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不惑の韓流女優シリーズ⑥「ソン・ヘギョ~”魔性”だけではない魅力~」

韓流を代表するスターですが、正直なところ、人気があるのかアンチが多いのかよくわからないのです。
この「不惑の韓流女優シリーズ」のなかでは、PV数はダントツに多いのですが、その割にはスキが少なくて、わたしの記事が期待した内容でないからか?彼女の魅力を語りつくせていなかったからなのか?そのへんを反省して、大幅に加筆させていただきました。
 ソン・ヘギョ。1981年生まれ。39歳。

1.正統派メロドラマのヒロイン

ソン・ヘギョの初期のころのイメージは、恋愛では守りにはいる正統派メロドラマのヒロインでした。
2000年代前半の第1次韓流ブームのころの韓流ドラマでは、ヒロインは、生い立ちが不幸なことが必須条件で、そのうえに、不治の病にも…というダブルパンチに見舞われるようなストーリーが主流でしたから、ソン・ヘギョのなんとなく、薄倖そうな雰囲気が似合っていました。

今でこそ、女性活躍に焦点があたるようになった韓流ドラマですが、第1次韓流ブームのころは、ヒロインは、かわいそうでなければならない。これがテーゼだったのです。
もともと、韓流は、アジアの女性層をターゲットとして、イケメンの韓流スターを作り上げ、その人気でブームをけん引してきました。
なので、ソン・ヘギョのちょっとクラシックな美貌は、とりわけ男性主人公中心の正統派メロドラマのヒロインに合っていました。

「秋の童話」や「オール・イン」のヒロイン役は、まさにかわいそうな身の上のそのままでしたし、「フルハウス」のようなロマコメでも、ヒロインは逆境に立たされてました。
それは、あくまで男性を引き立たせる守りのポジションのヒロインだったのです。ですが、ソン・ヘギョの演じるヒロインは、守りのポジションであっても、大人しいだけではなく、強さも兼ね備えていて、ちょっとミステリアスだけれでも儚いという多面的な女性でしたが、それが、ソン・ヘギョにはぴしゃりとはまって、次々と出演ドラマがヒットとなり、20代後半に人気絶頂期を迎えます。

そのころ、日本のテレビで「グータン・ヌーボ」という番組がありまして、韓流女優のチェ・ジウソン・イェジン、ソン・ヘギョもゲストで、出演しました。当時日本では、チェ・ジウは、涙の女王といわれ全盛期でした。
ソン・イェジンとソン・ヘギョは、チェ・ジウの次世代として紹介されていたように記憶していますが、2人のキャラクターの違いがはっきりしていたのが記憶に残っています。
周りへの気配りと頭の回転の速さが目立っていた明るい印象のソン・イェジンとくらべて、ソン・ヘギョのほうは、どこか陰のある大人しい印象で、綺麗だけれど、はたして女優としてやっていけるのかなという優柔不断な印象がありました。

特に恋愛について聞かれた時、ソン・イェジンは、今は恋人はいないけど、ドラマでは運命的な出会いで恋愛が始まるけど、実際の日常ではそうはいかないじゃないですかと、リアルな観察眼で答えていたのに対して、ソン・ヘギョのほうは、別れてもまた会ったり、でもやっぱり別れたりの繰り返しだとか、女優という立場だと、公開恋愛といったって、せいぜい食事するぐらいだなどけっこう生生しい話をしていました。その様子が、若いのに愁いを帯びていて、これはモテるだろうなと思いました。

この愁いを帯びていて、薄倖そうな雰囲気の、ちょっとミステリアスで、少し優柔不断のところが、男性から見たら、とても魅力的のではないでしょうか。そして、それは、努力したからとって、そうなれるわけではない。
彼女の個性というより、存在そのものなのかもしれません。

2.演技力はどうなのか

ソン・ヘギョは、人気はありましたが、演技力の方はそれほど評価されていたわけはありませんでした。かといって、キム・テヒのように、ドラマや映画に出るたびにこき下ろされるということもありませんでした。

