週末お遍路さん(17):ステージ付のお宿と怒涛のお接待
遍路宿にタクシーで乗りつけること、2回目。
歩き遍路さんから絶大に支持されているお宿「山茶花」さんに到着し、宿のおかあさんに「まずはお部屋まで案内しましょうね」と連れて行っていただくと、なんとステージ付きのめっちゃ広いお部屋!
「お風呂は空いたら声かけるから」とのことなので、とりあえず全員でちょっと懐かしい昭和の旅館を彷彿とさせるステージ付のお部屋を堪能(緞帳が降りててステージには上れなかったけど)。めっちゃ広いお部屋で、思い思いに荷物を広げ、タイパ重視のお風呂ローテーションも完了。
そして山茶花さんは、お遍路さん人気が高いのも超絶納得できるほど、ご飯が豪華!
たくさんの小鉢にカワハギの煮つけ、お刺身と、白いご飯もお酒も進むラインアップ。大興奮でご飯をいただき(お隣に座られてた女性おひとりお遍路さんに「ビールも焼酎もありますよ」と教えていただいた)、満腹になったあとはお食事処に置かれていた「お接待お菓子コーナー」からデザートのミカンもいただきました。
なんかもう、こんなに豪華なご飯食べさせてもらって、しかも山茶花さんでも徳島クーポンひとり5,000円分頂いちゃって、ありがたいを通り越して申し訳ないですよ!お接待お菓子コーナーまでご用意いただいてるし!(「ご飯の前は食べ過ぎ注意」という注意書きの実家感にほっこりした)
洗濯を干すハンガーも十分にあったし、広い部屋を贅沢に使わせていただいて夜もぐっすり。
翌朝、朝ご飯をいただきながらお接待お菓子コーナーを見ると、今朝はお菓子と一緒に大きなおにぎりがずらり。
山茶花さんから22番・平等寺さんまでは8秒8歩で到着するけど、徳島県最後となる札所、23番・薬王寺さんへの約20kmは、途中に食料調達ポイントがないとのこと。非常食のカロリーメイトやお菓子はあるけど、おにぎりのお接待、本当にありがたい。ひとり1個ずつおにぎりをいただいてザックに詰め、徳島フィニッシュに向けて出発しようと部屋を出たら、お接待お菓子コーナーでお宿のおとうさんに遭遇(夜はおかあさんのワンオペだったので、おとうさんとは初対面)。
「まだおにぎりあるから、持って行きなさいよ」と、2個めのおにぎりもありがたくいただき、まずはお隣の平等寺さんをお参り。
前日に引き続き風が強くてちょっと寒かったですが、いいお天気で、人が少ない気持ちのいい朝のお寺を満喫できました。
納経も済ませ、向かうは徳島最後の薬王寺さん!
でもその前に山茶花さんの前で一服……と場所をお借りしていたら、お宿に戻ってきたおとうさんに「これから行くの?これ持ってきなさいよ」と、おにぎりに引き続き、今度は大きなバウムクーヘンをいただく。
なんか、勝手に場所借りてまたお接待いただいちゃってすみません……。
またしてもありがたく頂戴し、よし、じゃぁ23番・薬王寺さんに向かいましょう!と歩き始めて15分。キレイなお遍路休憩所があるけど、まだ休憩タイミングじゃないよねぇと思っていた矢先、
「お遍路さん!休んでいって!」
と地元のおかあさんに声を掛けられた。
どうやら年に数回、地元のおかあさん達がお遍路さんお接待をされているようで、今日が偶然そのタイミングだったらしい。私達の前にも、休憩中のお遍路さんが1組いらっしゃいました。
「寒いでしょ?あったかいコーヒーあるから。コーヒーにクリープいる?」
「鳴門金時煮たの食べて。甘くて美味しいわよ!」
「この先も大変でしょ。これ持って行って!」
まだ朝早いし、風も強くて寒いなか、おかあさん達にたくさん気を使っていただき、コーヒーと鳴門金時の煮つけだけじゃなく、お茶+あんぱんのセットまで持たせてもらいました(しかも3人それぞれ味が違うパン)。
私達は歩いてるからそこまで寒さは感じないけど、風をしのぐ場所もないお遍路小屋で(しかもおかあさんたちはお遍路小屋の外で!)いつ来るか分からないお遍路さんを待っていてくれるなんて、お接待文化が残っているとはいえ、思い出してもいろいろこみ上げてきちゃう。
コーヒーや鳴門金時をいただき、色々お話をうかがいながら、この先にある22番・平等寺さんの奥の院「月夜御水庵」までの行き方を教えてもらいました。
「新しい道ができたから、立ち寄る人も減ったのよ。月夜御水庵には、枝が一度下に向かってまた上を向く逆さ杉があるからぜひ見ていって」と、補足情報も教えてもらい、お礼の納め札をお渡ししてお別れ。
思わず「ほんと、いつまでも元気でいてね!」って言っちゃった。
ちなみにおかあさん達がお接待してくれたお遍路休憩所の目の前のバス停の名前は「月夜」。
休憩所は天井に丸い穴が開いていて、夜になるとその穴から月が見えると教えてもらいました。めっちゃロマンチックな休憩所だな!
月夜御水庵は、古くからあるお社で清廉質素な場所でしたが、おかあさんに教えてもらった逆さ杉は立派な古木!
新しい道を行くと距離はちょっと短くなるらしいですが、月夜御水庵に立ち寄っても大した距離じゃないので、機会がある方はぜひお立ち寄りを。この大杉、天然記念物指定もされています。
さて、今日は山越えはないし、ここからは海を目指して歩くのみ!
と、またしても気合を入れて歩きはじめた矢先、私達の目の前で1台の軽トラがハザードをたいて停車。
「これ持って行ってください」
と、運転していたおとうさんが窓からおもむろに差し出してくれた、コンビニ袋。ありがたく受け取ると、「気を付けてね」と颯爽と去ってしまいましたが、袋の中には飴ちゃんがぎっしり。
「なんか今日、歩きだして小一時間でめっちゃいろんなものもらったね」
「この先、食料調達ポイントないから前回以上に非常食持ってきたけど、もしかして出番ない……?」
歩き始めてたった数キロの間に、おにぎり(2個)にはじまり、バウムクーヘン、お茶+あんぱん(コーヒー+お芋も)、飴ちゃんをいただいた。
徳島県最後の札所、23番・薬王寺さんまで20km。
私達なんの心配もなく歩けそう。
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