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徒然に「世界は欲しいモノであふれている編」②ジム・トンプソンのタイシルク

 バンコクに旅行に行くなら、いつもよりいいホテルを選びたい。
 タイバーツが高くなったとは言うものの、まだまだ物価が安いので、わたしでも、背伸びすれば、高級ホテルに泊まれるからだ。そのラグジュアリーな雰囲気がたまらない。これこそ、わたしに相応しいホテルだと現実逃避するにはもってこいなのだ。

 そして、ホテルの朝食バイキング。ここで、思う存分完熟マンゴーをいただく。ほかに美味しそうなメロンだのオムレツだのパンだのあったって、それは、ほんの少しつまむだけで、日本では高くてあまり食べられないような高級マンゴーでおなかを一杯にする。
 貧乏くさい私には、それが現実逃避になるのだ。

 そして、暑いなかを歩き回って、観光で疲れたら、1日1回は、タイ式マッサージを受ける。あの気持ちいいことといったら。けれど、ホテルのエステは高いので、評判の良いお店をあらかじめ調べておく。
 本当に、海外まで来て、現実逃避するには、お金の計算は必要なのだ。

 そして、自分へのご褒美に、タイシルクの有名ブランドである「ジムトンプソン」を求めて、「ジム・トンプソンの家」に行くのだ。

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 ジム・トンプソンは、第2次世界大戦中に米軍からタイに派遣され、終戦後はタイに残って、タイシルクの事業化に貢献し、財を成した。
 その彼の生前の住居後は、現在は博物館として一般公開されている。
 その財力に物を言わせて、チーク材を用いたタイの伝統的な建築で建てられた住居には、東南アジアや中国の古美術コレクションが置かれている。
 いかにも南国らしい緑と花の庭園もあって、お勧めのラグジュアリースポットだ。タイのシルク王だものね。
 でも、彼がのちに失踪したことを思いながら見ると、なんともいえぬミステリアスな、映画のセットでも見ているような気になる。

 そこの素敵なレストランで、ランチをした後、ゆっくり、ジムトンプソンのブティックで、タイシルクを買うのだ。ちょっとリッチな気分で。
 
 そして、すっかり、タイとタイシルクのファンになったわたしは、帰国後、松本清張の「熱い絹」を読んだ。これは、ジム・トンプソンの失踪事件をもとに書かれた推理小説である。
 この本は、とても面白かった。ベトナム戦争当時の時代背景が特に。
 「清張にはずれなし」とは誰が言ったのだっけ、本当にそうである。
 東南アジアって、本当に魅力的だ。また、行きたいなあ。


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