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初めてのホームステイで…

カナダで夏休みにホームステイしたのが私の初めての海外経験。18歳の時だった。

当時通い始めた英会話スクールで参加者を募集していたのだが、そのスクールは親戚が経営していた。叔母が私の親をうまく説得してくれたから運良く行けただけで、私の英会話は初心者レベル。…というかまともに喋ったこともなかった。

でも私はそんなことは全く気にせず、英語は好きだし何とかなるでしょうと軽く考え、意気揚々と出発した。

平日はスクールで簡単な英語学習、午後はスポーツや市内観光などのアクティビティー。夜はホストファミリーと過ごしてホームステイ体験という気楽で楽しいスケジュール。

初めての海外がここでよかったと今でも思うが、私が滞在したビクトリアは気候が温暖な花の溢れる綺麗な街。カナダ人の定年後の住処すみかとして人気の保養地というのが納得。私の想像していた『海外』のイメージそのままだった。

シングルマザーの母親と小学生の兄妹+ネコ1匹という家族構成のお宅が私のホームステイ先。そこで2週間お世話になった。

着いた初日、部屋に案内され荷物を置き、お土産を渡して…といった時間を過ごしていた時に不意にトイレに行きたくなった。場所はわかる。でもどう言ったらいいのか…?

頭の中で文章を必死に組み立てる。何とでも言いようがあるがその時の私にはわからなかった。何とか伝え、事なきを得たが、ああ、私はそんな基本的なこともさらっと言えないんだ…と愕然とした。

滞在中のファミリーとの会話は言いたいことを頭で考え、時間をかけて文章を組み立て、組み立てようにも言葉を知らず…といった感じで伝えたいことの半分も伝えられていたかどうか。それが歯痒かった。

子ども同士の会話は早過ぎて理解不能。察してくれて私にはゆっくり丁寧に説明してくれるがそれが何だか悔しい。ネコには物凄く早口で話しかけているのに…。

ふざけて私の所有物を子ども達が取り上げて遊んでいても「それを返して。」の言い方をreturnかな?give me の方がいいのかな?とかあれこれ考え込みなかなか言い出せない。

その他の会話も相手が簡単に言い換えてくれた質問にイエスかノーで答えていた程度だったように思う。喋れなくても確かに何とかなる…けどそれでは物足りなかった。自信がないから口数が少なくなってしまうのがいやだった。

ある日キッチンでホストマザーが誰かと電話で会話していた時、

「今、日本人の女の子がホームステイしているんだけど、英語がわからないの。コミュニケーションが大変…。」

と言っているのが聞こえた。他の会話は意味不明だったのにそこだけははっきり聞き取れてしまった。自分について言われていることは敏感に耳が反応するんだろうな。

事実だけど…ショック。
この時の悔しさが本気で英語が話せるようになりたい!と強く思ったきっかけだ。英語の授業は好きだったけど、実際の会話とは全然違う。リベンジしてやる!もう少し話せるようになってまたホームステイして、ホストファミリーとコミュニケーションが取れるくらいになりたい!!強い強い新たな決意が生まれた。

なので初海外の思い出は観光はもちろん楽しかったけれど、私にとっては英語…会話を何とかしたいという思いの方が上回っていた。

ある程度言葉がわからないと全体のほんの一部分しか楽しめないと感じた。少しでもそこを埋めて楽しみたい!好奇心を満たしたい!という思いがずっと根底にある。






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