我が家の読み聞かせ「オランウータンってどんな『ヒト』」久世濃子さん著
17年間述べ4000冊以上続けている我が子への読み聞かせ。
末っ子はとうとう6年生になり、ほとんど読書会になっていますが、まだ続いています。
先月「オランウータンのジプシー」を読んでオランウータンにすごく興味を持ったので、さらに久世濃子さん著「オランウータンってどんな『ヒト』」を読みました。
またまた、すっごく面白かったです。3人で盛り上がってあっという間に読んでしまいました。
意外なヒトとの共通点
オランウータンは、オランウータンとヒト、類人猿の中では遺伝的には4パーセント違いチンパンジーよりも距離がありますが大きな共通点があります。
それは、類人猿の中で、アフリカを旅立ってきたということです。
オランウータンの方が先にアフリカを旅立ち、東南アジアの森に適応したと言われています。ヒトは1000万年ほど遅れてアフリカを旅立ったとのこと。
そのためヒトとオランウータンで共通しているのが過酷な食糧不足に耐えるため「食いだめできる」=「太る」ことができる能力だそうです。
アフリカに残ったゴリラやチンパンジーは「太る」ことができないのだそうです。
5年に一回しか結実しない東南アジアの森の適応
今まで私は東南アジアの森も他の大陸の森も熱帯雨林という森林は、常に花が咲き、常に実がなっているのかと思っています。
ところが、じつは東南アジアの熱帯雨林の樹木の多くが5年に1回一斉に花を咲かせ、結実するのだそうです。
色んな種類の樹木が時期を変えて5年に1回開花・結実するのですが、沢山の食べ物が得られる期間は短くて、間がある。。その過酷な条件を乗り切るために、オランウータンは色んな性質を備えました。
たとえば・・
・群れで暮らさず、一生のほとんどを1頭でくらす。わずかな果実しかない期間を低密度で生きることによって乗り切るため。
・子育て期間が6~9年と非常に長い。その期間に5年に一回しか結実しない木の実を母から子に伝授すると考えられる。
・子供は一頭のみ大事に育てる。次の子が生まれると、兄姉は親離れをする。なので母子二人ほとんど一人っ子でくらす。
・雄は1日8000キロカロリー、雌は1日4000キロカロリーも食いだめできる。
といった性質です。
思春期は社会性があるオランウータン
いつも孤独、あるいは母一人子一人に思われるオランウータンにも10歳ごろから子供を生み始めるまでの18歳ごろまでの期間、社会性があるのだそうです。
それが、妙に人間と似ていて面白い。
丁度人間の思春期と一致する年齢のオランウータンの男女は、森の色んなオランウータン母子をたずねたり、同世代同士一緒に生活したりするのだそうです。
それによって、子育てベテランの母親の子育ての知恵や食べ物の知恵を学んでいるのではないかと考えられているそうです。
年を取るほどモテモテの母親オランウータン
ちょっと笑ってしまったのは、雌のオランウータンは、歳をとり経験を積んでいる程もてるということ。
若くて経験の少ない雌のオランウータンは、片思いをした末振られたりするのだそうです。
ちなみにオランウータンのお母さんは50歳まで出産できたりするのだそうです。
母親として身につけた知恵を出来るだけ長く種の保存のために生かす仕組みなのかもしれません。
ヒトを客観視するきっかけを与えてくれる
この本を読むと、オランウータンや類人猿の研究は、人間中心に「当たり前」と思っていたことが、実は「当たり前」じゃないんだ、ということを教えてくれるのだということが分かります。
危機に瀕するオランウータン森を守ろう
この本を読むとオランウータンが生きるためには、広大な森が必要なことがよく理解できました。
私たちに今何ができるのか・・やはり最後はそこに行きつきます。
娘達とたまたま見つけたコピー用紙のオランウータンマークの記載をじっくりよみました。
そのマークには、植林された樹木を使用していると書かれていました。
一つ一つ自分たちの生活を見直して行くこと、今私たちがすぐ出来るのは、地味だけどそんな活動かと思ってます。
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