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012. 『名前コンプレックス』

ーーゲスト紹介ーー

奥原 晶(おくはら あきら)
沖縄キリスト教短期大学の保育科を卒業後、保育士を経て、現在は子供服アパレルの店員をしている。好きな食べ物は沖縄そばで、いつでも食べることができる。今年の目標は「おりこうさんを卒業すること!(良い意味でね)」とのこと。

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どんなコンプレックスだった?

自分の名前がずっと嫌でした。私、奥原晶(おくはら あきら)という名前なんですけど、『あきら』って名前、すごく男の子っぽいじゃないですか。学校でも、同じクラスに あきら君という男の子がいたり「あきらって男の名前じゃないの?」と言われることもあったりして。自分の名前を呼ばれることにものすごく引け目を感じてました。先生が出席を取るときはとくに、自分の名前を呼ばれるのが本当に嫌で。学校で表彰される機会があって、全校生徒の前で名前を呼ばれた時はとても恥ずかしかったです。みんなが自分の名前を聞いて私を見たときに「え、女の子なの?」と反応しているような気がして。もっと可愛らしい名前が良かった!とずっと思ってきました。

どうやって乗り越えた?


小学校から中学校に上がるときのきっかけが大きいですね。当時、初対面の人に自己紹介しながら名前を言うことにものすごい緊張していたんですけど、「あきらって名前良いね」とか「かっこいい名前だね!」って言ってくれて。男みたいとか、男みたいな名前だとは誰も言わなかったんです。あきらって名前が男の子っぽくて嫌、他の人にも似合わないと思われてるというのは、自分が思い込んでただけなんだなと気が付きました。他にも「見た目と雰囲気のギャップがあって萌えるよ!」「インパクトがあって覚えやすい」「漢字もかっこいいね」なんて友達が伝え続けてくれたので、名前を言うことに対する抵抗がなくなりました。

おかげで人前に出ることも恥ずかしくなくなったし、初対面の人と話すことが楽しくなりました。

中学に上がってしばらくすると、授業で”自分の名前の由来を調べよう”という課題があって、名前の由来をお母さんに聞いたんです。するとこう教えてくれました。「あきら」という名前は漢字で「晶」と書きまして、『キラキラと自信を持って輝いて欲しい』という意味を一文字で表現したかった。だからこの名前にしたのよ、と。それを聞いて、漢字も含めて自分の名前を好きになれました。

高校に上がる頃には、すんなりと自分の名前を言えるようになれたし、嫌だなと感じることはもうありませんでした。

当時の自分のことはどう思いますか?

「こんなことで悩んでて可愛いな!」と笑ってあげたいです。
もちろん、その時はすごいコンプレックスでしたけど過去の自分に会えるなら「大丈夫、自信を持って。と励ましてあげたいですね。

保育士として働いていたとき、自分の名前がとても役に立ったんです。保育園では、担任をしているクラスの子たち以外の子どもたちとは、あまり関わる機会ってないんですよ。「あきら先生〜!」って抱きついてきてくれる子もいっぱいいましたけど、スキンシップを取りにくい子もいました。私は子どもが好きなので、なるべくみんなと仲良くなりたいなと思ってたんです。

突然なんですが『アキラ100%』という芸人さんを、みなさん覚えてますか?彼は私が働いてた保育園の子どもたちにも大人気だったんですよ。みんなアキラ100%の真似をし合って笑ってて、みたいなそんな感じでした。偶然にも私は名前が一緒で、子供たちによく名前をいじられてまして。それがきっかけで、普段関わることの少ない子どもたちと仲良くなれて、この名前で良かったなと心底思えた、なんてこともありました。(笑)

最後に、同じコンプレックスを持つ人にメッセージをお願いします。

名前というのは、気が付いたらなんとなーくいつのまーにか好きになっているものかもよ、と伝えたいです。名前って変えられないじゃないですか。でも、いつかどこかで、ひょんなきっかけで嫌いじゃなくなることもあるんです。だからたとえ自分の名前を好きにはなれなくても、せめて嫌いにはならないで欲しいなと思います。

コンプレックスって、それに対して抱く感情や向き合い方も人それぞれだと思うし、それぞれでいいと思います。「乗り越えよう」「克服しよう」と思うことも必要だと思いますが、好きな部分も嫌いな部分も“私”であることに変わりはないので、思い詰めすぎずに「私は私。コンプレックスを持っている私もまぁいっか」的な軽い気持ちで、自分を受け入れてあげることが大切かなと。あくまでも私の考えですけど!

自分を認めてあげられたら、「これが私ですが何か文句ああります?」くらいの気持ちでいてもいいと思いますよ!

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