転職は日本経済を救う04 1990年10月 株式の物納を知らず延納したが、株価は下がり続ける

【相続税 延納申請】

日経平均は1990年10月にピークの約半値の2万円に下がったが、きっとまた上がる、そうしたら相続税が払える、と信じて、延納の申請をした。
だが、株価は戻ることはなかった。下がる一方だった。
とりあえず相続した株を売れば当座の延納分は払えるが、枯渇するのは目に見えている。
焦った。
相続税の額を示していないので、ぴんとこないかもしれない。
ありていに言えば会社員の平均年収の6倍以上だ。
そんな貯金はないし、この先も自腹で払えるわけがない。
絶望的だ。お先真っ暗だ。

【株式を物納できたはずだった】

しかも、そんなときに、有価証券を物納していれば、相続は完了していた、という情報を得たのだ。
理屈は簡単。相続計算の根拠になった株価で、現金の代わりに有価証券を国に納める、ということだ。
後で上がろうが下がろうが、相続税とはそういうもの。
現金はもとからないのだから、次なる資産、株式自身を納めるのは理にかなっている。
しかし、、すでに延納申請をしてしまっている。
もう取り返しはつかない。
絶望感の上塗りだ。
自分の知識のなさを、きちんとした方のアドバイスを受けなかったことを後悔した。
相続を手伝ってくれた人はいたのだが、税理士ではなく、安価にできるのでお願いしていた。
税理士がみなこのことを知っているとは思えないが、可能性はあったことを考えると、後悔してもしきれなかった。
物納できることが分かっていたとしても、今後の値上がり期待で延納を選んだかも、と考えようとしたが、やはりそれはない。
知識不足からの判断ミスだった。

知識があれば、知識を使えば生き方は変わる。世の中を渡っていける。
この時に思い知った。
思い知ったが、すぐに行動に移せたわけではない。
なにせ延納の支払いは続いているのだ。
先がない。
長女も生まれ、仕事の幅も広がってはいたが、相続税が、その対処の失敗が重くのしかかり、苦しい、厳しい日々が続いた。

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