私はAIに監視されている
今私は、AIに監視されながらこの文章を書いている。
私の仕事はプロジェクトごとの独立採算性で一つプロジェクトが一つの事業体となる。私はスナックの雇われママのように経営者から店を預かりプロジェクトを運営する。
そんなスナックもあれよあれよと従業員が増えて来月には50人を超えそうだ。50人を超えると途端に企業として法的な義務が一気に増える。従業員の安全や健康を守るために必要とされる義務で、以下のとおり。
と言うことで正直結構めんどくさいので50人以下で運営していたかったのだけれど、そうもいっていられなくなったので50人以上で組織運営するための準備を進めている。
その中で研修を受けないといけない内容があり、他のメンバーでもいいのだけれど皆が忙しい中で講習を受けさせるのが申し訳なく、一番暇そうな私が講習を受けることにした。我ながらサーヴァントリーダーの鑑だと思うけれど、誰も言ってくれないので自分で言っておく。
講習を調べてみると2日がかりで9時間もかかる。さすがにしんどいなぁと思っていたら、WEB講習もあるということでそちらを受けることにした。
WEB講習であれば自宅で受講できるし、土日を使って講習もできるので業務への影響も最小限にできる。ワークライフバランス上はどうかと思うけれど。
と言うことで今講習を受けているのだけれど、講習中はカメラをONにしてちゃんと受講しているかをAIが監視しているのだ。AI監視中と常に講習動画の脇に表示されている。すごい時代になったなあと思うけれど、AIは私がビールを飲んでいようが、noteを書いていようがあまりに気ならないようだ。くたびれた天下りのおじいさんが9時間延々と単調な調子でありがたい講習をしてくれているのを、カメラに顔を映しながら聞いていたのだけれど、途中で飽きて音声もオフにしてしまった。AIはそんなことも気にしないようだ。
厚生労働省の天下り社団法人によるありがたい講習に17,000円と9時間が費やされ、内容なんて誰もきいてやしない。こんなことをしているから日本経済が停滞するのだろう。まじめに聞いて私の9時間を奪われるよりも17,000円でカメラだけONにしておけばいい、と言うのは良心的な対応なのかもしれないけれど。
うっかり画面から顔がずれるとAIが警告してくる。でもわたしがまじめに講習を聞いているかどうかなんて、AIは気にしていないし、厚生労働省も気にしていない。私の会社から17,000円が一般社団法人に振り込まれ、厚生労働省のキャリア官僚OBは何度も退職金をもらいながら転職を繰り返す。終身雇用からの脱却を官僚たちはしっかり実践している。
講習しているくたびれたおじさんの代わりに講習内容をAIで簡単に音声化できるのだけれど、そこまでは厚生労働省も知らないようなので、誰か教えてあげたほうが良いと思う。
AIに仕事を奪われないために一番必要なこと。
それは、仕事を奪われないように権力による囲い込みをおこなうことだということがよくわかる、そんなAIに監視されながら過ごす、有意義な休日。
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