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泣くほど最悪な上司が泣けるほど最高な上司になった話。後編

(前編のつづき)

なんとも・・私とその上司は引き寄せられる
運命にあるのか。

私は今、別の部署で、その泣くほど最悪だと
思っていた上司のもとで今日も働いている。



前の部署でその上司が先に異動し、
東京勤務となった。

その後すぐ、私も同じ部署へ
(勤務地は札幌)異動することになった。

(正確には、フリーペーパーが休刊となり
部員は解散となったのだ。)


いわゆる「広告代理店」業務を行う部署で、
最初の2年間営業として働いた。

そして昨年、東京から戻ってきた元上司と
同じフロアで働くことになったのだが、
正直同じ空気を吸う事でさえイヤだった。
あの時のトラウマが鮮明に思い出され、
できれば顔も見たくない心境だった。


「もう2度とこんな上司とは働きたくない」
そう思っていたが、部署内の担務変更により、その日は来た。それを知った時は、
「終わった」とかなり落ち込んだ。

でも現実を受け止め、自分もこれまで色々な
ことを乗り越えてきたのだから・・・
華麗に交わしたり、攻略法を身に付けることができているかもしれない。と自分の成長を
試してみたい気持ちにもなった。


いざその上司のもとで再び働き始めた時、
私はさらっと過去にあった話を会話のなかで
持ち出そうとした。

しかし上司の過去の記憶には、その
“ゲイバー事件”はすっかりないようだった。

言われた側はずっと覚えているが、言った本人は覚えていない、よくある話だ。
少しでも心のわだかまりを溶かして、
新たな一歩を踏み出そうとしたが
それは諦め、心の中に置いておくことにした。


だがそれからというもの、しっかり私の
心に根付いてしまった上司への嫌悪感は
未だ拭いきれないが、離れていた時間の
おかげか関係性は良い方へと変化していた。

むしろ、仕事への取り組み方や業務体制、
働き方への考え方は、驚くほど共感でき
確かに私の中に彼の「イズム」が流れていると感じるほど、心地良ささえ感じてしまう。


つい最近の評価面談では、私の日々の
頑張りを評価してくれただけでなく、
ずっと気がかりで不安だった事を見抜き、
助け船を出そうとしてくれたのだ。

しっかりと見ていてくれて、言葉にして
くれた事が嬉しくてたまらなかった。
その時、泣けるほど最高な上司だ、と思った。

日々「報連相」を行う中でも、
私の考え方や進め方に裁量を与えてくれ
「そのやり方で良い、すばらしいと思う」と
前向きなリアクションをくれる。
だから多少耳の痛い指摘をされても、
素直に受け止めることができる。


この関係性こそ、まさに私が求めていたもの
である。
あの時辞めていたらこんな感情には
出会えなかったと思うと、負けずに頑張って
きた自分に「よくやった」と誇らしく思える。


気になるのは、なぜあんなにも憎かった上司とこんなにも良い関係性になれたのかという事。


自分でもよく分からないが、お互いに良い方へ変化したことは間違いない。

私も自分の考えを良い形で伝えたり、
適度に「こうして頑張っていますよ」と
うまくアピールができるようになったり、
さらりと交わす身のこなし方をおぼえた。


職場は、違う立場、違う業務をこなす人々の
集合体であり、それぞれの価値観や感情は
複雑に絡み合っている。

簡単な事ではないが、互いに敬意を持ち
認め合い、それを言葉にして伝える事が
大切で、何より気持ち良くいられる。

苦手な人に対しても、あまり身構えずに
関係性をより良くアップデートしていきたいと思う。




「亡き母よ、見ているかい!!

私もだいぶ大人になり、あの○○(上司)と
うまくやってるよ!

もしかしたらオカンが
そう導いてくれたのかな?

これからも守っていてね」

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