「Terra Co. 振付家育成講座」 受講レポート⑴


【Terra Co.とは】
Terra Co.は平原慎太郎が主宰するダンスカンパニーOrganWorksが企画運営する振付家育成講座です。選考によって選ばれた16名の振付家が10ヶ月で10回の講座を経て創作した作品の成果を発表いたします。
【メッセージ】
コンテンポラリーダンスという90年代から00年代にムーヴメントをおこしたダンスにおけるオルタナティブなジャンル。
そして2010年代も終盤になり、同ジャンルは専門的な知識と、個人的な思想をより求めた。
当然、振付家という言葉も裾野を広げ、誰もがそう名乗れるようになり様々なツールを用いてダンスを表現するようになった。
今企画の参加者はそんなジャンルの振付家となるべく10ヶ月間知識を蓄え、型を学びそれを壊す時間を過ごし、遂に終着点である公演に辿り着いた。
それはこれからの始点としても位置付けられる。
僕はこの機会を同業者に向ける厳しい目と、同業者に向ける敬意を持って迎えたい。
扉の表と裏。一歩踏み出せば違う景色がある事を知っているからこそ。
講師・監修 平原慎太郎


私は、この振付家育成講座を6月から計10回受け、来週に成果発表を控えている。自身の創作の整理整頓のために各授業の振り返りをしてみようと思う。(ゲスト回は今回は割愛するので振り返りは全8回)
まずは全10回のシラバスは以下の通り。
各回の授業の内容をお伝えしてしまってはいけないので、授業の概要とあくまで私が受け取り振り返り、自身の作品にどう反映しようとするかを言葉にしていきたいと思う。

第一回 「コンテンポラリーダンスの定義について」
第二回 「作品/時空間」
第三回   「ゲスト①児玉北斗氏講義」
第四回 「コンセプト/テーマ/空間」
第五回 「実践的な動きの開発/コンセプト化」
第六回 「制約/言語化」
第七回 「ゲスト②北村明子氏講義」
第八回 「舞台上での身体」
第九回 「身体性」
第十回 「作品制作における基本」


今日は第一回の「コンテンポラリーダンス」の定義についてというテーマの授業を振り返る。

コンテンポラリーダンスという言葉を訳すと「同時代的なダンス」
コンテンポラリーダンスというジャンルは「時代性/社会性」を無視できないというわけだ。コンテンポラリーダンスは更新している必要があるということ。その枠を壊し、再構築していく為に自身の発想を自由に用いて作品を生みだすのである。
私は「社会性」という言葉にどきりとする。
作品に風刺っぽいこと入れなきゃいけないのかな、今現代人に振りかかる問題をメッセージに混ぜなくてはいけないのかな、スマホのこととか、自殺率とか?自分を大事にしようとか。。。と。
これは割と無駄な心配であった。
作品で自身のテーマを持つことは勿論必須であるが、テーマに常々いわゆるメッセージ性を組み込む必要はない。(勿論組み込んでもいいが、私はこれにはとても苦手意識がある)
では「コンテンポラリーダンス」が「社会性」を持つということとは。
例えば1つの答えとして、周りの人に寄り添うこと。観客に寄り添うと言いたいところであるが、作品創作過程でのダンサーとのやり取りや、もし依頼された企画であればその依頼先とのやりとりもダンスが「社会性」を持つことに含まれる。その為あえて周りの人とした。(これはゲスト講師の児玉北斗氏の講座の際にもテーマになった。)
「カタルシス」という言葉も講師平原慎太郎の口からはよく飛び出るが、「カタルシス」とは悲劇を見た観客が哀れみの共感を持ち、そのことによって心が浄化される効果のこと。ダンスに何を求めて見にくるかは様々であり、それにどの角度から答えても良いと思う。動きの凄さでも物語の切なさでも、ダンスって楽しい(自分にもできそうと思ってもらう)などなど。けれど、どこかで「(コンテンポラリー)ダンス」は身体を用いているという事を巡らせている必要がある。「ダンス」に何を求めているのか、それはダンスをする側としての自分も含めて。
きっとダンスにはダンスにしかできない役割を担っている。

