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ワシントンD.C.:負の歴史に直面した「ホロコースト記念博物館」

正式名称は「アメリカ合衆国ホロコースト記念博物館(United States Holocaust Memorial Museum)」です。
スミソニアンをはじめ、博物館がひしめくワシントンD.C.で、スパイ・ミュージアムの近くにあります。

いまを生きる人間として、「負の世界遺産」にもちゃんと行って悲惨な歴史もしっかり知るべきだと思っているのですが、アウシュビッツは未だに怖くて行けない。
というのも、ここであまりにもダメージを食らってしまい、「私、現地に行ったら立ち直れないかもしれない……」と思っているから。
日本にある負の世界遺産、広島の平和記念資料館でもかなりしゅんとしてしまったので。

ここを訪れたのは、旅友ちゃんとワシントンD.C.~ボストン旅でのこと。
スパイ・ミュージアムの予約時間の前が空いてるから、午前中は近くの博物館でも行きたいよね、とホテルで探していて見つけ、「アメリカにもあるんだね」と行ってみた。

しかしここで、スパイ・ミュージアムにむけて浮かれた我らの心はバッキバキに折られたのです。
当然ながらどれも悲しい展示が多くて、本当に人がやったことなのか?と疑問しか湧き上がらないものばかり。でも、知るべき内容だとも思う。

いつもは「英語話せるようになりたいな~。美術館の解説もしっかり読めるしな~」と思っていますが、この時ほど「私、英語が理解できなくてよかった」と強く感じたことはない。それくらいショッキングな展示がたくさんありました。

ナチズムについてやアウシュビッツでどんなことが行われてきたか、強制労働や収容された方々がどんな環境のベッドで寝ていたのかなども、実際のベッドとあわせて展示があったり。

そして、強烈に覚えていて、一生忘れられないであろう展示がふたつ。

ひとつは、映像展示。
内容もですが、その見せ方にも気を使っていて、こんな博物館はじめてだった。
というのも、実際の映像がたくさんあるのですが、そこに残されているのは、改めてここには書きたくないくらい非道なものばかり。博物館は子どもも入れるし、こういったショッキングな映像を直視したくない大人だっている。なので、画面の前に1メートル強ほどのついたてを作り、その足元で映像を流しているので、大人の身長で下を覗き込まないと見えないように配慮されていました。
私も直視できなくて目をそらしてしまいたくなる映像が多かったし、いくつかは「あ……ちょっともうムリかも……」と離れてしまったものもある。
こういう表現は正しくないかもしれないけど、ホラー映画やサイコスリラーよりよっぽど非道だったし、こういった博物館ですら展示に躊躇してしまうほどのことが行われていたって、本当に理解ができなくて混乱する。

そしてもうひとつは、いろいろ見て回ったあとの最後の展示。

収容所が解放されたあとに発見された、おびただしいほどの大量の靴の山。
下記の動画だと1:40くらいの部分に出てきます。

収容所には100万人を超す方々が送られてしまったらしいけど、正直、数字で「100万人」と聞いても、現実的な人数として理解できていなかったんだな、というのを、この靴の山を目の前にして痛感した。
本当に「おびただしい」という表現がぴったりだな、と思う。
それに私が目にしたのもほんの一部だと思うと、なんて恐ろしいことが実際に行われていたんだろうと苦しくなってくるし、この中には当時の私より年下の人もたくさんいたと思うと、今まで感じたことがないくらいのショックを受けました。

起きてしまったことをなかったことにはできないけど、二度と繰り返してはいけない。

私たちはアサイチで行ったのでスムーズに入れましたが、入場するのに並ぶこともあるくらい、来場者が絶えない博物館です。

ワシントンD.C.ってスミソニアンのように、純粋に面白い博物館がたくさんありますが、こういった博物館に足を運ぶことも大切だなと感じました。

スパイ・ミュージアムに行くテンションまで盛り返すのに、1時間くらいかかったけど。
博物館出た後の私たち、あまりにもダメージが酷くて、しばらく目の前のベンチに無言で座って立てなかったくらい。ようやく回復してきて、「とりあえず、なんかドーナツとか食べよ……」と、強引に自分たちを回復させました。


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