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白い象のお話

twitterを始めた頃だからもう何年前だろう、140文字だから「つづく」と繋ぎながら書いたお話をしようと思います
…嘘書くかも

インドのお話だったと思うな


昔あるところに貧しい兄妹がおりました
まだ子供でしたが、
親がなくなり、
とうとう食べる物がなくなりました
二人は生きるために家を捨て歩き出しました

暫くするととても大きな白い象に出会いました
とても大きかったので、
二人は食べられてしまうと思い
覚悟を決めました

すると白い象は優しい声で話しかけてきました
「あなたたちはどこへ行くのですか」

兄は言いました
「食べる物を見つけにいきます」
妹が言いました
「お父さんとお母さんは死んでしまったの」

すると白い象はこう言いました
「ここから少し先まで歩かなければなりませんが、
この道をまっすぐ歩いて山に登ります
そうすると山の上から見下ろせる谷に
一匹の象が死んでいます
あなたたちはその象を食べてください」

そう言うと象は茂みの中に歩いていきました


兄妹は白い象が言った事を信じて道を歩きました
風が吹きました
雨が降りました
晴れて暑い日もありましたが
兄妹は懸命に歩き、
とうとう山まで到着しました

山の道は険しく幼い妹は木の枝でできた怪我が痛いと泣きましたが、
兄が優しくおんぶして歩きました
どんどんどんどん山の上まで登り
兄妹はとうとう山頂に着きました

そこからお日様が差し込んでとても綺麗な谷が見えたのです
あぁ、ここのことなのかな
そう兄が思った時谷底に何か白い大きなものが見えました


それは道で優しく声をかけてくれたあの白い象でした
兄妹は疲れも忘れ谷底に駆け降りました

白い象は死んでいました

暖かな光が白い象を暖かく包んでいました


兄妹はお互いを抱きしめて泣きました
暫く二人は象を優しく撫でながら泣き続けました

そして二人は涙を拭き、
見つめ合い、頷き合いました

白い象に跪きお祈りを捧げました
そしてその肉を少しずつ切り取りいただきました
お腹いっぱいいただきました
そして残りの肉を適度な大きさに捌き、
焚べた日で焼いて、
持ち運べる様に葉っぱで包みました

そしてもう一度跪き、白い像の亡骸に言いました

「白い象さん、あなたは、僕たちのためにその命を与えてくださったのですね
そのお陰で僕たち二人はまた生きていけます
本当にありがとうございます
本当にありがとうございます」


二人は丁寧にお礼を言い、
白い象の亡骸にさよならを言い、
谷を後にしました

二人はまた前に進んでいくのでしょう


…そんな感じでした

自己犠牲のお話
そして逞しい兄妹の将来が見えそうなお話でした

これは世界のお話の絵本に載っていたと記憶しています
読んでいっぱい泣いた覚えがあります

白い象は自分の価値を知っていたから
幼い兄妹がこれから生きていくために自らの命を差し出したのでした
尊くて、辛くて、でも勇気のある事です


自分は何ができるんだろう…わからなかったのでした

でもずっと心に残るお話です

あなたは
何が見えますか
あなたは
何が自分にできますか


白い象は語りませんが
胸を打つ行いで私たちに生きる事を教えてくれます


語り継ぎたいお話です

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