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週末お遍路さん(16):神様(お大師さま)、やっぱりちゃんと見てるわ……

21番・太龍寺さんのロープウェイで無事に地上に帰還し、予定していたバスにさっそうと乗り込む私達。どうやら下校の時間だったらしく、先客はランドセルを背負った多くのキッズたち。そっか、確かにこの辺だと学校も歩きで行くのは難しいよね。1時間に1本くらいしかないバスで登下校するのも大変だよなぁ、なんて考えながら、予定プランの半分くらいの時間で「中山中バス停」に到着。

「なんかずいぶんとまだ山の中の感じじゃない?」
「まぁでもここからお宿まで歩いて40分かかるからねぇ」
「とりあえずgoogleマップさんで道確認しよっか」

「……なんか、徒歩2時間って出るんすけど……」

え?40分では!!?

とりあえず落ち着いて確認しましょ、とバス停近くにあった倉庫の軒下をお借りして、googleマップを確認したり、私達が事前に作ったプランを確認。

「バス停、中山中ではなく山口中だったのでは!!!?」

やらかしたーーーー!!!!

「さっき、バス乗る時間短いねって話してたのそれだ!!」
「いや申し訳ない!!」
「いや確認しなかった私達が悪い!!」

誰もいない山道で驚愕しつつ、一縷の望みをかけて次のバスの時間を確認。

いや、そうですよね。次のバス、2時間後ですよね。

「タクシーか?」
「でもどこに電話したらいいのかわからんよね……」
「GOとか使えたりしないかな……しないよね……」
「とりあえず、1時間くらい歩いたら道の駅があるからそこまで行こう」

今回はプラン通りで余裕だね~とか調子こいたの、神様(お大師さま)にしっかり見られてたなぁ……。やっぱり調子に乗ってはいけない!反省!なんて話しながら、目指すは途中にある「道の駅わじき」。

道の駅なら、観光案内所とか誰かしら聞けそうな人いるよね。
ちなみに「和食」と書いて「わじき」と読む。

そして民家もまばらにしかない山道をしばらく歩いていると、道の反対側に軽トラに農作物を積み、休憩中のおばあちゃんを発見。

「すいませーーーん!」
「この辺でタクシー呼ぶことできますかーーー?」

おばあちゃん、タクシーとかご存じかな……この辺だと一人車1台生活だもんね……とは思いましたが、他に誰もいないしね!聞いてみて損はないでしょう!!と、勢い勇んでおばあちゃんに駆け寄る3人のお遍路さん。

「どうしたの~?」
「いや、かくかくしかじか、この道は歩く予定じゃなかったんですよ」
「そら大変だ」
「タクシーに迎えに来てもらうことって可能ですかね?このあたりのタクシー会社、ご存じですか??」
「このへんなら××タクシーとかかねぇ」
「電話してみます!」

と、Oちゃんか電話してくれている間、おばあちゃんと世間話。「さっきもお遍路さん歩いてて道聞かれたわ」などなど、私達と違い全行程を歩いている方もやっぱりいらっしゃる。尊敬!

Oちゃんが電話してくれたタクシーでしたが、ありがたいことに「道の駅わじき」までは迎えに来てくれるとのこと。「私達は歩きなのであと1時間くらいかかっちゃいそうだけどお迎えお願いします!」と電話を切り、おばあちゃんに丁重にお礼を伝えました。

無事にお迎えも来ていただけることになり、暗くなる前にお宿に到着できそう。安心して道の駅まで歩けるよ……。冬に近づくと暗くなるのも早いし、街灯もない場所なので、やっぱり陽が落ちる前にお宿には到着したいし(先輩は念のためヘッドランプ持参)。

「どうなることかと思ったけど、なんとかなりそうでよかった~」
「到着するまで気を抜いたらダメですよ!まだ神様(お大師さま)見てますよ!」
「道の駅、まだかなー」
「あ、看板出てきた!」
「あの陸橋のあたりでは?」

なんて話しながら、到着した道の駅わじき。

「道の駅にあるまじきひっそり感では……?」
「googleマップさんには3日前に書かれたお食事処のクチコミもあるのに……?」
「この辺、第3駐車場って書いてあるからまだ先ってこと?」
「え、ってことはタクシーどの辺で待つのがいい?」

そわそわしつつもメインと思われる建物の前に到着してみたら、なんと中は真っ暗。人っ子ひとりいない。
とりあえず××タクシーさんに到着したって電話するね、とOちゃんか電話してくれている間、真っ暗な建物内に目を凝らす、不審者お遍路さん。

「もう営業してないとかじゃないよね?」
「なんでだろう…?」
「あ!祝休って書いてある!」
「そうか!今日、祝日だ!!」
「営業してたら鹿肉バーガー食べたかったな……」

ひっそりとした道の駅の謎も解けたところで、Oちゃんから「タクシー、もう来てるって!」とうれしいひと言。あっちの駐車場かな?と歩きはじめたら、手を振ってくれるおじさまを発見。「ありがとうございますぅぅぅぅぅぅ!」と駆け寄り、本日のお宿・山茶花さんまで送っていただく。

「いやもう聞いてくださいよ運転手さん」と、降りるバス停間違えた事件についてひと通りお話し、そこそこの距離を走ってから「山口中ののバス停、ここですよ」と教えていただきました。
「まぁ山口中のバス停から宿まで歩くのも中山中から道の駅わじきに歩くのも同じくらいの距離ですからね。歩く場所が変わっただけですよ」と優しい慰めの言葉をくれました。

タクシーのおじさん、ありがとう……。
いやしかし、山口中、そこそこの距離あったな!
ほんと、あのおばあちゃんに声かけてよかった!

ちなみにおばあちゃん、なかなかのスピードで軽トラ転がして帰って行きました。カッコいいぜ。


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