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気仙沼ニッティング物語

いい本というのは触って、開いて、
ぱらぱらすれば読まなくても、いいとわかる。

いや、本のたたずまいから、
開かなくてもわかる。


そして開いてみたらやっぱりすごかった。

御手洗瑞子さんの新書。
気仙沼ニッティング物語
~いいものを編む会社~


たまこちゃんが、気仙沼に行って、
たくさんの人に出会い、
支え、支えられながら、
編み物のビジネスをこつこつと
何もないところから創っていく物語。

そう、これは、気仙沼ニッティングという
いわばベンチャーの話ではあるけれど
ビジネス書ではなく「物語」。

優れた物語には、
時代や分野を超えて
人の心をゆさぶる、
世や人の理を照らし出す、という意味で。


そして長く読み継がれる物語がそうであるように
読む人にとってそれぞれの物語となる。

ある人にとっては、
気仙沼という丸い地球とダイレクトにつながる
ハンティングな土地の物語であり。

ある人にとっては、
華奢な体で単身遠い知らない町にいって
そこで奮闘する女性の物語であり。

ある人にとっては、
その女性とともに奮闘する
たくさんの色鮮やかな大人たちの物語であり。

そして、ある人にとっては、
1世紀後には老舗ブランドとして
誰もが知っているブランドの
創成期の物語であり。


でも、いわゆる物語と決定的に異なるのは
この物語がリアルであるということ。
今、この瞬間も、物語は進んでいる。


没頭し一気に読み終わると
本が、こう静かに問いかけてくる感じがする。

あなたの物語は何ですか、と。


たまこちゃん、
この世にこんな物語をリアルにも
また本として生み出してくれて。

本当にありがとう。

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