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死に触れる

ばあちゃんの死。突然の連絡だった。
施設から病院に運ばれた時にはもう遅かったみたい。
遠方に住んでる自分どころか、両親も死に目には会えなかったらしい。

小さい頃、毎月ばあちゃんの家に泊まりに行った。昼に近くの床屋で髪を切って、その後公園で野球をする。ばあちゃんからもらった1000円のおこづかいは大金で、ブックオフに行ってNARUTOの漫画を3冊買うお金に充てていた。生前、久しぶりに会いに行った時、施設に入る前と変わらない姿でいたばあちゃん。でも認知症が進んでいて、自分のことは覚えていなかった。「大きくなってたからわからなかった…。」という言葉は、ばあちゃんなりの優しさだったと思う。

葬儀が終わって最後、顔に触れてみた。今まで人では感じたことのない体温だった。冷たかった。眠っているように見えたけど、確かに死んでいた。身近で思い出深い人が亡くなったのは初めて。自分がばあちゃんの死に触れただけでは思い出に浸るだけだったけど、ばあちゃんの3兄弟の子ども、親たちが「ありがとうさよなら」と泣いている姿を見て、涙が出た。人の死そのものより、その死を見た人の想いに触れた時の苦しさはなんとも言えなかった。

火葬を終えて、無事旅立ち始めたばあちゃん。どうか、安らかに。

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