「社会性」の他にもう一つどきりとする言葉はコンテンポラリーダンスは「自由」であるという言葉。ちょっと広義すぎるしたまに語弊も生まれる。「自由」=「わかりずらそう」だから受け取ってもらえないというのはダンスが好きな身としてもちょっと悲しい。
「自由」という言葉は決してネガティブではないので、コンテンポラリーダンスはどんな風に感じてもらってもいいということをポジティブに、セールスポイントにする必要がある。映画でも絵画でも、音楽でも「自由」を残しているものは多くある。これは多くの人に理解されないのではなく、多くの人が同じようには理解しないだけだ。「分かりやすい/分かりずらい」問題でコンテンポラリーダンスは悩んでいるのか、ならばその価値観は観客に委ねていいのであって作る側もその受け取られ方の違いを楽しむ為に、ただ自身のやりたいことを突き通してみればいいのだろう。ただしやりたいことを明確に突き通す必要がここにある。
そして「自由」であるコンテンポラリーダンスを「消費/発散」に捉えていることが最も危険だと思う。作品は終わったら消えてしまう、ダンス(ムーブメント)は生まれたそばから空中から消えてしまう。勝手に消えるものを消す必要はない。そしてそれは作品ではない、だれかのことを考えた「社会」に属すものではない。

「コンテンポラリーダンス」という言葉になぞらえて私がこの創作で何を再構築してみようかなどと考える。自分のダンスの特徴を再構築?クラスで習っている身体の使い方を再構築?自分のダンス自体の深化に期待を寄せた作品にしよう、などと考えた。私の考えは少しダンサー的で身体に執着があるが、私自身がダンス作品に求めることは「ロマンチック」であること。感性や想像力が伴うこのダンスというものが担う役割でもあると感じている。


【公演日程】
2019年3月21日(木祝)A20:00
22日(金)B19:30
23日(土)C14:00/D19:30
24日(日)E13:00/ F17:00 *最終講座19:00-20:00
※ 受付開始は開演30分前。客席開場は開演15分前。
※ 上演作品は振付家名の欄にA〜Fで記載。

【最終講座のご案内】最終講座を公開いたします。本公演をご覧になった方のみご観覧いただけます。Peatixでご購入の方は、講座観覧チケット(無料)も合わせてご購入ください。
講師:平原慎太郎

【振付】
足立佳野/B F  上田舞香/C D  大西彩瑛/B E  尾形菜々子/A E  貝ヶ石奈美/C D  木原萌花/A B
高橋真帆/C D  高谷楓/C D  田中彩/B F 豊永洵子/C D  中西あい/C D 深井三実/B F  堀内まゆみ/E F
牧野彩季/B F  やえおめぐむ/A E  渡辺はるか/A F

【チケット】
一般 2500円 当日3000円 U25 1500円
※リピーター割引:2回目以降の観覧は500円引き。(Peatixでご購入した方は当日受付で返金いたします。)
※U 25チケット:年齢確認のできるもののご提示が必要です。
【予約フォーム】https://terraco01.peatix.com
【問い合わせ先】
staff@theorganworks.com 担当:町田
070-1409-0478(対応時間10:00~18:00)
【スタッフ】
舞台監督:筒井昭善
照明:櫛田晃代
音響:相川貴
広告デザイン:小見大輔
写真:加藤甫
制作:町田妙子(OrganWorks)、小松睦(OrganWorks)
特別講師:北村明子 児玉北斗
協力:森嶋拓 (株)セッションハウス G-screw Dance Labo
助成:公益財団法人セゾン文化財団
主催:OrganWorks HP:theorganworks.com

【会場】セッションハウス
〒162-0805 東京都新宿区矢来町158
MAIL mail@session-house.net
TEL 03-3266-0461


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