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忘れられないお客さま

一期一会

接客の仕事は
特にその言葉が
よく似合う

だからこそ
その1回に
心を込めて

ほぼ忘れてしまう
お客さま

だけど
なぜかその人の
言動は
私の頭にまだ残る

どこの誰かも
わからない
また会ったとしても
思い出せない

そんな人なのに
今もあなたの
ことが残ってて

だから
あの日から
あなたを真似て
行動しています





🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀

履歴書に書けるような資格を私は運転免許以外持っていません。

しかも夫の仕事柄、いつ引っ越しがあるかわからないので、転勤で行く先々では人材派遣の登録をして仕事をすることがほとんどです。

この時の仕事は単発で観光地の中にあるカフェコーナーに行きました。
場所柄、ほぼ観光客相手の接客です。

ある晴れた日のこと…

その女性は年恰好から旦那さんが定年でリタイアされ、ご夫婦で旅行に来られた方のようでした。
小さなオープンカフェのカウンターでご夫婦はホットコーヒーを2つ注文されました。

少し高台にあるそのお店は、見晴らしも良く、海風を感じながらコーヒーを飲むにはぴったりの場所です。

セルフサービスのカフェなので、コーヒーを飲み終えると奥様の方が2人分の空のコップを再びカウンターにいる私のところまで返しに来てくれました。

それまで私が接客した人は、恥ずかしそうに小さな声で一言「ごちそうさま」と言ってくれる人がほとんどでした。

けれど、その女性は
ハキハキとしたよく通る声で

「ごちそうさま〜!おいしかったわ!」

と私の目を見てとびきりの笑顔でコップを渡してくれました。

え!声でかっ! 

私はあまりにも予想外の大きな声と爽やかな態度に圧倒されました。
でも、その一瞬で元気を貰えた、そんな気持ちになりました。

「ごちそうさま」

も聞き慣れた言葉なのに、この女性の一言は今まで聞いたことのないくらい心がこもっていて

「美味しかったわ」

と言ってくれたコーヒーも特別に高級な豆のものでも無く、どこにでも飲まれている業務用のコーヒー。
にも関わらず…

彼女の言葉はその時の私にぐいぐい刺さりました。

もしかして、この人はどこにいてもどんなものを口にしても、いつも本当に美味しく感じる人なのかも?
と彼女の醸し出す雰囲気から私はそう受け取りました。

これはもう7.8年も前のはなしで、
しかも単発の仕事です。
なのに今も私はこの女性とのやりとりが忘れられません。

カッコいい生き方は細部にまで宿っている。
そう感じさせてくれるほどその女性は魅力的に見えました。

この日から、私も彼女の影響を受けて真似をすることにしました。

色々やってみたけど
「ごちそうさまでした。美味しかったです」
最近はこの言葉に定着しつつあります。

すると大抵お店の人は
「ありがとうございます。またお越しください」
と、言われます。

また来て欲しい
だなんて〜
と私も嬉しい気持ちになって帰ります。


歳を重ねるごとに横柄になる人もいます。
でも、そうならない人もいます。
全ては自分で選べます。

だったら私は後者を選ぶ。

あの時、一瞬で私を元気にしてくれたあの女性が頭のどこかにいつもいてくれるように。

次は誰かのそんな人になれたら良いな。
そう思っています。




読んでくれてありがとう。
出会えたご縁に感謝します。

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