胸中の秋

秋めくのは町の情景に非ず
冷え冷えとするのは我が胸中なのだ
若さと春とが至る所に蠢くが
私の心は老いたのだ

鳥は空を飛び交い
歌いつつ休みなく巣を営んでいる
春の世の命の蠢動をよそに
我が胸中は寂寥としている

静寂が座す 葉は枝から死に絶え
落ちて音を立てるやもう身動ぎもせず
穀物の束を打つ人はおらず
製粉所からは物音一つ聞こえない

ロングフェローの訳詩である。静寂の詩。この世の春と裏腹の詩人の胸中。これもまたロングフェローらしい詩である。

…大学の『月下の一群』には、五文字七文字の訳調が多かったので、詩作にせよ訳詩にせよ、その癖を私も受け継いだのだが、それでは訳しにくい場合もあった。ここでは文字数に拘泥しなかったが、却って訳しやすい印象を受けた。令和のいまになって自由詩の洗礼を受けている('ω')ノ





Autumn Within

It is autumn; not without,
But within me is the cold.
Youth and spring are all about;
It is I that have grown old.

Birds are darting through the air,
Singing, building without rest;
Life is stirring everywhere,
Save within my lonely breast.

There is silence: the dead leaves
Fall and rustle and are still;
Beats no flail upon the sheaves
Comes no murmur from the mill.

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