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『PERFECT DAYS』

2024年、最も観てよかった映画と
今から言い切れてしまう最高の映画。
あの雰囲気に浸りたくて、2回も観てしまった。

(以下一部ネタバレを含みます)

ドイツのヴィム・ベンダース監督と日本を
代表する役所広司が最強ダッグを組んだ。

ただ毎日を淡々と過ごす役所広司演じる
「平山」が積み重ねていく毎日に、シンプルであることの美しさや気持ち良さを感じる。
まさに、この映画のキャッチコピー『こんな
ふうに生きていけたなら』と思わされる。

公衆トイレの清掃員として、全く手を抜かず
プロの仕事をし、帰れば銭湯で汗を流し、
いつもの居酒屋に立ち寄り、読書をしながら
寝る。
家電という家電はなく、一冊の本を読み終えたら次の本を買う。
服装も平日と休日でパターン化されている。
必要なものを必要なときに必要な分だけ持つ。そんなシンプルな暮らし。

セリフも少なく、これといって大きな出来事が起こるわけでもない。
役所広司1人、セリフのないシーンが多いの
だが実はほぼリハーサルやテストなどを行わず撮影されたのだそう。
役所広司が作りだす空気感そのものが
この映画の魅力だと言えるほど、独特の雰囲気があり飽きずに浸れる。
カセットテープから流れる音楽もなんだか心地良い。

毎日同じルーティンを繰り返し、同じように
見える毎日を過ごす平山。
けれど、平山はそんな日常の一瞬一瞬を
常に新鮮に、生きることを楽しんでいるように感じた。
彼の過去ははっきりとは描かれないが、
どんな人生を歩んできたのだろう。

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繰り返される毎日の中で印象的なシーンが
ある。

朝目覚めて、外の空気を感じ、
自然とわずかに口角が上がる。

自分に置き換えてみると、こんな些細なことがとても難しい。
朝はとにかく気が重い。
今日は早く帰れるかな・・トラブルが起きないと良いな・・あの会議嫌だなーと、ネガティブな1日のスタート。月曜は特に。

平山はどうしてこんなふうに生きられるのだろう。
でもそんな平山だって、これまで色々なことがあって
孤独も悲しみも喜びも愛も、、全部ぜんぶ抱えて
平山の「今」になっているんだろうな。と思う。

こんなふうには生きられないけど、
色々なものを求めすぎずに
身も心もできるだけシンプルに、
気持ち良く過ごしたい。
そう思える映画だった。
また観たい!


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