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外資系大企業から日系スタートアップへの転職 後日談

想像を超える大きな反響をいただいた、こちらのnote。早いもので、あれから2ヶ月が経ちました。

共感や納得、応援など、反応は様々でしたが、「で、実際のところ、入社してどう?」というお声も少なからず頂いていますw

「最初の1ヶ月は主に入社時オンボーディングを受けていた」と答えると、「スタートアップでオンボ1ヶ月あるって、珍しい…というか、聞いたことない!」と、驚かれる事がほとんど。私自身も、「基本オンボなし」「PCセットアップは自分でやるもの」という環境で育ったので、初めて聞いたときはとても驚きました。

入社時オンボーディングは、社内の仕組みをまとめて伝えられるチャンス。強いスタートアップほど仕組みを整えているようです。

そこでこのnoteでは、入社後1ヶ月のオンボーディングで ①やったこと、②わかったこと、そして ③全体を通しての所感 を語ります。

  • 成長中のスタートアップでの具体的なオンボーディング内容を知りたい

  • オンボーディングのコンテンツ・やり方に悩んでいる

  • 大企業→スタートアップ転職のその後が気になるw

等などの疑問が、少しでも解消すれば幸いです!

① やったこと

3月下旬からは担当する図面活用SaaSの業務も徐々に始まりましたが、上旬〜中旬はオンボーディングに全集中していました。その内容は、大きく3つ。

1)組織・ビジネス全体像の理解 2日間
2)ビジネススキル向上 4日間
3)受発注ビジネスを知る 14日間

キャディ入社時オンボーディングプログラム 2022年3月現在(今後変更の可能性大いにあり)

それぞれどんな事をしたのか、ご紹介します。

1) 組織・ビジネス全体像の理解 

組織や自社が扱うビジネスに関する研修、新入社員の自己紹介等は、実施している会社が多いのではないかと思います。

特に印象的だったのは、入社初日から「ミッション・バリュー・カルチャー(MVC)」を考える3時間のワークショップが組まれていたこと。

現在の300人体制から、向こう3~4年程度で1000名規模の体制への拡大を目指すキャディでは、組織として一丸となるうえで、カルチャーに対して全員が当事者意識を持つことが超・重要です。一般的に、企業カルチャーは組織サイズによって都度アップデートしていく必要があるのですが、なにぶん急成長期なので、非常に短い期間で更新しなくてはいけない。「この課題は結構大きなチャレンジになりそうだぞ」と、入社前から気になっていました。

その打ち手の一つが、初日に行う体験型のワークショップでした。自分自身でMVCを考えることで、自然と当事者意識を持つことができる。よく練られたプログラムだな〜と感心しました。

2) ビジネススキル向上

次に驚いたのが、ビジネススキルの向上に関するプログラムが、かなりみっちりと組まれていたことです(対象はビジネスメンバー中心で、エンジニアは除く)。キャディに集まるのは、新卒〜50代まで幅広い年代の、様々な業界出身の超多様なメンバーです。当然、持っているスキルも様々。個人が想像の及ぶ範囲を明らかに超えた、非連続な目標達成(=ムーンショット)に邁進するうえでは、ある程度共通のスキル基盤を持つことが欠かせません。

そこで用意いただいていたオンボーディングテーマがこちら。

  • スプレッドシート

  • 議事録

  • スクラム

  • 情報アーキテクチャ(SQL含む)

スプレッドシートや議事録は、これまでの10数年の社会人生活で(嫌というほど)経験してきたので、正直、「大体知ってることだろうけど、一応受けとくかなー」くらいのスタンスでしたが、そんな過去の自分を殴りたくなるくらい、充実の内容でした。

まずはスプレッドシートについて。

スプレッドシートって、便利だけれど、実はある意味厄介なツールなんですよね。データを「貯める・集計する・視覚化する」を全部同じシートでできてしまうので、作り方によっては超カオス化。非効率な仕事を大量に生みかねません。

キャディのスプレッドシート研修では、業務でよく使うデータの正規化、名寄せ、そして大量の関数を自習式で学びます。最終的には、それらすべてを理解し使いこなさないとクリアできない課題を制限時間内に解いて、やっと合格です。しかも、当然のようにマウス使用NG(ショートカットキーの方が断然早いですもんね)。

(すみません、正直、舐めてました)

斜に構えていた私ですが、与えられた時間内では終えられず、数日後に時間を作って取り組みやっとクリアできたのはここだけの話です。。。

続いて議事録です。

突然ですが、あなたは、これまでに議事録のとり方を体系的に学んだことはありますか?

私はありませんでした。それでも業務は回せていましたし、「さわさん(まつきさん)の議事録はわかりやすい」と感想を頂くこともあったので、完全なる自己流ですが「私は議事録はとれる」と思い込んでいました。

が、甘かった…。

内容をざっと要約しますと、まず、議事録として出回っている文章は、大きく3種類に大別されます。

A)会話ログタイプ(誰が何を言ったか、詳細に書き起こすタイプ。エビデンス収集が目的)

B)構造化タイプ(会議の概要を簡潔にまとめるタイプ。内容のキャッチアップが目的)

C)論点別タイプ(中途半端タイプ… 目的が明確でない?)

