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雲の上に浮かぶ城に逢いたくて

雲の上に浮かぶ城、
まさにジブリ映画『天空の城ラピュタ』の世界。
そう謳われる景色がみたくて兵庫県朝来市にある「竹田城跡」をめざした。

大阪に予定があり、移動を考え東京から車で向かうこと6時間半。
山にのぼるではないのに2時起きとは、早起きがあたりまえになっている。
長距離運転には慣れていたが、5時間を超えてくると楽ではない。
パーキングエリアで4回休憩をとり、Spotifyの平成ヒットソングにノリノリ運転でようやく到着。
長かったような、思ったほどではなかったような、山のぼりで鍛えたからだが役に立つ。

所用をすませいよいよ竹田城跡をめざす。
大阪から竹田城跡のある兵庫県朝来市までは車で約2時間、距離にして120kmほど。
そうだ、県をまたぐからそこそこの距離がある。
東京から大阪までの6時間半よりむしろ遠く感じた。

16時、今回のお宿「宿屋天空」に到着。

宿屋 天空

ここで友人と待ち合わせをしていた。
宿屋天空を選んだのは、
・竹田駅、竹田城跡いずれにも近い
・素泊まりで比較的お手頃
・施設がきれいそう
というのがポイントだった。
事前にいくどか電話で問い合わせをしたときも、都度丁寧にご案内くださり期待値は高まる。
ついてみると瓦屋根が特徴的で素敵な外観。
入るときれいなのはもちろん、古民家のような懐かしさもありテンションがあがる。

撮りたくなるよね
ちょっと洋風テイストもあったり
懐かしさを感じる

洋室もあるが私たちは和室を選択。
和室には女性専用があり、隣の和室とは襖で仕切られてある。

とても広いお部屋。布団もふかふかでとてもきれい。

貴重品ボックスもあるので心配であればしまっておける。
私たちが泊まった日はお隣さんがいらっしゃらなかったので気兼ねなく過ごせた。

静かで街の通りはとても落ち着く。

趣のある竹田駅
宿の近くの通り
瓦屋根が多い
おしゃれな宿がたくさんあった
こちらのホテルも興味深い

まずは腹ごしらえと出かけたが、平日だったせいかほとんどのお店がしまっていた。ウロウロしているうちにだんだんと陽は傾いてきた。

三日月がやさしく空を照らす
ライトアップされた竹田城跡がみえる

いよいよお店がみつからず、ついにコンビニか〜?とあきらめかけたが、おそらく近くで唯一営業しているお好み焼き屋さんを発見!
大喜びで向かうとご夫婦で営まれている小さくも温かいお店だった。
私たち以外は香港など外国からの観光客の方ばかり。英語が飛び交いなんだか国際色豊かだった。
おばあちゃんのうちにきて食事している、そんな気分だった。

おいしくもりもり食べて宿にもどり、すぐにお風呂に入った。
お風呂は大きな浴槽のあるお風呂で、中浴場といったところだろうか。
平日だからかすいていたようで、ひとりのんびりと入浴できた。
お風呂をあがるとまだ20時台だったが、さすがに運転疲れかもう眠い。

今回のいちばんの目的はというと
「雲の上に浮かぶ竹田城跡に出逢いたい!」である。
では、雲海と出逢うには?
雲海の出る条件を竹田城跡公式ページには以下のように書いてある。

【時期】
9月~11月 ※他の季節でも稀に見られますが、秋(特に晩秋)が一番発生しやすい条件となります。
【時間】
明け方から午前8時頃まで。
【条件】
・湿度が高く十分な放射冷却があること。
・よく晴れていること。
・前日の日中と当日の早朝の気温の差が大きいこと。
・風が弱いこと。

竹田城跡公式ページ

10月の中旬、天気予報は晴れ!朝はそこそこ冷えている。
条件はほぼ満たしてある。
これは期待できる! 

友人と積もる話に花が咲きつつ、いつしか二人とも眠りについていた。

3時半、めざまし時計に起こされる。
ちょっと眠かった。
身支度をし4時半より少し前に出発。
思ったほどの寒さではなかったが、車には霜がおりていた。

竹田城跡の雲海を愉しむにはいくつかスポットがある。
・竹田城跡天守台→竹田城跡から雲海をみる
・立雲峡→雲海に浮かぶ竹田城跡をみる
・藤和峠→立雲峡とは竹田城跡を挟んで反対側にあり、少し距離がある竹田城跡をみる。
この3つが有名らしい。
私たちは雲海に浮かぶ竹田城跡をみたかったので立雲峡を選択した。

立雲峡へはタクシーか車で、竹田駅から立雲峡駐車場まで10分程度。
駐車場から展望台までは徒歩で30〜40分ほどかかる。
4時半すぎに駐車場についたがまだ登山口の門は開いていなかった。
5時少し前だっただろうか、係員の方がいらして開門。
協力金300円を支払い展望台へ向け出発!

