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80代の母へ。母の日のプレゼントは赤いカーネーションの代わりに赤い○○○

最近随分と腰が曲がって来た母は長道を歩くのが困難になって来た。
時間と共に引力によって腰がどんどん前のめりに曲がって来るのがその理由だ。
徐々に胸元が押され苦しくなりすぐ椅子に座りたくなるという。
そんなこんなで出歩くことが億劫に思い始めていた。

しかし、私が帰省した機会に少しでも母には元気になって貰いたかった。
そこで伯母を誘い3人でのランチ会を企画した。

母は出かけることに少し不安そうだったけれど
「私が付き添うから」
「無理せず休み休み行けばいいから」
と説得して電車に乗って出かけることにした。

3人でのランチは楽しかった。
座っている間は腰の曲がりも全く気にならず普段通りの母だった。

さて、私はこの後実は行きたいお店があった。
あらかじめ調べておいた介護用品店。

母にとっては
え?今日急に?と言うタイミング。
「まぁまぁせっかくやしー」
と3人で覗きに行った。


杖は見た目が嫌。

両手で押す手押し車はおばあちゃんみたいで嫌。
(もう充分おばあちゃんやと思うんやけど)

体の横で片手で押すカートなら年寄り臭く無くていい。
取手にはブレーキがあるのが良い。


そんな母なりのこだわりと価値観を聞きながら3人で店内を見て回った。

そのうち母のイメージに合うカートが見つかった。
赤い色のカート。
手元にはブレーキもついている。

しかしこの期に及んで母は
「まだ今でなくてもー」とか
「今度来た時にー」とか
「待ち合わせが無いからー」
と断る理由を並べ出した。

そんな後ろ向きな母を説得するのに登場したのは姉である伯母だった。
ちなみに伯母は母とは正反対の常に楽天的で前向きな人。

「せっかく○○ちゃん(私のこと)が遠くから来てくれてるんやしー」
「次いつになるかわからんやん?」
「色もあんたの好きな赤色で可愛くてええやん」
と母への思いを私の代わりに姉らしい言葉で伝えてくれた。

「待ち合わせがない」という断る理由については
「もうっ!私が母の日のプレゼントで買ったるやん。今買ってリハビリがてらこのままカート押して帰ろうよ」
と私は思わず大風呂敷を広げてしまった。

私と伯母の押せ押せムードに母は…
「えー、悪いわ。じゃあお母さんが半分出すわ。
ごめんやけど立て替えといてくれる?」

と考えが軟化して来た。


「そうしよそうしよ」
「もうこのままカート押して帰ろう!」
私と伯母は口々に言うと店員さんに商品説明をお願いした。


店員さんは親切に
手元ブレーキの使い方。
カートについている車輪の仕組み。
最後にカートの取手は母の背の高さに合わせて調整までしてくれた。

会計を済ませ、値札も外して貰うと母はカートを杖の代わりにしながらぐるっとお店の中を一回り。


さて、ここから駅まで歩けるかな?

初めてのカート操作に心配しつつ、母の両脇を歩く私と伯母。
そんな2人を尻目に、本人は足取り軽く歩き始めた。


取手を持つことで曲がる背中を良い感じに支えているようだ。

シャンと胸を張って歩く母。
人混みも難なくカートを上手に操作しながらずんずん前進。


今回はエスカレーターと階段を避けエレベーターを選んで移動した。
そのこと以外は母の歩くペースはほぼ元気な頃と同じくらいに戻っていた。

伯母と駅で別れると、母と私の2人だけでホームに向かう。
改札もカートを押しつつ上手に通過。


帰宅後母から
「カート代半分払うわ」
と申し出があった。


私は
「ええよええよ。母の日のプレゼント。また私稼ぐから!」
と偉そうに答えた。


友人に赤いカートの写真と、母の生活の質が上がったことを伝えた。


しばらくして返事が来た。

「わぁ!赤いカーネーションならぬ赤いカート!素晴らしい母の日のプレゼントだね!前のようにスイスイ歩けるようになれたことは誰よりもお母さんご本人が1番お喜びだと思うよ」
と書かれていた。

母の心中まで思いを馳せてくれていた。
私は娘として残念ながらそこまで想像出来ていなかった。

そうだよね。
誰よりもお母さん本人が嬉しいよね。

思いやり溢れる友のメッセージに胸が熱くなった。


話しは戻る。
カート代だが、実は私のパート代から考えると決して安い買い物では無かった(さすが介護の専門店だけあって機能的にも構造的にも信頼のおける商品)

けれど私は「お金ってエネルギー」だと最近少しずつ学び始めたところだ。

母は間違いなくこのカートがきっかけで元気に出歩けるようになるだろう。
それを思うとやっぱりプライスレスだ。
こんな嬉しいことにお金を使えた私は以前より少し成長出来てるんじゃないかな?
なんて、自画自賛してみる。


さぁ連休も明ける。
またバリバリ稼ぐんだ。

そして私や周りの人が心も経済的にも豊かになれる様、またどんどん使ってこのお金と言うエネルギーをこの世に循環させよう。


大丈夫。
今の私は少しずつその流れに乗れている。



読んでくれてありがとう。
出会えたご縁に感謝します。

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