大きな瞳にあふれる涙、悲しみに震える唇、そんな20代のソン・ヘギョの華のある演技にケチをつけようなんて批評家もいませんでしたたので、韓流ドラマのヒロインとしては十分に合格点だったと思います。

それ以前の韓国芸能界では、美人女優のトップといわれても、30歳をすぎると、ヒロイン役もなかなかまわってこなくなり、あとはいいイメージのまま、財閥と結婚して、引退というのが主流だったわけです。
ですから、ソン・ヘギョの場合も、演技力うんぬんよりも、私生活の恋愛遍歴の方が、注目を集めてしまう状況だったわけです。

もちろん、最近は、時代の流れもあって、メロドラマのヒロインも綺麗なだけでなく、演技力もしっかり求められるようになってきましたが、ちょうど、不惑の年代の女優は、その転換期にあたったかなと思います。

韓流のトップ女優となったソン・ヘギョですが、2008年頃から、韓流ドラマのスタイルもいろいろと変化をとげて、ヒロイン像にも多様性が求められるようになってきました。
「フルハウス」までは、視聴率の女王を誇っていましたが、その後はそれほど、日本でも話題となるような主演ドラマは生まれず、話題といえば、共演俳優との恋の噂ばかりとなってしまいました。
そして、結果、これが裏目に出てしまったわけです。

日本では知名度はあるものの、ソン・ヘギョが海外進出先として選んだのは中国でした。
そして、その路線は上手くいき、中国でのソン・ヘギョの人気は凄いらしいです。韓国映画では、これといったヒット作は出せませんでしたが、なんと、ジョン・ウー監督日中韓合作の大作映画「ザ・クロッシング」に抜擢されます。

この「ザ・クロッシング」は、3組の男女の物語をクロスさせながらストーリーが進んでいきます。ですから、ヒロインは日中韓の人気女優である、チャン・ツィイー、ソン・ヘギョ、長澤まさみです。

この中でなら、メインのヒロインにチャン・ツィイーががくるのわかるのでが、どうもソン・ヘギョは部が悪いのです。金城武の相手役だった長澤まさみのほうが光ってた気がします。ジョン・ウーの演出はさすがで、ソン・ヘギョの美しさが際立つように舞踏会や結婚式のシーンまで組み込んでいる割には、今ひとつスクリーンを支配できていないもどかしさがありました。得意とする守りのヒロインの役どころにもかかわらずです。セリフが中国語だったからでしょうか。

或る意味、女優は、30代になると、演技力が一皮むけないといけないと思わされるような結果になってしまったかなとも思うのです。

しかし、次の出演作の「太陽の末裔」では、韓流をけん引してきた女優の底力をみせてくれました。このドラマでは、バリキャリの医師の役ですが、恋愛では守りにはいるヒロイン役で、大ヒットとなりました。

やっぱり、ソン・ヘギョは韓流ドラマらしいメロドラマのヒロインが一番似合うと思います。舞台があまりに壮大でも、新しさや変革を求めるような攻めの作品でもあまり力を出せないのではないか。韓流ドラマの世界の予定調和的なヒロインこそが一番合っているのかなと思いました。

しかし、この後、出演した「ボーイフレンド」はいまひとつだった気がします。大物政治家の一人娘で、財閥と政略結婚したが、その後離婚して、ホテルのオーナー社長という重装備したヒロインと、何も持たない年下男子との恋というのは、韓流メロドラマのスタイルではないでしょう。
せっかく、パク・ボゴムとのケミも良かったので、もっとフランクな設定だったら良かったのにと惜しまれます。

あるいは、ソン・ヘギョももう40歳、イメージも演技力ももう一皮むけないといけない正念場にきているのかもしれません。

3.スキャンダルはどう影響しているのか

ソン・ジュンギと離婚後、「共演者キラー」のイメージからか、何かというと「恋多き女」だの、「魔性の女」だのと言われるようになったソン・ヘギョですが、そこがちょっと恋愛では守りにはいる韓流正統派メロドラマのヒロインのイメージとは乖離してきてしまっているのです。

そもそも「魔性の女」の定義は、最終的に男を破滅に追いやるという究極の攻めのポジションなわけです。それを逆手にとって、「ファム・ファタール」を演じるのもいいのかもしれません。しかし、それは、女優にとっては、難しい役柄ではありますが・・・。

4.アンチは女の嫉妬のなせる業か?

