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性加害問題と80年代のグルーピー

漫画やアニメオタクだったゆくよですが、実は若い頃、ハードロックファンでもありました。

なぜかというと、80年代に大ブームだったハードロックやヘヴィメタルは、どこかアニメソングに近い要素があったのです。

日本でもバンドブームが巻き起こり、たくさんの和製ロックバンドがデビューしました。

そんなゆくよも二十歳前後の頃、音楽関係の仕事がしたいと思い、ミュージックショップでバイトをしていたのです。
すると職場周りは、当然ロックファンの人ばかり。
その中に、バンドのグルーピー、通称「ピー」を友だちに持つ子たちもいました。

その子たちから聞いた話です。

「グルーピー」「ピー」とは、ロックバンドが好きで、バンドのメンバーと気軽に性行為をする女の子のことです。
ツアー中のバンドが泊まっているホテルなどで出待ちし、お目当てのメンバーに声をかけてもらえれば、すいすいとホテルの中についていきます。

彼女たちは「ピー」であることに、なんら恥じる気持ちはありません。
本人も好きでやっていてるのです。

「ピー」の中には、海外の有名なロックバンドのギタリストから、プロポーズされたという子もいました。
その子が朝ご飯に作ってあげたお味噌汁が、たいそう気に入ったのだとか。
けれどもその「ピー」の子は「これからもピー活動を続けたい、一人に絞りたくない」という理由で断っていました。笑

そんな時代でした。

それでも、そんな「ピー」でさえ、嫌がっていることがありました。
それは、バンドのメンバーに誘われてついていったら、その部屋に複数人のスタッフが待ち構えていて、スタッフらに不本意な性行為をされてしまうことです。

いくら「ピー」でも、「それは違う」のです。
それは「不同意」になるのです。
性加害になるのです。

さらにその時、お目当ての相手だったメンバーが行為を終えるなり、「俺は終わったから、お前らやっていいぞ」みたいに、手下に「払い下げる」ような態度を取ると、好きだったメンバーへの怒りや、悲しみも湧きます。
すると、最初に事前の同意があったメンバーとの行為も、女性の心の中では性加害へと変化してしまうのです。

「ピー」でも「熱烈なファン」でも「双方同意」でも「枕営業」でも、そこに当人だけでなく、スタッフなど「知らない人」が関わってきた場合、それは性加害になる可能性が非常に高くなります。

「ホテルについていったほうが悪い」という意見もありますが、お目当ての相手にホテルについていったら、そこに、知らない男たちも複数人待ち構えていた、となると話は別なのです。

ただ、当時の「ピー」たちはそういう目に遭っても、警察に行ったり告訴することはなく、事件化することもありませんでした。
みな、泣き寝入りです。

ただ、彼女たちはこんなことを言っていました。

「でも、そういうことをするバンドって、結局すぐに消えて行く」
「そうそう、ピーにひどいことするメンバーのいるバンドは、結局売れない」と。。。

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