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鉄子の育て方 3話 列車と並走

人間が列車と並走。映画やテレビを撮っててこんなにぞくぞくする状況設定ほかにありません。興奮する。何でだろう?

毎週日曜 深夜24時 TOKYO MX2で運行中。
「鉄子の育て方」第3話。見せ場はこの並走です。「あなたは、僕たち鉄道オタクをバカにしてる」同僚かいじ(相馬圭祐くん)にいすみ鉄道の線路脇まで連れて来られたあずさ(小林涼子ちゃん)。「スマホで検索ばっかしてないで、感じてください。キハを!」と言われて、あずさは旧いディーゼル車のキハと並走します。果たしてあずさはキハを感じることが出来るだろうか!?

んー、相変わらず何のこっちゃなあらすじですが…(笑)。

元々列車は好きですが、「あれ?列車と並走ってぞくぞくする」と思ったのは、何かの映画で路面電車と並走する人を見たときです。フランスのモノクロ映画だった。数日間の恋愛を描いたやつ!何だっけ?

アルドリッチの「北国の帝王」も良かったなあ。金槌を振り回す鬼の車掌がいる列車に飛び乗りたいホーボー(放浪者)たち。
あの列車は「すごく乗れない感じ」だった。怖い車掌がいるからじゃなくて、「列車」ってのがすごく壁がある。飛び移りにくい。

森田芳光の「HAL」のクライマックスも良かったなあ!猛スピードの新幹線の窓から見える、田園にすっくと立つ深津絵里。それまではずっとパソ通(古い!)だけの繋がりだった2人が、車窓ごしに邂逅する。

ジャ・ジャンクーの「プラットフォーム」も良かった。索漠とした荒野に座るわかものたち。地平線から列車が現れるだけで涙がこぼれる。人の匂いがする鉄の塊が、決してこっちと交わらないまま走り去って行く。

映画の中で列車ってのは、平行する別世界のようなものに思えます。
あれがでかいトラックなら、もっと意思が通じる気がしますよね。「きっと停まってくれるぞ」って。
でも列車は走り去って行く。こっちを一顧だにせず。決して交わらない社会を乗せて。

轟音をあげ走ってくる別世界。そこと交わろうとして列車に並走するなんて、すごく一生懸命だ。でも人と人はみんな、そんなようなもので。
死ぬときは誰もひとり。本質的には交わらない別世界に対して出来ることは懸命な並走…とかね。

人間の本質が絵になってるのかなあと思います。列車との並走。

あっと。鉄道豆知識もギャグも満載です。よろしくお願いいたします!