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廃車


ひさしぶりに廃車を見つけたのでぱちり。ホンダの軽トラ。かわいいなぁ…。

廃墟は怖いです。過去の人の匂いが強すぎることが多くて…。その点、車はいい。元々そこで暮らしてたわけじゃないから生活感がそんなにあるわけじゃないし。野原や畑の脇に捨てられたときから、その防水性や小さいお家のような構造からか再利用されることが多々ある。まだ生きてる感じがすることが多くてホッとします。子供が基地代わりに遊んでたり、農作業の小屋になってたり…。

この畑の中の軽トラも、隣に子供がたくさんいるアパートがあって、運転席は超キレイ。グミの袋が落ちてて、生きてる感じでした。そこがいいんだよなぁ…。

そういえば一見「捨てられてんの?」という感じなのにそうじゃなくて安心なもの。畑のあぜ道に置いてある古い風呂おけ。あれ、だいたい雨水がたまっててアメンボとか湧いてるけど、日照りのときは溜った水を畑にまくからバケツが隣に置いてあったりして、ホッとする。あと、下町の軒先にある発泡スチロールのトロ箱。土が入ってて今はきちんとした植物は生えてないんだけど雑草だけが元気に生えてて。雑草が生きるためにトロ箱はとっても貢献してて安心。うむうむ、という感じ。

あ、でも植物に覆われて安心…てのは「生き物のサイクルに入ってるから大丈夫」ってことか。宮崎駿が描く廃墟とか。ラピュタにしろディダラボッチが暴れたあとの野山にしろ。植物がはびこっててくれて「ふう」と息をつける。国土を簒奪し尽くしてオリーブしか育たない…みたいなヨーロッパの人にはない価値観か…。優しい日本の自然…。

お話を戻して。「粗大ゴミ連絡済み」シールを貼られずに道ばたに捨てられたタンスとか。あれは哀しい。まだ人の匂いがうんとするのに1週間、2週間と道ばたにずっとある。気になって朝、見ちゃうんだよな…。あ、まだある。見たくないのに…。そんな感じで。

子供たちが中で遊んだりする廃車は哀しくないですね。まだ生きてる。軽トラの後ろに列車が見えます。これはしばらく前に役目を終えて今は駅の脇に停められてる電車ですが、こっちのほうが哀しかった。凄くキレイなのに、柵があって入れない。車両はキレイだけどしん…としてました。べたべた触れればいいのになぁ…。だから公園で静態保存されてるSLとか全然哀しくないんですね。

こいつは頑張ってまだまだ生きてる一台でした。惜しむらくは荷台に布団を捨てるんじゃない!布団の綿はかさばるからゴミに出しにくいのはわかるけど…。荷台が空なら子供たちももっと遊べるのに。