自分の足で、進むことが、大事だ。

おねいさん、1人でも、どうですか？
人力車のお兄さんに声をかけられた。大きなリュックにカメラをぶら下げた私は旅人のように見えたんだろう。全然、観光客ではないのだ。浅草は、自宅から30分で来れるのだから。

けれども、今日は浅草に泊まってみるんだ。
私は意気揚々と本日の宿に向かった。

◇

東京に引っ越してきて、駅ごとに違う雰囲気が本当に面白いなあとしみじみ思っていて。全然知らない駅で降りてみたいな、とか、逆に東京に泊まることってないよなぁとか考えていた。

今日は夫は出張でいない。
一人で家で寂しくいるくらいならいっそ、私も旅に出ようと思った。

久しぶりに歩く浅草はなんだか知らない街みたい。外国人観光客も多くて、東南アジアのどこかの国に迷い込んだような錯覚をおこす。

ぽてぽてぽて。
夜の浅草をゆっくり歩く。ザ・東京の下町な雰囲気はとてもノルタルジックで、ふと後ろを振り返ると必ずスカイツリーが見える。
青く、ほのかに輝く佇まいがとても綺麗だった。

そういえば、こんな風にあまり詳しくないところを1人で歩くのは久しぶりだ。

いつのまに、こんなに弱くなってしまったんだろう。1人で旅行もたくさんしてたのに。
彼に、誰かに頼ることが、当たり前になってしまっていたような、気がした。

自分の足で、しっかり歩かなければ。
わたしはどこにだって行けるし、こうして夜のお散歩をしている間は、何者でもなくて。
ただの、わたし だ。

それがとても心地よくて、また旅に出たいなぁ、と思った。
家から30ぷんTRIP、気に入ったのでまたやろう。近場でも、毎日とちょっと違うのであれば、それは旅だ。

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