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信じられないワタシ


「つば吐き捨てられた?!」

いつものように歩きスマホで駅へ向かう私。
Instagramチェックもひと段落、ふと気がついたスマホの汚れ。

よく見ると、画面の左側にベッタリと。
白いクリームと透明な水分の混ざりきれてない様な、得体の知れない「何か」が付着している。

慌てて見上げる。午後8時の夜空。比較的街中で星は見えないが
雨が降っている気配もなし。

私は少し前の事を思い返した。確か、誰かとすれ違ったかも。
落ち着いて思い返す。うん、確かにすれ違った。
しかも狭い道でギリギリ人とすれ違ったよ。

そして、高校の頃、男子がよく道の端にやっていた「ぺっ」を思い出した。
そして背筋がぞっとした。

もしかして…もしかして。。「ぺっ」ってした?!
「ぺっ」かもしれない? え!私の事見えて無かったって事?!
それとも…まさかわざと?! どっちにしても汚い!!

ぞっと冷えた背筋と対照的に、混乱した私の頭では血流が急上昇している。

いやいや、流石に人に向かってそんなことしないだろう。
うん、そんなのテレビドラマでしか見たことない!

ただ、この私の住んでいる地域、決して治安が良いとは言えない。
私は可能性を捨てきれず、複雑な気持ちでコンビニを探したが見当たらず、鞄からティッシュを取り出すべく、近くの街灯の元へ駆け寄った。

すると、私は香りに気付いた。それもとても良い香り。
私は推測した。さては、この「ぺっ」の主、飴舐めてたな。

そんな事を考えながら、取り出したティッシュでスマホを拭うべく街灯の明かりに照らす。

私のスマホケース、左側がポケット付きの手帳タイプなのだが、何やらプラスチックの容器が挟まれていた。

同時に、このスマホにベッタリとついた、得体のしれない「何か」の正体に気づいてしまった。

今日の昼間使った試供品のクリーム。その使い終わったゴミの処分に困った私は、一先ずスマホのポケットに挟んだのだ。
使い切ったはずが、閉じた際圧縮され絞り出されたのだろう。

私は合点がいき、「あ~…」と声を漏らしながら、ほっと胸をなでおろし、綺麗にふき取った後、再び駅までの道のりを急いだのでした。

他人を疑うのって良くないですね。完璧な私の被害妄想です。
人は、「信じられない!」って事態に遭遇した時、声でないんだなって思いました。「声にならない」ってこういう事なのね。

そういえば、高校生の頃よく目にしていたあの「ぺっ」行動。
大人になった今、あまり見かけなくなったな。





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