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はじまりとくぎり

12月17日、18日に有明アリーナで「ひなくり 2022」が行われた。残念ながら私は現地で観ることは叶わなかったが、18日の公演を配信で見届けることができたので、その感想を綴ろうと思う。



昨年のひなくりとは違い、Overtureの後はVTRからの始まりだった。クリスマス前にしてテンションが上がっているメンバーを見ると幸せな気持ちになる。特に上村は動きの一つひとつがアイドルで、最近味を占めてるとよく言われているがVTR中でも輝いていた。もっとやってほしい。 “キャピキャピ感”、“アイドル感”は彼女が筆頭となってこれからも3期生の魅力の1つとなり続けるのだろう。


そしてVTRの後、上の扉から齊藤が登場し最新シングル「月と星が踊るMidnight」が披露された。この曲はツアーとともに大きくなった曲であり、歌番組でも数度披露されている。パフォーマンスを重ねるごとに伝わってくるものが大きくなるのが配信でも実感できる。また、歌番組とは違ったカメラ割りの部分も多くあり、普段は見られない部分も見られた。

私が特に印象的だったのが「流されたくはない」の部分でカメラに抜かれる髙橋と森本だ。2人で抜かれるという事実は本当に嬉しいことだが、私はそこで2人の凛々しい笑顔に目を奪われた。この曲はある種応援ソングであるように感じるが、2人が2人ともそれぞれの表情で歌詞を表現していた。正反対でありながらお互いよき相棒である2人が、同時にカメラに抜かれて、同じ歌詞でありながら違ったよさを感じられるパフォーマンスを見せてくれたことに私は胸が熱くなった。


その後曲は「青春の馬」「ときめき草」としばらく披露していなかった曲が続き、年に1度の“クリスマスライブ”として進んでいく。特に「青春の馬」は、小坂・濱岸のペアダンスが昨年のひな誕祭以来とかなり久しぶりで、再び見られて本当に嬉しかった。

またこの曲は新しく加入した4期生が合宿で練習を積んだ曲でもあるので、ここからこの曲がどう進化していくのかも楽しみだ。



そしてライブはステッキを用いたダンストラックへと移る。これもクリスマスならではの演出であるが、花道を活用し一列に並び、会場の上の方にも目を向けながらパフォーマンスする部分に日向坂らしさを感じた。3期生も先輩に劣らないほど端から端まで見渡しており、もし会場で見ることができていれば自らのペンライトやうちわを見つけて楽しそうにする推しメンから目が離せなかっただろう。


ダンストラックの後は「アディショナルタイム」へと移った。ポップなダンストラックからクールな雰囲気をまとう曲という展開は私にとって新鮮で、見ていて楽しかったし、表情の切り替えもさすがというべきものだった。今年1年で、グループとしてのパフォーマンスの幅は本当に広がったと思う。


そして同曲終了後、MCパートへと移り第1ブロックが終了した。MC内では恒例となった丹生によるかめはめ波があったが、そこにも進化を感じた。今までは彼女のサイリウムカラーでウェーブを作るというものだったが、今回は消灯状態から順番に点灯していくことによりだんだん会場が空色に染まっていくというものだった。東京ドーム後の(確か)ラジオで、会場を楽しませるためにウェーブの順番を一生懸命考えていると本人が話していたが、今回はさらに会場を楽しませようとしてくる工夫が垣間見えてとても嬉しくなった。声が出せない中で、どうすればおひさまの満足度が高いライブにできるのかを本当に考えてくれていることが伝わってきて、我々も恩返しがしたいと、強く思う。

また、同MC内では4期生のおもてなし会も話題に上がった。メンバー14期生を溺愛している森本が、それに対して「嬉しいねぇ」とガヤを入れているのを聞き逃さなかった。加入数ヶ月後から後輩の加入を楽しみにしていた彼女にとって、4期生は特別な存在なのだろう。そんな彼女と4期生との関係性を、これからも見守っていきたいと強く思った。



ユニット・期別コーナーでは、クリスマスパーティーという設定のVTRがそれぞれのユニット、期別で流れた。メンバー同士が仲良さげに会話している様子は、本当にいつまでも見られるものだ。その中でも3期生4人のVTRは、4人の空間というだけでなくそれぞれの個性が生かされており微笑ましいという言葉では形容できないほどの空間だった。

