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週末お遍路さん(14):「徒歩10分」を鵜呑みにしてはいけない

美しき那賀川を過ぎて、太龍寺さんへの山道に差し掛かった私達。
でもしばらくはせらせら流れる、透明度が高い小川に沿ってじわじわ上る気持ちのいい道。

ずっとこんな道ならいいのに!

「なんかもっと急激に上ると思ってたけど、こんな気持ちのいい道でいいのかな」
「1本道だから間違えるはずないしねぇ」
「ずっとこんな道だといいな~」
「いや、そんなはずはない!下り合わせて6kmでこの角度だったら同じくらいの標高まで行けるはずがない!!」

疑心暗鬼のまま進む太龍寺さんまでの山道は、3人で会話しながら歩くこともできるし、人の手が入っていないような滝もありの自然を大満喫しながらの道が半分くらい続く。

勢いのある自然の滝。夏なら飛び込みたいくらい。

そしてやっぱり、ラスボス的に登場する、最後の上り。

やっぱり登場、へんろ道(のぼり)。

いつものごとく「お水休憩したいですー」と休み休みの道のりでしたが、終えてみると確かに焼山寺さんほどの辛さはなかったかも?と思います。
いや、もちろんめっちゃ辛かったし、「マジでなんでロープウェイあるのに歩いてんだろ……私」と思いましたけど。

「まだ上るんですかねぇ……」
「いただいた千円を収めなきゃいけないから!」
「そうだ!おかあさんのためにも行かなきゃ!」

と、お接待がパワーに変わる瞬間もあったり。

焼山寺さんでもアケビのおとうさんのお使いを完遂しなきゃ!と頑張れたし、やっぱり人間て自分以外のためだとけっこう頑張れるもんなんだな、と改めて実感しました。人のために!なんて立派な思想を持ってるわけじゃないんだけど(持てよ)、自分だけだったら「かーえろっ」って思っちゃうこともあるかもな、と感じたわけです。

まだまだひたすら上る。

ちなみに太龍寺さんまでの最後の上りは、お地蔵様が「あとどんくらいだよ~」と教えてくれる「舟形丁石」なるものがあります。でも私達、上ることに必死すぎて全部チェックできませんでした。
気づくと、「あ、次忘れずにチェックしよ」とは思うんだけど、上りはじめるとすぐにアタマから抜け落ちてしまってね。

舟形丁石さん。

でも山には山頂があるもので、ぜーはーしながらようやく山門が見えた時のよろこびたるや!歩いていたのは私達以外誰もいなかったので、木々に囲まれて堂々と構えている山門、カッコよかったです。

これが見えた時のうれしさよ!達成感!

山門の直前で招き猫も発見。

しゃがんで撮影したら、立ち上がる時ザックが重くてしりもちついた。

「到着しました~」と一礼して山門をくぐり、まずはお大師さまが19歳の時に修行をした場所「舎心ヶ嶽」を目指します。

太龍寺さんは本当に大きなお寺でみどころもいっぱい。境内寄り道したいのを我慢して、「ロープウェイ乗り場から徒歩10分」と言われていた舎心ヶ嶽を目指す(舎心ヶ嶽も御朱印をいただけるので、納経前に行きたかった)。

ロープウェイ乗り場に近づくと、お遍路さんはもちろん、マキシスカートのお姉さんとかカップルとか、キレイな恰好した方々がチラホラ。

「なんか、私達ボロボロだね……」
「朝から6時間くらい山道歩いてようやくですからね……」
「好きで歩いてるんだからこんなこと言っちゃいけないけどさ、ねぎらって欲しいわ……」

そんな邪念たっぷりだった私達を見透かしたかのように、舎心ヶ嶽までの上りがまぁ激しい!
アスファルト+凸凹山道のコンビネーション。
お大師さまが修行されたという舎心ヶ嶽に辿り着くまで、八十八カ所のご本尊が道中見守ってくれているけど。
でも、見守ってくれてても、きついことには変わりないよ!

例のごとく、最初は「何番さんだ~」なんて話してたけど、途中から「いや、まだ30ですよ」「ようやく半分だよ」「まだあと20もあるよ」みたいな感じになるんですけどね。

上りでは写真撮る余裕なかったけど、めっちゃ急!

そしてこの道、ラストに鶴林寺や太龍寺でもこんな角度なかったのでは!?というエグイ角度の急坂になります。大げさじゃなく、マジで今まで生きてきた中でいちばんだったと思う。

ラストの急坂の手前に「お大師さまが迎えに来てくださいます」という文字があったのですが、例のごとく全員で見落としており、この文字に気づいたのは帰り道でした(気づいた瞬間、全員でめっちゃ謝罪した)。
せっかく迎えに来てくださっていたのに、我ら3人、全員自分のことしか考えられない状況でホントに申し訳ない!!

そして19歳のお大師さまが、100日間の虚空蔵求聞持法を修行されたという岩の上には、お大師さまのブロンズ像がいらっしゃいます。

我らは後姿しか見れなかった……無念。

鎖場を伝ってお隣まで行くこともできるみたいなのですが、ヘロヘロボロボロの私達。
先にいらっしゃったお遍路さんに「高所恐怖症じゃなければ大丈夫ですよ」と言われたけど、残りHPわずかの私達があの鎖場をクリアできる自信がない。落ちたら死よ。

お大師さまと同じ風景を見たい気持ちは強かったし、1時間休憩できればチャレンジできたと思うけど、いまの私達に1時間休憩できる時間的余裕はなし。なので、今回はお大師さまの横に行くのは残念ながら断念しました。
まぁロープウェイで来れるお寺だから、HP満タンの状態で来た時に挑戦すればいいよね。

ちなみに「ロープウェイ乗り場から徒歩10分」と言われていた舎心ヶ嶽、全然10分じゃ上れませんでした。

「ロープウェイ乗り場から徒歩10分、全然ウソなんですけど」
「ロープウェイで来て、元気もりもりなら10分で行けるってこと?」
「基本情報は6時間歩いた体は考慮してないってことなの?」

足元に最新の注意を払って急な坂道を戻りながら、相変わらずぼやきが止まらない私達だったのでした。

でも舎心ヶ嶽は本当に行ってよかった!御朱印もいただけるよ。


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