【シリーズで見よう007】第14作目007美しき獲物たち

あぁ、ついにロジャー・ムーアとお別れの時が来てしまった。
何と寂しい事か…ロジャー・ムーア演じるボンドはこれが最後、次作からはティモシー・ダルトンに代わる。

〈あらすじ〉
ソ連でとあるICチップを見つけた003は雪山で遭難。007をそれを回収する。
そのチップは特別なもので、核爆発によるEMPにも耐えうるものであった。製造元であるゾーリン産業が怪しいとにらんだ英国諜報局は、ゾーリンの社長マックス・ゾーリンと接触。何と彼は、ICチップを独占販売するため、アメリカシリコンバレーを海の底に沈めようとしてた!!って、野望どんだけー!

メイデーとボンドが並ぶポスターも有名

ムーアが飾る有終の美

<感想>
今作、ムーアは57歳。
日本の役者で言うと今の香川照之と同じだ。そう考えると、いつまでも現場でスキーしたりカーチェイスしたりしてる場合じゃないw。
ムーアはボンドガールの母親が自分より年下だと聞いて降板を決意したと言う…確かに娘より年下を抱きまくってるおじさんと思うと、まぁまぁのキモさ。 実際今作のムーアは前作より顔が老けこんでいる。また、ただでさえ運動神経が鈍いのに、更にアクションのキレも悪く、スタントマンの俊敏な動きと違い過ぎて違和感を感じる。
しかし、作品としては割とバランスがよく、悪く言えば中途半端とも言えなくはないがw……実際ヒットもしたようでムーアも有終の美を飾れたのではないのだろうか!ただ、ムーア本人は今作が一番嫌いだそうw!

最初から飛ばしてくる!

ロジャー・ムーアはコメディータッチの作品が多かった。
リアリティーラインが安定しておらず、そのライド感を玄人は楽しんでいきたい。
冒頭、雪山でのアクションシーンはめちゃくちゃかっこいい。
また、ここでかかる音楽(美しき獲物たちのテーマ?)も壮大でかっこよく冒頭を盛り上げる。スキー板を失ったボンドはスノーモービルの残骸からスノーボードのように滑走するのだが、ここで謎にPOPザ・ビーチボーイズの曲がかかる謎演出に苦笑w。そして雪山を滑り切ったボンド、すると氷河に浮かぶ流氷の頭がパカっと開きイギリス国旗が!

なんと流氷型の船だった!
すこすこと進む姿はシュール過ぎて草生えます

逃げてく姿はとてもシュール

ボンドがMI6に向かうと、マネーペニーが謎のおめかし。
フリフリのピンクの服装でボンドを迎えこれは中々のキツさを覚える。マネーペニー演じるロイス・マクスウェルも今作が最後となるため、急遽このシーンにしたらしいが、もう少し気の利いた活躍のさせ方があったのではないか…。

その後もQが謎のリモコンロボットを作ってたり、カーチェイスで車が前半分で走り続けたりと今作中々序盤から飛ばしてきよる!

80年代の新たなヴィランと演出

今回の敵はクリストファー・ウォーケン演じるマックス・ゾーリン。
あらゆるものを手掛ける起業家でICチップを独占的に販売するために事を企てる、とテーマが現代的になってきた。また、彼がKGBで人体実験を受けた事でサイコパスな性格になったというのも新しい。太って葉巻を咥えてるタイプのヴィランが多かったのに対し、スマートで慈悲の欠片もない頭がキレる奴は80年代の新しい香り漂う。

今回の用心棒はグレース・ジョーンズ演じるメイデイ(労働者の祭典の日の名前らしい)の存在感はかなり強い。無口でデカくて、ムキムキ、服装も独特で画面上でもかなり目立つ。性欲も強いようで、ゾーリンとスパーリング中にスパーリングいちゃいちゃも見せてくれる。しかし、ラストのメイデイの行動では泣いてしまった。

ボンドで初泣き!

今回も過去と比べ新鮮なアクションシーンが満載だ。
冒頭のスキーチェイスから乗馬しながらの殺し合い。消防車や気球など、とにかくCG無い時代の体の張ったアクションが続く。特に、消防車のはしごにぶら下がってのチェイスは気合が入っており、ターミネーター4を彷彿とさせるぐらい。しかし、追手が地元の警官であまり話と関係ないのが残念。

今回、敵ゾーリンが近代的になったため、目論見もグレードアップ。
敵の目的を近代的にグレードアップするとこういう事になるのかと驚いた。

ICチップを世界に独占的に売りさばくため、
商売敵のシリコンバレーを海の下に沈めようというのだ!

これはもう映画みたいな話w!
まず、シリコンバレー近くの湖の底を爆破、湖から水を抜き去る。満ち潮のタイミングで一部の断層を爆破し破壊、大きな地震を起こす事で海の底に沈めようとしているとの事だが

丁寧に、ミニチュアを使って説明してくれるのだが、
何度見ても理解できなかった…

ボンド映画の弱点として、当たり前だがボンドが危機を食い止めてしまうため危機が起きないという事。世界に細菌兵器が撒かれるー!とか、核戦争が起きるー!とか言っても、危機一発のところでボンドが頑張って回避してしまうものだから、残念ながら参事を見る事は出来ない。過去には一部、ゴールドフィンガーでガスが撒かれたり(ように見える)、ダイヤモンドは永遠にでは実際に衛星兵器が利用されたりとはあるものの、やはりレアケース。

今回の悪だくみは湖の水を抜くのと、断層を爆破して地震を起こすの2段構えのため、一つ目の湖の水を抜くを実施。坑道に水が流れ込み、作業員全員死亡というプチ参事が起こる。そのため、ゾーリンに裏切られたメイデーがボンドに協力し、身を挺して爆発を回避させるシーンでは感動してしまった。その時メイデーが初めて笑ってるのが印象深い。

さよならロジャームーアのボンド!

という事で、ロジャー・ムーアが最後となる007美しき獲物たちでした。
85年という時代も映画も演出が変わっていく節目であり、ムーアの年齢の事もありバトンタッチをするのにはいいタイミングだったように思う。89歳で亡くなられたそうだが、生きていたら今一番会いたい人やなぁ…。

では、次回は
NEWボンド ティモシーダルトンによるリビングデイライツです!


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