登山口というから登山道ではあるが、階段なので気負わずとものぼれる。
初めてのナイトハイク気分でライトをつけ階段をのぼっていく。
人は多いので不安はなかった。

展望台は低いところから第3、第2、第1とつづき、いちばん上が立雲峡テラスとなっている。
竹田城跡は夜ライトアップされているが、朝5時半でライトアップは消える。
どこでみようか迷ったが結局いちばん上の立雲峡テラスに、担いでのぼった重たい三脚をセットした。

空はゆっくり朝へと向かい、雲は赤い蜜に染まっていく。

日の出時刻を過ぎ朝の景色に変わっていく

目の前には幻想的な世界が広がっていた。

日の出から30分を過ぎたころ
日の出から1時間を過ぎたころ

雲海は山で何度かみていたが、これほどまで雲海を近くに感じたことはない。魔力がかかっているかのように、街が雲海に飲みこまれていた。

日の出から1時間が経ったころ、竹田城跡が陽の光に照らされ赤く浮かぶようになったとき、これがこの日の雲海の集大成なのだなと感じた。

雲海に浮かぶ竹田城跡
雲海に浮かぶ竹田城跡

出逢いたかった風景を目の前に感動が湧き起こる。

1時間半くらいいただろうか。心は満たされたので、
「そろそろおりようか」
と、すっかり明るくなった階段をご機嫌なステップでおりていく。
途中にみえる景色にカメラ小僧な二人は寄り道のオンパレード。
いや、このために長い時間をかけてきたのだから寄り道バンザイだ。

雲海に包まれた街

せっかくだから竹田城跡にも行ってみよう!と、車で駐車場のある「山城の郷」まで向かった。
向かう途中もふとした風景に車をとめる。

朝日を纏った草たち
風景画のような世界

竹田城跡には竹田駅から天空バスというのが出ている。バス停からは徒歩20分ほどで竹田城跡に着く。
竹田駅から直接徒歩でもいける。いくつか登山道があり、だいたいどの登山道からのぼっても40分程度歩くようで、私たちは歩きやすいとあった山城の郷からの登山道を選んだ。
竹田城跡へのアクセス

山城の郷駐車場につき登山道をのぼろうとしたら、係員の方が「タクシーもあるよ」と教えてくださった。
タクシーで向かうと徒歩10分ちょっとで竹田城跡に到着する。
ニヤリと楽ちん登山を選択した。

8時、竹田城跡へ到着。
竹田城は関ヶ原の戦いにより廃城となって以降、現在の石垣だけが残る竹田城跡へ姿を変えたそう。
すべて違う大きさなのにきちんと整列している石垣の美しさはまさに芸術。
城とは違う存在感を放つ城跡に、むしろ想像力はかきたてられた。

横に長く広がる石垣
芸術的に整列された石垣

先ほどまであたり一面に広がっていた雲海は消え、竹田城跡からは城下町がくっきりと見渡せた。

右奥の山が先ほどのぼった立雲峡

「あ〜、殿様はここから毎日景色を眺めていたのか」などと想いを馳せる。
修復はあったにせよ、積まれた石の上にお城が建っていたとは、本当に昔の方の労力と技術には驚きしかない。
思った以上に竹田城跡が愉しくて、1時間ほど堪能し下山へ。

次の目的地は、竹田城跡から車で1時間ほどのところにある砥峰(とのみね)高原。
砥峰高原はススキが有名、という情報しか入手しておらずどんな高原なのかはわかっていなかった。
駐車場は広くなんだか人も多い。有名な観光地なのかと少しおりていくと、な、なんと!いちめんにススキが広がっているではないか!

目の前に広がるススキの草原
ハイキングコースがいろいろあり、1周60〜90分でまわれるようだ。

砥峰のススキ草原は毎年春に「山焼き」が行なわれている。
草原に生まれた木で森になってしまわぬよう山焼きをすることで、ススキの草原を維持しているのだそう。山焼きが行われても地面にしっかり根づいているススキの強さがこの黄金の草原を生みだしている。

陽の光にゆらめく黄金のススキに完全に心を奪われ、ハイテンションで駆けめぐる。

空をバックも美しい
池の水もキレイ
シャッターが止まりません
どこから切り取っても絵になる
ハイテンションで記念写真(友人のiphone)

砥峰高原は映画のロケ地としても多く利用されているようで、使われた映画の看板も飾られていた。
砥峰高原がこんなにも素晴らしい場所だったとは!知らなかったがゆえに感動もひとしおだった。

竹田城跡と砥峰高原は距離も遠くないし、ぜひセットでみるのをおすすめしたい。
朝からそこそこの運動をしたので甘いものが食べたいなと思ったら、「Mineyama Kitchen TSUMUGI(つむぎ)」というキッチンカーを発見。
とうもろこし、ピスタチオ、またコオロギなどいろいろな種類のジェラートを売っていた。
私はもち麦のジェラートをセレクト。麦の香ばしい味がしておいしかった。

もち麦のジェラート

エネルギーチャージ完了でいよいよ帰宅の途へ。
帰りは休憩も入れて8時間の運転。
2日間の走行距離は1200km超え。
目はしょぼしょぼになったけれど一度も睡魔におそわれず、からだは思った以上に元気だった。

一緒に行った友人がyoutubeに今回の旅の動画をアップしています。
動画でみるとすでに懐かしい〜。友人がたくさん登場させてくれたので、動く私もお楽しみください(笑)

写真家 / ikiphoto_ten 

雲海は欲をいえばもう少し上まであったらなあと思ったが、雲海をみられること自体が簡単ではないのでとてもラッキーだったと思う。
そしてたまたまみつけた砥峰高原がちょうどススキのシーズンだったのも相まって、なんという完璧なプランだったんだ!
お天気も最高で、本当に運がよかったなあと幸せな気持ちになった。

旅=山のぼりになりがちだけれど、いろんな旅をこれからもっともっとしたい。そのためにも毎日鍛えて元気なからだを維持しよう!


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