ソン・ヘギョ嫌いというアンチが一定数いるのは、韓流に関するネットの書き込みをみても明らかです。アンチも人気の裏返しとみることもできますが、彼女の場合、ちょっと深刻なようです。

日本では、彼女の恋愛遍歴と反日活動が仇になり、アンチを増やしているようですが、これは、わたしに言わせれば、マネージメントをする芸能事務所が下手なのではないかと思っています。

そのうえ、離婚では、ソン・ジュンギのほうに同情が集まり、ソン・ヘギョ側に問題があったような流れになり、ますますアンチを増やす結果になってしまいました。

そもそも、ソン・ヘギョは、男性から見たら、非常に魅力的な魔性の女?かもしれませんが、けしてそれだけではない女優だと思います
彼女は、恋愛や、結婚や子育てで満たされるわけではない、女の業のようなものを表現できる女優になれる可能性があるのではないでしょうか。

だいたいスキャンダルといったって、ただのバツイチなだけで、男性を破滅させたわけでもないのに、いつまでも過去のことをグズグズいわれるなんておかしいと思ってしまうわけです。

それと、ソン・ヘギョのアンチやっているのって、結構女性が多いんですよね。どうも、次々とイケメン俳優と恋に落ちるのが、面白くないのでしょうか?そう考えると、意外と、女性には、「一夫一婦制」の心棒者が多いのだな、表面上は「男は顔じゃない中身よ」と言っていても、内心そうでもない人も多いのかななどと、勘ぐってしまいます。
ソン・ヘギョの歴代の恋の相手が、イケメンではないけど、知性的な個性派俳優だったら、こんなに嫉妬をかわなかったのになどと意地悪な見方をしてしまいます。

しかし、反面、ソン・ヘギョのインスタのフォロワー数をみると、人気もあるわけで、アンチ対策もちゃんとやってくれてる事務所に移籍したほうがいいのではと思ってしまいます。

「魔性の女」を卒業して、結婚制度には収まるわけもない女優という肩書にした方が、すっとこれからの時代のヒロインにあっているような気がするし、ソン・ヘギョにはそうなる素質も覚悟も度胸もあると思います。

5.今後の出演作品の路線は?

変化の激しいこの時代に、恋愛ドラマも変わっていくわけですから、今後、ソン・ヘギョがどういう役を演じるのかはとても興味があります。
守りから攻めに転じるのか、それとも新しい守りの型を作るのか。

これからは、激動の40代に入るわけですから、演技力にも磨きをかけなくちゃならないでしょうが、千里の道も一歩からと、ドラマに映画に、新しい分野にも挑戦していただきたいと思います。

わたしのオススメは、「黒革の手帳」の韓国版リメイクなんかどうかなと思います。悪女といわれているけど、本当はかわいそうなのという役が似合うと思うのです。それに女性憧れのファッションを次々に着こなせば、共演者との恋愛話なんかなくても、十分話題になるでしょう。

あとは、時代劇で、いわゆる「後宮もの」なんかもいいんじゃないかな。「チャン・ヒビン」や「奇皇后」のような韓流時代劇もいいし、中国ドラマの後宮ものに出演してもいいかもしれない。
ソン・ヘギョの新しい一面をみせられると思うし、なんといっても、男性を恋に落としてしまう「魔性の女の魅力」というものを見てみたい気もします。やっぱり、華のある女優さんですからね。

 

 



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