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投資で得た所得から社会保険料?!不公平の見直しなら先にすべきことがあるnote764日目

NISA(少額投資非課税制度)が恒久化され、新NISA元年ともいわれる今年に、とんでもないニュースが飛び込んできました。

投資で得たもうけ分(所得)から、社会保険料をとるというのです。

お金の価値が減らずに増えるデフレ時代であれば、タンス貯金も有効でした。
ですが、いまや世の中は物の値段があがるインフレ傾向で、貯金だけではなく投資もしないと、持っているお金はどんどん価値が減っていってしまいます。

それでもなかなか投資に対して前向きではない日本国民にたいしての、積立NISAやNISAの恒久化、「投資でもうけた分には税金をかけません」という「貯蓄から投資へ」作戦のはず。

そこで、「税金はかけないけど、社会保険料はかけますよ」というのは、あまりに後出しジャンケンではないでしょうか。

誘導しておいて冷水をかけるこんなことをするのであれば、今後、広めるべき制度があっても「どうせまた後出しジャンケンがあるだろう」と人は思うでしょう。

決してやってはいけないやり方だと思います。

とはいえ、確定申告している人だけが投資の所得を国民健康保険料の計算の根拠にされるのは「不公平だ!」というのも、理解できます。

ですが、そこの不公平を是正するまえに、是正すべき大きな不公平が、少なくとも2つあると思います。

1.所得だけではなく資産もみるべき

ひとつめは、その年にもうけた分である所得ではなく、いま持っている金融資産、貯金や不動産、株式なども確認して、課税なり社会保険料なりを決めるべきだということです。

現状、金融資産についてはノーカウントのため、何千万も貯蓄があるひとでも、毎年年金収入しかない人は、低所得者として扱われ、住民税がかかっていない場合もあります。

これこそ不公平ではないでしょうか?

たとえば、若い頃年金に加入できず、年をとっても年金がもらえなくて、一生懸命働いて収入を得ている人は課税され、生活していくのに十分な資産をもちながら年金をもらっている人は課税されない、ということです。

タンス貯金は把握できないにしても、金融機関が預かっているものはマイナンバーの紐づけを義務にすれば把握できるようになるはずです。

投資による所得を把握しようとするよりも、こちらが先ではないでしょうか。

2.年齢ではなく所得でみるべき

所得だけではなく資産も見るべき、というのがハードルが高いというのであれば、まず、社会保障は年齢ではなく所得でラインを引くのはどうでしょう。

いまの制度では、高齢者になると、年金は加入対象外になり保険料を払いませんし、医療費も保険料の徴収基準が現役世代よりゆるやかになります。

ですが、それなりに所得がある人も収入にゆとりのない人も、ある程度の差別化はあるとはいえ、皆ほぼ一律にそうなっているというのには、違和感があります。

特に、年金に関しては、国民年金保険料は60歳まで、厚生年金は70歳までは加入義務がありますが、それを超えれば義務はありません。

ですが、75歳で会社役員をやっている、など今の世の中は普通にあるのではないかと思います。

であれば、60歳を超えても、70歳を超えても、それこそ毎年一定の所得がある人は、年金を支給しないか、保険料を取るべきではないでしょうか?

前社の「年金を支給しない」というのは現在も在職老齢年金制度というものがありますが、「支給する年金を減らす」というよりも、年金は一律に支給するけれども、現役世代と同様の所得があれば保険料を徴収する、というほうがシンプルではないでしょうか。

しかも、既存のオペレーションででき、在職老齢年金なんて複雑な制度をひとつなくすことができます。

今後、仕事を続ける高齢者が増えていくのは間違いありません。
「働いたら年金を減らされる」よりも「それなりに所得があるから保険料を納めて社会を支える」というほうが前向きではないでしょうか。

私自身は、生涯現役が夢なので、65歳を過ぎても所得が減らなければ、年金をもらわない手続きをして現役を支えたいと思っています。
ですが、保険料を払うことができればもっといいと思ってもいます。

多様性の時代、労働力の主戦力となっていく人が増える高齢者を一律に「守るべき」という基準でくくるのは、そろそろ終わりにするべきではと思います。

そういった目に見える不公平を是正するほうが先ではないかと、強く、思います。

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