線のたび(10)
宙の子は、フワリと上から持ち上げられるような不思議な力を感じながら、身を任せていた。
「なんだろうな、この感じ。
僕は、まだここに居たいのに。
でも、行かなければならない氣もするし。
なんだか、また眠くなってきたな。」
宙の子は、静かに自分を包み込むあたたかくて、柔らかいものを感じながら、再び眠りに落ちた。
そして、降りてきた軌跡をまた辿り帰るように、すっと、軽やかに上へ、上へと昇って行った。
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