髙橋は率先して星を探すし、上村がずっとマイペース。山口と髙橋が並んで星を探している部分では、高いところが届かない山口とそれを笑いながら見つめる髙橋。ツリーの頂点に星を飾る森本を見つめる3人。カメラが回っているという意味では“アイドルモード”であるはずだが、構成のよさも相まって素の4人を見ているようで本当に幸せな感情だった。4人という少ない人数だからこそ、一人ひとりがより輝いていて、集まったときにも唯一の輝きを放つのだろう。


また、曲の披露も3期生の良さが際立っていた。個人的に今年の3期生のテーマは“アレンジ”だと感じていて、今回もそれが際立っていた。東京ドームでの「この夏をジャムにしよう」前の煽りに始まり、全国ツアーでの「ゴーフルと君」、また各披露時にお互いに目を合わせたり、小道具を活用したりと、「正しい振り」にとらわれないパフォーマンスを見せてくれたように感じる。小道具の活用も、特に全国ツアーでは公演を重ねるごとに使い方が進化していて、“強くなる”という今年の3期生の目標に向かって努力する姿を感じることできた。

そして、Right?のサビの部分で、歌声ではない声も聞こえた。先日のミート&グリートで髙橋にその話をしたところ、声を上げていたのは上村ではないかと言っていた。これも“アレンジ”の一種だと考えるが、歌の部分で会場を盛り上げるためにあえて叫ぶということをする段階に来ているのか、と考えると本当に盛り上がりながらも心を動かされる。4人ともまだ10代で、これからさらに成長すると考えると末恐ろしい。



ライブの時間軸の中で少し話を戻して、2期生の期別曲について記したい。

2期生曲「世界にはThank you!が溢れている」の披露はW-KEYAKIFES以来だったが、2021年6月から2022年3月まで休業していた小坂がセンターに立っての披露は初だった。3月の復帰後も体調が万全ではないのは本人も話していたし、彼女を見ていれば我々も感じ取ることができた。復帰直後は特に、もう一度休業しないか、完全復活を遂げることなくアイドル人生を終えないかが本当に心配だったが、今回のパフォーマンスを見てそれは杞憂だったと心から思うことができた。8枚目シングルのミート&グリート期間の定点カメラにもしばしば登場し、笑顔を見せていたが、彼女なりのペースで活動していく中で回復、進化していったのだろう。休業前に我々が思い描いていた“完全復活”ではなく、“新たな小坂菜緒”が誕生しようとしているのかもしれない。これからも楽しそうに活動してほしいと、強く思う。


また、期別コーナーの前には、ひなくり2020で松田が復帰したときの衣装を着た花ちゃんズが、クリスマスソング「ジングルベル」を歌った。今年1年は日向坂にとって変化の年だったが、4期生曲「ブルーベリー&ラズベリー」の前のろうそくを用いた演出といい、ところどころで過去の日向坂を思い出させるようなものがちりばめられ、見ていて楽しかった。このような細かい部分のこだわりは、個人的に大好きなのでこれからも続けてほしいと思う。このライブが過去のものとして数年後のライブに登場することを想うと、心が踊る。


このまま時間を進め、4期生曲の話をもう少し続ける。4期生のパフォーマンス力が、1ヶ月前の全国ツアー東京公演とは比べものにならないほどのものだったことに驚いた。ダンスも歌も、固さがとれていた、という表現が近いだろうか。個人的にパフォーマンスに対する批評はしたくないしできる立場にないと思っているが、素人目に見てもわかるぐらい違っていた。2月のおもてなし会では、どんな姿が見られるのか、本当に今から楽しみだ。


そして、曲終了後、BGMとともに裏へとはけるという構成であったが、ここにも4期生の進化を感じた。東京公演では、披露後先輩がでてきて明転、という流れでいわば「ゲスト」的な出演であったが、今回はVTRにはじまりはけるまでの流れがライブに組み込まれていて、文字通り“一員”にどんどんとなっているのだと感じて胸が熱くなった。


また個人的な話をするが、同曲のサビ前、メンバーが2人組になって背中合わせで少しずつ回るという振り付けが大好きだ。同じような振り付けは、1期生曲「耳に落ちる涙」のサビ後半でも見られる。2曲とも振り付けはCRE8BOYさんであり、ここを狙ったのかはわからないが、個人的に推しポイントなのでぜひ注目してみてほしい。


