見出し画像

怒鳴る人

ある日「怒鳴るひと」を3人も見た。
1人目は仕事の昼休みにライフ中崎町店へ買い物に行ったとき。
店内に入った瞬間、レジあたりからジイさんの怒鳴り声が聞こえた。
どないしたんや、と見に行ったらジイさんは叫び終えて清算済みの商品が山積みされたカゴをカートに載せてそのまま出て行こうとしていたところだった。
怒りの余韻もなく、やったったという得意げさもない、横顔の無表情感が印象的だった。
一方、怒鳴られた店員に別のジイさんが声をかけていた。
「大丈夫か?あいつ、いっつもあんなんやねん。気にしたらアカンで。もしまた何かあったら、いつでも言うてや。」
ジジイ何者やねん。いつでも言うてって…、ジジイお前いっつも何処におるねん?
管理人マツオカ的には、こういうジイさんの方がヤバい気がする。

2人目は仕事終わりにケンタッキーフライドチキン梅田店の前を通ったとき。
「This is 自営業やってまーす」な高そうやけど何処で買ったのか分からん服を身に付けたオッサンと奥さん?彼女?のペアのオッサンの方が、スマホに向かってブチ切れてシャウトしてはる。ものすごく声が通る人が大音量で叫んでいるけど、何をしゃべっているのかが全く分からない。
前を歩いている20代の男性2人連れの片方が連れに向かってしゃべりだす。
「おるなぁ~、あんなオッサン。ウチの社長もあんなんやで。この前なんか、屋根の上からあんな調子で延々とキレられたわ。」
オッサンをやり過ごして「ゲロ通り」を大阪駅へ向かって歩いていたのだけど、TOHOシネマズあたりまで怒鳴り声は聞こえてくる。
怒鳴ったモン勝ちが沁みついている自営のオッサンほど哀れな生き物はいない。身近にいたとすれば、その辺で落とし穴でも作ってやろう。

3人目は、JR神戸駅の中央改札口の北側を歩いていたとき。
私はコーヨー神戸駅前店で食材を購入して(小売市場で買わなくてスンマセン)市バスのターミナルへ向かう途中だった。壁にもたれてスマホを触っていた女性が前方に見えていたのだけれど、待ち合わせ?をしていたらしい爺さんがやって来て女性に声をかけた瞬間に、大音量の「This is 金切声」を発し始めた。何を話しているのか全く分からない。それなのに「This is 金切声」は止むことなく延々と続く。なんちゅう肺活量をしているんだ。
それより何より、その寝ぐせどないかせんのか?スウェットに付いている毛玉は何とかならんのか?
そのへんにバナナの皮とか置いときたくなった。

怒鳴るという行為は、考えることを止めること。
怒鳴る人とは、養老先生のおっしゃる「バカの壁」が脳ミソの中、其処らじゅうに立ちまくっている人。
「怒鳴り続けたら、相手が言うこと聞いたわ」という甘い成功体験が、怒鳴る人を固着させる。
かの国のプーさんだって、おおむね「怒鳴る人」なのだろう。
世の中便利になって技術が進歩したって、ヒトが同様のスピードで進歩しているわけじゃない。
むしろ便利になったから、不便を知恵や工夫でやり過ごすことを止めてしまった人が増えたのではないだろうか?
この日は、怒鳴る人から色々教わった。
教わった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?