キャディ入社時オンボーディング資料より一部改変して引用

ビジネスでの議事録の目的は、エビデンス収集または内容のキャッチアップの2択だと思います。一般には、内容のキャッチアップを目的として書かれる議事録が多いのではないでしょうか。私自身、これまで内容のキャッチアップを目的とした議事録をたくさん書いてきましたが、アウトプットしてきたのはほぼ全て中途半端な論点別タイプでした(反省)。

構造化タイプの議事録なら、議事録の読者が会社のトップでも、マネージャーでも、メンバーでも、全員が必要とする情報を最短でキャッチアップできます。

戦略コンサル系企業の出身者の方は、ジュニアの時期に1−2年かけてみっちり先輩から議事録のとり方を叩き込まれるようですね。そんな試練を乗り越えてきた方々曰く、「何なら、会議が始まる前に議事録は大体書ける」とのこと。衝撃でした。。。

(すみません、正直、舐めてました ※2回目)

そして、スクラム

スクラムと聞いてすぐに何かピンと来る方は、きっとアプリやソフトウェアの開発に携わったことがある方ではないかと思います。雑に一言で表すと、プランニング手法の一種です。
(私はキャディで初めてスクラムというワードを聞いたときに、一瞬「え、ラグビー?」と頭をよぎりましたが、いや絶対違うな と思ったので口には出しませんでしたw)

キャディでは、前もってプランニングしながら(Shift Left)アカウントプランの遂行を基本とするために、スクラムという手法を導入しています。

なぜスクラムを選んだのか?の理由はこちら。

▷ フォーマットが一定確立されていて乗っかりやすい
(運用ツールとしてのJIRAや各種フレームワークの確立)
▷ 日次、週次で進捗が見える化されやすいフレーム、運用がある
(バーンダウンやスプリント未達がビジュアルでも理解できるレベルでマネジメント可能)

キャディ入社時オンボーディング資料より一部引用

このスクラム、キャディの受発注ビジネスですでに導入され、とても大きな成果が出ています。現在立ち上げ中の図面活用SaaSでも、開発チームだけではなくビジネスチームもスクラムを回していきます。

ビジネスをスクラムで回す事例はほとんど無いと思うので、詳しく知りたい、という方は、こちらのイベントもどうぞ!(開催済みですが、アーカイブを視聴できます)

これまでプロジェクト管理に携わったり、自分自身がオーナを担当させていただいたこともありましたが、割と自己流でやってきたので、これからスクラムを日々実践していくのが楽しみです。

最後に、情報アーキテクチャ

こちらも再び雑に要約すると、データ構造をしっかり理解して自在に使えるようになると、あなたの可能性は無限、ということでしょうか(社外秘も含まれるのであまり書けないw)

SQLについてはこれまでノータッチだったので、パラダイムシフトでした。
これでvlookup地獄から抜け出せる…!
オリジナルダッシュボードが作れる…!?

と、会場が沸いていました!

3)受発注ビジネスを知る 

そして最後にお待ちかね、オンボーディングのメインとも言えるキャディの受発注ビジネスの詳細を知るための14日間なのですが・・・社外秘なのであまり詳細は書けないことをお断りしておきます、すみません!

キャディでは、国内総生産180兆円規模を支える製造業のうち、120兆円もを占める調達領域において100年以上イノベーションが起きていないことに着目し、テクノロジーの力で課題を解決するサービスを提供しています。

製造業は、180兆円規模の国内総生産額を誇る、日本の基幹産業です。実は、その内の120兆円程度が、部品調達にかかるコストによって占められています。 これほど大きな比率を占めているにも関わらず、調達分野では100年以上大きなイノベーションが起きてきませんでした。 

なかでも、全体の約3分の1を占める多品種少量生産業界(大型輸送機器、産業機械、医療機器業界など)の部品調達においては、不安定な受発注、発注や見積にかかる手間、調達コストや生産側の赤字比率の高さなど、発注側・受注側双方に様々な社会課題がありました。 

これらを解決すれば、日本国内にとどまらず、世界中のメーカーがより付加価値の高い仕事に注力でき、モノづくり産業全体が持つポテンシャルを最大限発揮できると考えました。そこから、キャディは、特注品の発注者と全国の加工会社を自動見積のテクノロジーを用いてつなげるサービス「CADDi」を、世界に先駆けて開発しました。

キャディ株式会社 わたしたちについて 企業理念 より一部引用

自動見積といえど、現在のキャディではまだまだ人の手やスプレッドシートを必要とする部分も多く、非常に複雑なオペレーションによりサービスを提供しています。「100年イノベーションが起きていない分野の難しさは伊達じゃないな…」と、何度も思いました。