そしてそのまま8枚目シングルカップリング曲「一生一度の夏」が披露される。初披露となった同曲であるが、小さな身体をめいっぱい使う山口に目を奪われた。先日発売となったMARQUEEで本人が「ぴょんぴょんする」[i]ことを意識していると話していたが、特に2番Aメロでカメラに抜かれたときの彼女は“ぴょんぴょん”という言葉が似合うようなパフォーマンスだった。ライブで山口については全国ツアーのときのnote[ii]で記したのでここで再度書くことはしないが、ぜひ一度身体が小さいとは思えないほどの大きなパフォーマンスに注目してみてほしい。



ライブはMCパートを挟んで、ラストスパートへと展開していく。ライブ数日前に振り付け動画が公開されたHEY! OHISAMAでは、メンバー数人による振り付け講座兼煽りがあったが、そこでの山口も本当に輝いていた。彼女の声質的に、煽りに向いているのだろう。全国ツアーのときの「ゴーフルと君」でも会場の空気が3期生色に染まった理由の1つは間違いなく彼女の煽りだし、昨年のひなくりでも森本とともに煽りを担当し会場のボルテージを最高潮まで上げていた。これは本当に彼女の強みの1つで、誰にでもできることではないと思うので、これからも磨き上げて“煽りといえば陽世ちゃん”といわれるようになってほしい。


また、振り付け動画があがったことからもわかるようにこの曲は会場全体を巻き込んで盛り上がれる曲だ。その意識が恐らくあるのだろう、ポジションが端っこである髙橋が横を向いて端っこの席まで目を合わせて盛り上げようとする姿を見つけた。身長を活かしたパフォーマンス力が評価され端のポジションを任されることの多い彼女であるが、端だからできること、端にしかできないことを見つけているように感じる。会場全体でライブを作る、日向坂のライブのよさを体現しているようで、本当に嬉しくなった。全国ツアーでも、特に「飛行機雲ができる理由」で見切れ席の人と目があったという話を聞いたが、端の席からでもメンバーと向き合って楽しめるということは本当に大切にしたい。


そしてその後も「君しか勝たん」「ドレミソラシド」と定番曲が続く。


「ドレミソラシド」はW-KEYAKIFES以降森本が2列目上手端、渡邉が入っていたポジションに入っているが、今回配信では初めてポジションに入って踊る森本を見ることができた。イントロのオーケストラを演奏する振り付けのところで、満面の笑顔でバイオリン(楽器に疎いのでバイオリンかどうかは定かでないが)を演奏する森本が抜かれて感動した。先輩が抜けたところに後輩が入るのを見るというのはグループアイドルを応援する中での醍醐味の1つだと思うが、それが自分の推しで、推しにとっても特に大切な曲であればなおさらだ。これからも、「ドレミソラシド」は2列目上手端から目が離せない。


その後も「誰よりも高く跳べ 2020」、「キツネ」とスパートとこれ以上ないほどに畳み掛けて会場のボルテージは最高潮に達した。キツネでは山口だけでなく髙橋も2列目に入り、2人でシンメトリーを形成するという待ち望んでいたと言っても過言ではないポジションだった。1番サビ前のスリーショットは、本当に一生の宝にしたい。そう遠くない将来、オリジナルで2列目の2人、森本を含めた3人が見られると信じている。その未来、その先の未来に向けて、今回のキツネは貴重な経験となったことだろう。


そして「知らないうちに愛されていた」へと展開していき、大団円を迎えた。この曲が本編最後になったのは今年7月であるが、もう定番になったように感じる。ライブ中にキャプテンも話していたが、いつかこの曲を合唱したいものだ。その未来は、きっと、すぐそこにある。


そしてライブ本編はVTRで終了するわけであるが、そのVTRに上村がいた。人選はOPのVTRと同じで、一種の伏線回収のような形になっているが、この“代表”のようなものに上村がいるということが私は本当に嬉しい。彼女が日向坂を引っ張っていく未来も、そう遠くないのだろう。



アンコールでは「キュン」とともにメンバーが登場したが、ここにも変化が見られた。卒業した渡邉、井口、そして宮田のポジションにそれぞれ3人が入り、歌割りも任されるようになった。この1年で、本当にライブで彼女たちが輝く機会が、格段に増えるとともに輝き方も変わったように感じる。森本もIDOL AND READ[iii]で話していたが、W-KEYAKIFES2021では「先輩のライブにお邪魔している」感覚から、今年のライブは自分たちで盛り上げる、3期生にしかできないことをという意識に変化しているように感じた。

