びながら遊ばせてもらった。
シラキュースといえば、トムクルーズの故郷。ここがトムクルーズが生まれた家らしい。

そして、13日日曜の朝、ロバートにシラキュース空港まで送ってもらい、次の場所のセントルイスへと向かった。

8/14~18(月~金)にWashington University in St. Louis

8/13(日)の朝、ハミルトンのホテルを出発し、シラキュースからシカゴ経由でセントルイスへ向かい、ホテルに到着。
14日月曜からは、Washington University in St. Louisにいる知り合いの研究者・ローラと議論した。
ローラは、今年の2~4月に関西に滞在していて、その際ローラの方から連絡をもらい、少し議論をした。
その話の続きをやりたいという話を私から提案し、ロバートとの打ち合わせの後に訪問することにしたのである。
今回のアメリカ滞在をロバートとの議論だけで終わらせても良かったのだが、せっかくアメリカに行くので、逃亡期間を延ばすためにセントルイスへの訪問を決めた。

ローラとの議論も本当に有意義で、ローラの専門分野について私が知らないことをたくさん教えてもらった。
そして、新しいテーマについて少し計算をするなど、論文のテーマになりそうな話題も見つかった。

ローラにいろいろと教えてもらった。

そして、ローラの博士課程の学生や、同じ大学の他の研究者とも議論する機会があった。
ロバートの大学は小さい大学で、ロバート以外と研究の話をする機会は持てなかったが、そういう機会があると新たな繋がりもできるし、顔も覚えてもらえて新たな研究コミュニティの拡大にも繋がるのである。

滞在中は、セントルイス観光(ゲートウェイアーチが有名)も少ししたし、セントルイス・カージナルスの試合にも連れて行ってもらった。

ゲートウェイアーチ。デカい。192メートルあるらしい。
なんとこれ、中に入って上に登れるのだ。
ゲートウェイアーチに登って上から撮った写真。アーチが影になっている。
ゲートウェイアーチからも、カージナルスの本拠地・ブッシュスタジアムが見える。
ブッシュスタジアム。この日の試合は、負け。ヌートバーも出ず。いろいろ残念。
アメリカンなご飯とクラフトビール。

そして、アメリカは何といっても、クラフトビールがうまい。

2nd Shift Brewingというブリュワリーにて。左が私、中央がローラ、右がローラの旦那さんだ。

日本でもクラフトビールをアメリカから輸入したりするわけだが、円安を差し引いても、現地だとだいぶ安い。
知らないブリュワリーももちろんたくさんあるし、うまかった。

帰りは、セントルイスから、ヒューストン、羽田を経由し、そして伊丹へ。
今回の出張で、計8回飛行機に乗った。
(行きに3回、シラキュースからセントルイスに行くのに2回、帰りに3回。)

やはりアメリカである

今回の出張、旅費のほとんどはロバート(の大学)が持ってくれた。
何から何まで本当にありがたい。共著論文の形にして、必ず恩返しをする。
そもそも今回ロバートと議論したテーマが今後ますます研究の余地があるトピックで、この機会に新たな知識が入れられて良かったのと同時に、さらにやりたいことも増えて、本当に有意義だった。
ローラとのテーマも、私にとっては新しい分野だったため、いろいろと教えてもらえ、ありがたい限りだ。
これも、なんとか論文の形にまで仕上げられるよう引き続き取り組んでいきたい。

やはり、海外出張は、有益だ。

今回は、アメリカの良いところを多く感じることができた。
うまいブリュワリーがたくさんあり、Uber(アメリカだとLyftの方が主流?)がすこぶる便利だし、エンタメも日本とはレベルが違う。
そして何より、研究者の層が厚く、自分の研究テーマと近いテーマの人間もアメリカにはたくさんいる。
つまり、自分の研究を真に認めてくれる研究者がたくさんいるのである。

日本で自分の研究テーマと近いことをやっている人間は、ほぼいない。
そのため、日本の研究者に認めてもらうために、日本の研究者に興味を持ってもらえるような形で研究テーマを模索し、講演するようになってくる。
日本の研究者コミュニティで暮らしていくのであれば、そうせざるを得ない。

しかし、そうか、自分がアメリカに行けば良いのか。
今回で強くそう思うようになった。

近い将来、年単位でアメリカに滞在する計画を立てたいと強く思った。
あわよくば、アメリカの大学でポジションを獲得することも考えても良いかもしれない。
(ちなみに、ヨーロッパにも何度も行ったことがあるが、やはり私の性に合うのは、ヨーロッパよりアメリカだ。)

アメリカの大学のポジションは、世界中の研究者がライバルだ。(実際、ローラもコロンビア人だ。)
一方で、日本の大学のポジションに就くには基本的には日本語スキルが必要なため、ライバルは日本人のみ。まさに、井の中の蛙である。
そんな"ぬるま湯"集団で認められてもしょうがないし、アメリカで認められるくらいの存在になれば真の研究者になれたと思える気がする。

そのような気持ちにさせてくれたのが、今回の海外出張であった。

9月3日は久々のサバゲー

出張後は、ポンコツ学生の尻ぬぐいなど一気に現実に戻されるのだが、この記事を書くことでアメリカ出張のときに抱いたモチベーションを維持したい。
ロバート・ローラとの研究の種を必ず完成まで持っていきたい。


そして、9月3日日曜に、久々のサバゲー。
オフシーズンの3ヶ月間、自分なりに「サバゲー論」を勉強し直してきた。
フラッグアプローチの方法、射撃の考え方、体術など。
いかに自分がまだまだ未熟だったかを再認識した。
今回のサバゲーで、勉強したことがどこまで実践できるか、なまった体のリハビリも兼ねて、基本に充実にフラッグゲットに挑みたいと考える。

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