『sora tob sakana』というアイドルユニットがいた。通称『オサカナ』。

いた、という言い方なのは、解散したからだ。2020年に解散した。活動期間は6年ほど。

僕は、sora tob sakanaがとても綺麗で儚いアイドルだと確信している。

楽曲がよすぎる！

このグループのおおきな特徴は、楽曲が素晴らしいところだ。

聴いてもらうのが早いだろう。

せつない。メンバーが10代や20代前半で、この年頃にしか出せないセンチメンタルがある。

音楽プロデューサーは照井順政。かなり高度な演奏をしている。楽曲のクオリティの高さを実現させているのは、このカッコイイ演奏がでかいと思う。

演奏だけの動画があったり、アイドルとして聴く層だけでなく楽曲派の人たちも虜にしたのがオサカナなのだ。

僕とオサカナ

僕がオサカナを聴き始めたのは、おそるおそるだった。

こんな少女とも呼べる子たちを自分が聴いて大丈夫なのか……？もう犯罪になるのでは……？そんな不安が最初はあった。

実際、歌声は幼いし歌唱力もまだまだ未熟。アイドル慣れしてない僕には、聴くだけでもちょっとハードルが高い。

でも、楽曲でがっつり心をつかまれた。せつない曲調が僕の好みにストライクだった。

アイドルの楽曲って、言ってもアイドルだし……みたいな偏見が吹き飛ぶくらい、ハマって聴きこんだ。

ミニライブに一度行った。CDショップがあるビルの屋上、CDを購入すると握手や写真が一緒に撮れる特典つき。おぉ、これがアイドルのミニライブ……！！と感動していた。

そこで、楽曲ばっかり聴いていた僕に推しができる。神﨑風花ちゃんだ。

ファンサがとにかくよかった。目が合ったとき、ニコッとしてくれたのが決め手だ。ちょろい。

サインも彼女にしてもらった。すこし話したけど、緊張しすぎてよくおぼえていない。僕の心臓が危なかったことだけおぼえている。

その後、関ジャムという音楽番組でオサカナが取り上げられた。自分のことのように喜んだ。録画を何度も観た。

これからもっと売れるぞ……！とうとう世間に見つかっちゃったなァ……。

解散が発表されたのは、そのすこし後だったと思う。

解散はよくないのか？

解散の情報を知ったとき、思わずえっっと声が出た。しんじられなかった。

しばらく落ち込んだ。推しているアイドルユニットが解散する。話には聞くけど、経験するのははじめてだった。

ただ、いまになって思う。オサカナの解散はいっそ潔かったと。

これから！という時の解散。そして、女性アイドルという年齢による影響がおおきいジャンル。

綺麗すぎる完結だと思った。良くも悪くも。

解散によってオサカナの儚さが強調されたのも、うまいと思う。意図的なのかはわからないけれど。

オサカナというユニットは、解散によって完成したんだと思う。

女性アイドルって、むずかしい。旬というものが必ずあるし、往々にしてとても短い。

けど、オサカナは逆手に取った。ある瞬間の存在になることで、神聖さが増したと言ってもいい。

瞬きのようなアイドル。それが、sora tob sakanaだった。