なお、最中の感想はこんな感じです。

(この直後に難易度が一気に上がり、「あの程度の図面を読めるようになってドヤ顔してた自分、恥ずかしい。。。」となりました)

② わかったこと

いやー、入社前の自分に言いたい。「オンボーディング、舐めてかかったらあかん」と100回言いたいw 

オンボーディング全体を通じてわかったことが大きく3つあります。

一つ目は、「わかってなかったことが、わかった」。

社会人十数年目にして、ビジネススキルで知らないこと・学ぶことがこんなにあるなんて。

挑む壁がとんでもなく大きいから、キャディで働くことを選んだわけですが、それを実際に行うのがどういうことか、全然わかっていなかった。

二つ目は、教わったことをできるようにするのは自分の責任、ということ。

オンボーディングを通じて一通り体験させていただきましたが、まだまだ身についたとは言えません。

そう思っていたところ、Twitterでタイムリーな記事が流れてきて共感の嵐だったので、ここに引用させていただきます。

「教わった」、 それはきっかけにすぎない。

教わったことを、どう理解・解釈して、 自分の中に取り込むか。

教わったことを、 実生活の中でどう取り出して使うか。

教わったことに対して、 足りない自分のチカラを、どう鍛錬して 高めていくか。

教わったことを、どう習慣づけていくか。

そこまでを、自分の責任において、 主体的にやっていかないかぎり、 どんな良いことを教わったって、 その場限りなんだ。

「教わったからって、 自動的にできるようになるわけじゃない。」

「うまく教えるのは先生の責任。」

そして、

「教わったことを できるようにするのは、私の責任。」

そこを間違えなければ、 春から何を教わっても大丈夫!

教わったからって、できるわけじゃない - おとなの小論文教室

オンボーディングで教わった事を、実際の業務で振り返りながら腹落ちするまで反復し、他人に説明できるようになって初めて、「できるようになった」と言えます。

それは人任せにせず、自責として行っていきたいです。

そして三つ目は、同期入社のメンバーの素晴らしさ

ここまでお読みいただいた方にはお分かりの通り、キャディは新入社員の育成にかなり力を入れています。しかも、それを特定の部署が先導を切るのではなく、社員が自発的に行っているのです。企画・実施・振り返り、すべてが部門横断のトレーニングプロジェクトにより運営されています。

そんなオンボーディングを積極的に受けるのはもちろんのこと、「お互いに助け合う」「自らカイゼンに関わる」のが3月入社の同期メンバーでした。

  • スプレッドシート未経験のメンバーが関数に苦戦していたら、詳しいメンバーがそっとフォロー

  • 製造業未経験のメンバーが2D図面を読めずに困っていたら、展開図を描いて教えてあげる

    • 先輩の中には、「2D図面の理解を早めるには、3D図面を書けるようになるといいよ」とCADの使い方講座を立ち上げてくださった方も!

  • 今後のオンボーディングをより良い内容にするべく、最終日にフィードバックを集める2時間のワークショップを自主的に企画

    • しかもフィードバックするだけじゃなく、改善案もセットで議論!

わからないところはお互い相談しながら進めていきます
ディスプレイに付箋が貼ってある=課題クリア済&質問OKのサイン

先ほど引用した記事に、この一文を付け加えさせてください。

「教える内容をさらに良くするのも、自分達の責任」

成長できるカオスな環境を求めて集った、優しく頼もしい同期の皆様。
今後それぞれ異なる部署に配属となるので、ほとんどの同期とは一緒に仕事をする機会はないかもしれません。

寂しくもありますが、この大変なオンボーディング期間を一緒に乗り越えたことで、強固な絆が生まれました。それは今後の仕事をこなしていく上で精神的支えになりますし、なにより人生の財産にもなっていくと感じています。

③ 全体を通しての所感

一言でいうと、『社会人1日目からこのオンボーディングを受けたかった』。これに尽きます。

受けてたら、多分人生変わってたな、と。

当たり前ですが、身の回りにあるモノはすべて誰かが製造・加工してくれている。そのおかげで、今の便利な生活があります。製造業は未経験だったので、それが具体的にどう実現されているのか、全然知りませんでした。

知らないことを知るのは、単純に楽しい。

できなかったことが出来るようになるのは、達成感があります。

「アラフォーでも青春できる場が、ここにある…」

と思ってキャディへの入社を決めたわけですが、それが入社直後から実現できていることを、ここにお伝えします。

おわりに

以上が、1ヶ月の振り返りです。

オンボーディングを終えたのも束の間、図面活用SaaSの1人目カスタマーサクセスとして、通常1〜数年かかって整えるフローを3ヶ月で作り上げるという大仕事が始まりました。

受発注ビジネスも図面活用SaaSも、仲間を募集しています!

職種が多すぎてリンクを貼りきれないので、とりあえずはこちらw

特に図面活用SaaSでは、「最初の10人」のうち、まだ5人しか集まっていません。将来的に100人、1000人になる組織の最初の10人。残りの5人を大募集中です!

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