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決戦の土曜日 前編

こんにちは、マタイです。
もうずっと恋煩いをしている「あの子」との初デートについてご報告致します。例のごとく文章を書くのは苦手です。見苦しい点が多々あるのはご容赦ください。

デートの前に

なぜこの日になったのか。
それはひとえに私の簿記2級試験日だったからです。いきなり○○日にどこか行きませんか?と誘うより、「簿記試験あるから終わったらお昼ご飯食べに行ったりしない?」という方が誘いやすかったからです。また人間の心理として、些細だったり成立していなくとも理由さえあれば同意しやすいというのもあります。
そうです、実はだいぶ打算的にお誘いしました。

さて、その肝心の簿記試験ですが敢え無く敗退致しました(ぴえん)
通常短くて3か月の勉強期間を要する簿記2級試験を無謀にも3週間で挑戦。寝食を惜しんで死力を尽くしましたが58点(合格70点)でした><

待ち合わせ

待ち合わせは名古屋駅に12時としました。
簿記試験が11時30分に終了、後処理に10分、移動に10分と考えてのことでした。実際に待ち合わせ場所に着いたのは11時45分。彼女は11時55分着の電車で来ると目星を付けてはいましたが、とりあえず周辺を探しまだないのを確認して待つことに。久々に彼女に会うのでドキドキが止まりません。

(あー、デートって待ってる間もデートだったなー)

なんて遠い昔を思い出していました。でも彼女が到着したら落ち着いてクールに対応しよう。そう決めてスマホを触っていましたが、心ここにあらず。スマホなんて見ている振りで、実際は周りの気配を探っていました。こちらに向かってくる女性はすべて彼女だと思ってドキドキしたりする過剰っぷり。

(やべーもう楽しいww)

と今にもニヤけそう(もうニヤけてたかも?)になりながら待つこと10分。予想通りの時間に彼女が到着。

「こんにちは、お待たせしました」

落ち着け落ち着け!

「あ、こんにちは、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」

「あ、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」

落ち着け落ち着け! 落ち着け落ち着け!

白のダウンジャケットに白のセーター、ブラウンのロングスカート。仕事中は結んでいる髪も今日は下ろしていて、艶やかな黒髪が肩に少しかかっている感じ。

超かわいいww 髪めっちゃきれいwww
これで落ち着いていられるん?ムリムリwww
いいや、限界だ 押すね!って吉良吉影かwww

私の脳内はフル回転でした。
彼女の顔立ちから、淡い色の服がとても似合います。水色や薄ピンク、薄紫なんかもきっとかわいいんだろうな。

「試験どうでした?」
「全然ダメだったよw ダメすぎてニヤニヤが止まらないぐらいw」
「残念ですけど、出来てないところが分かっただけでも良かったんじゃないですか?」
「そうだね、ありがとう。やっぱりちょっと無謀だったね。もっとちゃんと勉強してリベンジするよ。とりあえずご飯食べに行こうか」
「はい!」

そして予約したお店へ

お昼ご飯

八かく庵 一汁八菜膳
上品で優しい味付けでした。量的にもちょうどよい感じ。夜ご飯までお腹は減りませんでした

メニューは予約時に彼女と決めていたのでスムーズに。ただ人間の方がぎこちない。久々の上に二人きりで食事したことがない。お互い目に見える程の緊張っぷり。彼女も私も手が震えているのが良く分かりました。

(お互いどんだけ初心うぶなんやw)

そう思うと少しずつ肩の力が抜けて会話が弾むように。
休みの間は何をしていたとか、どこかに行ってきたかだとか。あとはやはり地震と飛行機事故の話。特に能登地震は私が好きな七尾市と彼女が好きな和倉温泉が被災しています。暗い話にはなりませんでしたが、やはりショックは隠しきれませんでした。今年のふるさと納税は石川県ですかね、なんて話をしながらお腹一杯に。

