田島さんヘッダー

013.『許されないコンプレックス』

ーーゲスト紹介ーー

田島英佳(たじまあやか)
福岡県出身。大阪の大学院に通っている。毒親苦悩協会会長。毒親に悩む人の味方。毒親の会社への直接メールをきっかけに内定辞退→その対処に追われうつ病に。現在、うつ病治療中&就活中。毒親とうつの情報を発信している。田島さんのnoteはこちらからどうぞ!(note名:あきは)

画像1

どんなコンプレックスですか?

『母の理想の姿として生かされてきた』ことが、私のコンプレックスです。家族という関係性のなかで、田島英佳という一人の人間として存在することを許されなかった過去が今も、私の心に苦しい記憶として染み付いているんです。

親が子に何かをするのは、たいていは子の幸せを願っているからですよね。それは理解しているつもりです。しかし母は、それにしてはあまりにも私の人間性を無視した言動を私に押しつけ続けてきました。それはもしかしたら愛情だったのかもしれないですが、少なくとも子どもの立場からすると支配だと感じるものでした。

始まりは小学生の頃。母はよく「女の子なんだから」と口にする人でした。私を大和撫子のような、長い黒髪で清楚な女の子に育てたかったようで、一緒に買い物に行くと私の意見を無視して母が着せたい洋服を買い、散髪に行くと母がさせたい髪型にされてました。私が要望を言うと、どれだけ泣いて謝っても母の気が済むまで延々と怒られる。それは大学進学で実家を出るまで続きました。

そうやって母に作られた私は、とても違和感があるものでした。だから頻繁に反発してたし、とくに中学時代は過呼吸になりながら学校に行って毎日のように友達の前で泣いてました。とはいえ”母が作った私”と”本当の私”はどう違うのかがわからず、本当の私は存在してはいけないのだと感じながら生きなければならないことに、どうしようもなく苦しんでいました。

どうやって乗り越えた?

今も、母に作られた自分を払拭できてはいません。ですが、ひと山乗り越えたという感じです。

きっかけは、実家を出て長崎の大学に行って初めて、母の言う通りに生きなくてもいいことを知ったことでした。私は私自身で自分の容姿も思考も、将来も決められるのだと。そして”本当の私”は存在してもいいのだということが、人生で初めて知ったんです。それから、親が作った私と本当の私がどう違うのかを探すようになりました。

”本当の私”を見つけるために、まずは『毒親』というキーワードでいろんな情報を集めるところから始めました。子どもを支配しようとする親との向き合い方とか、親の育ってきた背景を考えてみるとか、どういうタイプの人が毒親と呼ばれる親になってしまうのかなど。とくに水島広子さんという方が書かれた『毒親の正体』という本は参考になりました。

それらの情報のおかげで、母への見方が変わったんです。とくに大きかったのは、私の家庭にあったのは母から私への一方通行的な支配だけでなく、私から母に対する「親はこうあるべき」という思考の押し付けもあったんだろうと思えるようになりまして。母は過去に女の子らしく生きられなかったんじゃないか、その強い憧れが私で満たしてるだけなんじゃないかと思うと、今までの私に対する母の言動が受け止められるようになったんです。

するとだんだん”母が作った私”を客観的に見ることができるようになってきて、本当の私を切り離して認識することができるようにはなりました。

過去の自分にどんな思いを抱いていますか?

「よくぞ頑張ってくれた」という気持ちです。今までに母から受けた人格否定の言葉の数々は、定義としてはDVに当てはまるものもありましたが、そんな環境でよく親子の問題から逃げずに向き合ってくれたと、よくぞ自分の味方で居続けてくれたなという気持ちをもっています。

母に本当の自分がいることを認めてもらえなくて苦しんできたわけですが、それを象徴する事件が就活のときに起こりました。私の両親はともに医療系の仕事に携わっていて、私と弟にも医学の道を進むようにと、直接は言わないけどそれとなく要求をし続けてました。その甲斐あって弟は医者になったのですが、大学生になった私は人生の選択までも強要されるのが嫌で、IT企業に内定をもらって入社することに決めまして。両親と弟には「お前は頭がおかしい」と言われましたが、それが自分らしい選択だと思ったんです。

一応、就活を終えた報告を母にしました。すると、母は私の内定取り消しを求めるメールを内定先に送ったんです。会社は「本人の意思がありますので」というリアクションを取ってくださったので大丈夫だと思っていたら、大阪の家に母親が来たんですよ。そしてスマホを没収されまして、「あなたに自由はないのよ」みたいなことを言われました。

そこで、自分の生活を守るために、スマホを契約し直したり、住民票を移したり自分でマイナンバーカードを紛失したことにして作り直したりしまして。最終的には「あなたとは縁を切る」と言われたくらいの騒動でした。

そんな母親を相手に、自分が信じる自分という存在を守り続けてくれた過去の私は、本当に頑張ってきたなと思います。

田島さんと同じく親との関係に苦しんでいる方に向けて、メッセージをお願いします。

「自分が自分らしく生きる場所は家族でなくていいんだよ」ということをまず、強くお伝えしたいです。親との関係に苦しんでいるみなさんは、誰かに相談したとき「家族なんだから仲良くしなきゃ」と言われたり「親と仲良くできない自分はダメだ」と思ったりすることもあると思います。親には「ここまで育ててやったんだから感謝しろ」「本当は愛してるんだよ」なんて言われることもあると思います。

前提として、親は嫌いでもいいんです。今、もしかしたら自分の世界に親しか見えなくて、親が世界のすべてだと感じている人もいると思います。そんなことはないです。やっぱり世界は広いです。私は子どもの頃に、もっといろんな世界に行ってみたらよかったなと、ちょっぴり後悔してます。人がたくさんいるところに行って、自分ってなんだろうって考えてみる。すると、親が作った自分じゃなくて、本当の自分が見えてきます。そしたら、いつでも帰ってこれる場所は家族じゃなくていい。自分のなかにあるんだと思えるようになります。

みなさんが、みなさんらしく生きられることを願っています。

画像2


お読みいただきありがとうございます。現在、『コンプレックス大百科』は個人ですべて運営しており、サポートしていただけると、コンプレックスを取材させていただく方へ謝礼代わりにごちそうしているささやかな飲み物にお菓子を添えれるようになります。