その中で彼女たちに任される役割が増えたのは本当に幸せなことであるし、これからさらに変化していく役割の中でどのような姿が見られるのか、またどのような感情を持ってライブに臨むのかを考えると今から楽しみだ。


また、ここでは4期生もパフォーマンスに参加した。4期生がどのような思いを持ってパフォーマンスに参加していたのかはわからないが、これから成長していく過程を見守ることができる喜びを噛み締めたい。



お姉さん

2日目には、宮田の卒業挨拶も行われた。その発表の遅さが少し物議を醸したが、彼女が話す内容を聞いていると、本当に様々な場所でぎりぎりまで様々な話し合いが行われたのだろう。私自身も思うところがないわけではないが、憶測の域をでないのでここで記すことはしない。


「キュン」の披露後、メンバーに名を呼ばれ黒い素敵なドレスに身を包んで登場した宮田は、早速自慢の“わがまま姫”ぶりを発揮し、会場を混乱に陥れる。ドレス姿を見られるか本当にわからなかったので、私は彼女のドレス姿を見た瞬間安堵と惜別でこみ上げるものがあったが、普段どおりの彼女に翻弄された。


宮田は、本当に”嘘のないアイドル“だと思う。アイドルは偶に神格化されることもあり、”理想の存在“でなければならないこともあるだろう。しかし彼女は、比較的自由にふるまっているし、ある種”メタ的“な部分があるというか、目線が我々に近いように感じる。これは少し彼女を詳しく知っているから出てくる感想かもしれないが、同じような感想を持つ人は私だけではないだろう。


そのような視点を持っているからこそ、私は宮田が卒業するその日、どうなるのか本当に予想がつかなかった。しかし、彼女はありのままの彼女でその場に立っていた。渡邉の卒業の際は、渡邉本人が「湿っぽくなりたくない」と話していたが、それはグループの色、また今後他のメンバーが卒業する際にも湿っぽくならないようにというものが多かったように感じるが、宮田は「終わった後写真を撮りたいから泣かない、湿っぽくしたくない」と話している。ここでも宮田節炸裂だ。

挨拶終了後に松田も話していたが、挨拶をする宮田が本当に普段の話し方と変わらない。普段どおりの彼女でいることで、湿っぽくならず、彼女が思う形での“卒業”に近づいたのだろう。今まで思うように行かないことも多くあっただろうが、最後ぐらいは自分の思うようにしてほしいという周囲の愛情も感じられた。


また、ドレスにも本人の思いが込められている。文学が好きだからか、暗示するということが好みなのかもしれない。第二ボタンの蝶に込められた想いはさすがというほかないし、そもそもの蝶のイメージは、これを卒業時のドレスに持ってくるあたりで宮田を象徴しているだろう。本当に素敵なのでドレスに込められた思いが記された彼女のInstagramのリンクを脚注部分に貼っておく。[iv]


そして挨拶後は、2期生だけが集まり、本人のリクエストで「君のため何ができるだろう」をサビのみアカペラで歌った。渡邉の卒業セレモニーを思い浮かべた人は多いだろうが、それとは決定的に違うものが1つある。この歌を選んだ理由だ。この曲のセンターは、宮田本人が「オーディション時から推している」と公言する丹生だ。先ほどの蝶の話ではないが、最後に「推しメンがセンターだから」という理由でこの曲を選択するところが、“宮田愛萌”が“宮田愛萌”であるゆえんなのだろう。


本当に、彼女が日向坂に遺したものは大きい。2期生最年長としての振る舞いはもちろんだが、その無条件の優しさは後輩にも伝わっている。こうして、日向坂46は脈々と受け継がれていくのだろうか。卒業発表時は、この言葉を口にすると本当に終わってしまう気がして言えなかったが、最後のその時まで、自分らしくある姿を見届けた今、心の底からこの言葉を言える気がする。


宮田愛萌さん、卒業おめでとうございます。




きらきらし 未来へ羽ばたく ぬばたまの またなき夢追ふ 君に幸あれ




[i] MARQUEE Vol.148 星雲社 https://bit.ly/3F2y08i

[ii] 完熟 風 2022年9月15日 https://note.com/mature_koala/n/naae44516edd2

[iii] IDOL AND READ #032 シンコーミュージックエンターテイメント https://bit.ly/3QcK0JU

[iv] 宮田愛萌公式Instagram 2022年12月23日https://www.instagram.com/p/CmgrvDmvlyj/?igshid=YmMyMTA2M2Y=

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