「そう言えば、次に行きたいところ決めた?」
「美術館に行きたいです。マタイさんが前に行きたいって言っていたガウディ展が見たいです」
「じゃあ美術館に行こう」

美術館にて


名古屋市美術館
ガウディとサグラダ・ファミリア展

正直なところ、彼女は本当に美術館に行きたいわけではなく、私が提案した中から消去法で選んだだけと思います。ガウディやサグラダ・ファミリアについてよく知らなかったからです。

ちなみに私が提案したのは下記の通り。
・名古屋市美術館
・名古屋市科学館
・東山動植物園
・熱田神宮

消去法での選択。彼女の中では「ガウディとサグラダ・ファミリア展」への期待はそれほどなかっただろうと思えます。ただこの展示は予想をはるかに超える見応えでした。

まずはガウディという人物にフォーカスを当てる展示で人物像を作り上げます。その上でガウディがどんな仕事に携わって来たのか紹介し、サグラダ・ファミリへと移っていく内容。

特にサグラダ・ファミリアはその外観の美しさだけではなく、大聖堂内に差し込むステンドグラスの光はこの世のものとは思えないほど色彩でした。

「きれい・・・」

モニターに映った大聖堂の光を彼女はしばらく見入っていました。そんな彼女を私はやはり見入っていました。モニターを見上げるかわいらしいしぐさ、光を秘める美しい髪。彼女の美しさに本当にうっとりしてしまいました。

「マタイさん、私ここに行きたい。サグラダ・ファミリアを生で見てみたい・・・」
「うん、僕もそう思っていた」
(できれば一緒に見たいけど、さすがにそれは叶わないかな・・・)

この日で最も心が重なった瞬間であり、同時にその思いが実現できないと悟った瞬間でもありました。

サグラダ・ファミリアの模型
四正面とも精密に再現されており、見応えあります

少し道を外れます。私はアントニ・ガウディを芸術家だと思っていました。サグラダ・ファミリアがなかなか完成しないのは芸術家が夢物語を描いたために実現困難なものが多いからだと勝手に思い込んでいました。しかし、ガウディは建築家で構想段階でかなり詳細まで検討されていました。実際にガウディは10年で完成させると言っていたようです。何故これほどまでに遅行したのか。それはガウディの死後、スペインの内戦によってガウディが作成した設計図・構想図などが散逸した為、建築が困難になったことです。現在工事が進んでいる理由は、わずかに残った資料からその時代の建築家が構想を推測しているからです。

もう少し道を外れます。展示を見た私の感想は溢れるばかりの情熱を持ち続けた建築家でした。
私の持論は「世界は情熱で動いている」です。世界を動かしてきた偉人たちは皆度し難いほどの情熱を持ち続けていました。ガウディにも同じことが言えます。植物をスケッチしたり寓話からヒントを得ようとしたりと常に新しいものやもっと良いものを作ろうとする姿勢を持ち続けていました。

そんなガウディの人物像に触れて、私も彼女もガウディに好感を持ち始めていました。ガウディの生涯略歴を見たときは、ガウディが路面電車で轢かれて亡くなったと知って2人でショックを受けていました。

たっぷり3時間かけてガウディを見ていたので、さすがに疲れ館内のコーヒーショップに入ることに。ここで事件が発生します。

コーヒーショップに入るや否や聞き覚えのある声が。声の主を確かめると子供が通う幼稚園の先生がいるではありませんか。先生「あっ」という驚きの表情で私と彼女を目線で行ったり来たり。私は平静を装い無言。彼女は訝しげ。先生の視線が何往復かした後、先生は無言で立ち去っていきました。

先生が立ち去った後、挙動不審になる私
(先生、察してくれたのか?だったらこれは胸にしまってくれるのか?)

「お知合いですか?」
「いや、あの・・・子供の幼稚園の先生だった・・・」
「ふーん、そうなんですねー」

(なんかやばい、違う方に捉えてるっぽい)

「いや、マジで」
「ふーん」

(あーもー言わなきゃよかった)

名古屋市科学館
科学館と美術館は同じ白川公園内に

後編へ続く

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