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新しい働き方にあわせ法律も変わる?厚労省の議論note761日目

厚生労働省で行われた「労働基準関係法制研究会」で、いまの働き方にあわせ法律の見直すべき点について話し合いが行われています。

議論の内容は、こんなふうに報道にも取り上げられています。

さまざまな働き方や考え方がある現代事情をふまえての議論で、課題はなかなか「これがいい」とすぱっと結論が出せないものばかりです。
ですが、現在の法整備が追いついていないこと、今後変えていくべきものは見えてきています。

いくつかの意見を取り上げてみてみましょう。
元資料はこちらです。

議論のなかでの新しい動き

【労働時間】
・労働時間の上限を規制する意義を、健康確保と、それを超えて仕事と生活の両立におくのか考え、超える部分については別のやり方も考えられるのでは?
・労働時間に制約を設けるとスキルを十分に形成できないという意見や、労働者の働きたいという希望、キャリア形成を踏まえれば、労働時間の上限を一律に引き下げるべきではないのでは?

【テレワーク】
・家事や中抜けがしやすいため、テレワークはフレックスタイム制などの緩やかな時間管理で行えるようになればよいのでは?

【年次有給休暇】
・現状、年次有給休暇は病気などの突発的な出来事で取得しているケースが多く、年次有給休暇の計画的な取得をうながすためには、そういった病気などのニーズに対応できる休暇制度も必要では?
・労働者が自分の年次有給休暇の残日数を把握していないケースが多く、見える化が必要では?

【割増賃金】
・割増賃金は、労働者に割増賃金を目的とした長時間労働のインセンティブを生んでしまうこともあり、非生産的な労働にもつながっているのでは?
・人手不足で労働条件が良くなっていくと、労働者は割増賃金に頼らなくても収入を確保できるようになるのではないか、その場合、割増賃金の目的の再整理が必要では?

【兼業・副業】
・割増賃金の通算を義務とすると、通算が大変なため、企業が副業・兼業を受け入れづらくなり、請負が増えて健康確保リスクにつながったり、交渉力の低い労働者は雇用の機会を失ったりする。ヨーロッパでも労働時間通算の例はない、会社ごとの労働時間で割増賃金計算にしてはどうか?

【フリーランスと労働者】
・現在は、「労働者である」ことの立証責任は労働者側にあるが、企業側に立証責任を負わせる方法も検討すべきでは?
・すべての人が労働者と判断されれば良いわけではないのでは?
・働く人自身が、自分が労働者に該当する可能性について認識し、そのことについて、公に相談したり支援をうけたりできるようにすべきでは?

【労働組合等】
・労働組合を通じて声を上げやすい環境であれば、会社に不満を持っても、退職するのではなく、改善を求めることを選びやすくなり、会社としても安定的な経営につなげることができるのでは?
・労働者側で話し合って意見を集約するということについての意識が低いのでは?教育・研修も必要。
・職場の意見を代表する、過半数代表については、任期つきにして育成したり、ひとりでは負担が重いため複数人を認めたりすべきでは?
・過半数代表者への支援として、弁護士や社労士などの外部専門家の活用も考えられるのでは?

まとめ

これまでの、会社が強くて労働者が弱いのだから労働者は守るべき、長い労働時間は悪でしかない、など、画一的に前提となっていたことが、変わろうとしています。
労働者側も、主体的にみずから動いたり学ぼうとする人と、そうでない人では、どんどん差が広がっていく状況になっていきそうです。
法律が変わるのには国会での審議など長い時間がかかりますが、いざ変わったときに自分が法律よりも変わるのが遅かったら、明るい未来はのぞめません。
法律よりも先に、私たちがまず変わっていなければと、強く思いました。

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