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続・黄昏のタクシー業界にまつわるエトセトラ


1:タクシーは本当に『不足』しているのか

(2023年春に書いた記事の続編です)

2023年秋の臨時国会で『タクシー不足対策としてのライドシェア導入』のことが取り上げられ、ニュースやインターネット掲示板、SNSなどでも特にタクシー業界の関係者の間で話題になっている。
タクシーが捕まらないから、足りないから、ライドシェア…

本当にタクシーは不足しているのだろうか?
疑問に思ったら、福岡地区の場合は博多駅や福岡空港のタクシー乗り場を覗いてみるとよい。

簡単に言えば、
・タクシーの行列ができている、待機スペースが満車(イメージ絵文字👦 🚕🚙🚕🚙🚕🚙🚕🚙🚕=)運転手が暇な時期・時間帯
・乗客の行列ができている(イメージ絵文字👶🏽🧒🏽🧒🏽👧🏽🧑🏽👱🏽👨🏽🧔🏽👨🏽‍🦰👨🏽‍🦱👨🏽‍🦳👨🏽‍🦲👩🏽👱🏽‍♀️👩🏽‍🦰 🚕)=運転手が忙しい時期・時間帯

という具合である。
本当に『不足』ならば、『朝から深夜まで一日中』博多駅や福岡空港のタクシー乗り場に長蛇の列ができているはずである。
NHKのドキュメント番組『ドキュメント72時間』のように期間を決めて定点観測すれば実際のところがわかるはずだ。

この他にも、実際のところは
・アプリ予約利用者の増加
・東京地区のアプリ予約専用車の場合は『流し』を行わず『回送』『迎車(予約車)』表示にしている
・全体的に乗客が減少しており、乗客が元々多い地域に空車が集中する(例:博多駅、福岡空港、イベント時のPayPayドーム)
という傾向の影響も考えられるだろう。

また、アプリ予約の広まりとともに、
・なるべく早く確保しようとして複数の予約を掛け持ちして先に来たタクシーに乗り、あとはキャンセルする利用者
・空車が多い地域でもアプリ予約する短距離利用者
・比較的離れた場所から予約する短距離利用者

が出てきている。
このような利用者は運転手から敬遠される。
・予約に拘束されて他の乗客を送迎できない
・回送距離が長い場合は非効率である
ためだ。
今後、アプリ予約でも予約手数料(迎車料金)の導入やキャンセル料の引き上げもありうるだろう。
(IT企業の場合、市場シェアの大半を確保したところで値上げすることがままある)

このようなマナー違反・モラルを疑う利用者を避けるため、金土の夜や夕方ラッシュ時の『書き入れ時』には
・アプリ予約や無線予約を断る
・郊外部素通り(なお、鉄道沿線などある程度乗客が見込めるエリアは別)
をする運転手が多く、中・長距離の送迎(実車)後は中・長距離客を初めとして基本的に乗客が多い都心部にとんぼ返りし、再度送迎するパターンが多い。

参考までに、『実車率』という指標を紹介しておく。
『乗客が乗車(=実車という)して走ったキロ数/空車時間を含むタクシーの走行キロ数×100=実車率』となり、50%(2台に1台が実車)が目安である。
現状では、2019年のデータであるが全国平均でも44%であり、パンデミック後は地域によっては更に低下しているとみる必要がありそうだ。

参考:自交総連ホームページ内の『データ集』に2020年度までの法人タクシー(タクシー会社)の輸送実績の資料があるのでご覧いただけると幸いである。

2:ライドシェアについて

供給過剰を体感している自分の意見としては、現状で都市部でライドシェア(相乗り)を導入するのは、
・さらなる供給過剰
・客の奪い合いの激化
・交通トラブルの増加
・乗客と運転手・ライドシェア運営事業者間のトラブル解決の問題
が想像でき、現状では反対である。

他の方のポストをお借りするが、推進派の面々や主張を読んでいくうちに
・自分が安く楽して移動したい
・新たな投資先を見つけて儲けたい
という自己中心的な主張をしているにすぎないのではないかと疑いを持つようになったのもある。


基本的には、タクシー『不足』は
・タクシー運転手の低賃金
・不安定な生活
・若い世代はタクシー運転手をやりたがらず、年金受給者の『副業』化
・人口減少やマイカー社会化の加速
・福祉事業との競合※
・パンデミック期の乗客/収入激減やその後の回復の鈍さにより収入アップが見込めない

といったことの結果ではないかと思うが、ライドシェア推進派はその辺りを理解しているとは思えないのである。

※福祉事業との競合に関しては、経済産業研究所が論文を出しているので、興味がある方はご覧いただきたい。

詰まるところ、
・労働者にカネがなくなってる
・労働者にカネを回さない
・自社の利益優先で労働者に負担を強いてきた昔のやり方に固執し改善してこなかった
結果の一例だと言わざるを得ない。

・無秩序な台数拡大
・最低賃金でしか計算されない給料
・高額な制服の押し付け
・特定のガススタンド利用の強制
・タイヤやレシートのロール紙といった消耗品の自腹購入
・営業施策への協賛金の支出
・会社の懐が痛まない割引競争 など、会社によっては労働者にはキツイところもまだまだある(旧い体質を引きずる業界ゆえか)という噂を同業の間で聞くこともある。

参考リンク※

※この他に、あくまでも噂レベルだが
・担当車両の経費相当額を運転手が負担する(L社)
・ボーナス査定が減点主義(P社)
・1乗務(出勤)あたりの走行距離のノルマが厳しい、休憩を取りづらい(福岡市西区エリアの某社)
・『お客様は神様』の誤った解釈の横行(多くの会社)
・トラブル時の事なかれ主義(多くの会社)
というのもある。

経営陣や業界のお偉方に待遇改善する気が無ければ、特に地方のタクシーは公営企業化(県や市町村などの地方公共団体が株主の公営企業+議会や会計監査人やオンブズマンや労働組合などの外部からの統制つき)して公務員並みの待遇にすれば、それなりに人は戻ってくるのではないか。

だが、西米良村・椎葉村(宮崎県)や北海道の旧産炭地といった過疎地の場合、公営企業化しても採算が取れず事業も成り立たず廃業してしまうリスクはありうるので、公営企業化せず、タクシー事業の代わりに小回りが利くライドシェアを行うならば、
・地方公共団体の職員が隙間時間を使って/時間を区切ったシフト制で待機・対応する
・地域の社会福祉法人などの送迎車を隙間時間にライドシェア対応車として使用する
という形でのライドシェア導入はあるかもしれない。

参考リンク:

なお、もう一つ重要な問題点があるが、それは別に書きたい。

(この記事の続きを2024/01/31アップしています)

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