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【507/1096】観劇記録 「ケンジトシ」

映画や演劇を観た記録を全部はつけておけないのだけれども、書けるときには書いておこうと思う。

SISカンパニーの「ケンジトシ」を観た。

2020年4月に公演予定だったのであるが、コロナ禍の影響で延期となり、満を持しての公演となった。
主演の二人がそのまま出演してくれたのは嬉しい。

【あらすじ】
やっと雪解けの終わった寒村のはずれです。土塊に佇んで、その土塊に視線を落としたまま先程から少しも動かぬ、お釜帽と外套の男が在りました。
そこに通りかかった軍服と長靴の男が尋ねます。
「この辺りに、宮沢賢治という男の住まいがあると聞いたのだが、何処へ行けば会えるだろうか」
「ケンジか。アレなら、どっかの畑さ、いるべ」
外套の男はそう答えると、去っていきました。
そこへ綿入れに雪袴姿の若い女性が駆けて来ました。
ケンジの妹、トシです。
先程の外套の男こそ、軍服の男イシワラが尋ねたケンジでした。
季節はめぐり、岩手山が美しい初夏の景色です。
ケンジはトシに言います。
「ほんとうの菩薩というのは、みがけはバガでのろまでデグノボーだ」そんなケンジとトシの姿を、イシワラと記録係のホサカがみつめています。
そしていつしか姿を消したトシのことを、おろおろと捜すケンジの姿が在りました。

【キャスト】 (以下敬称略)

中村倫也 : ケンジ
黒木華 : トシ
山崎一 :イシワラ
田中俊介 : ホサカ
河内大和 : コロス
野坂弘 : コロス
依田朋子 : コロス
《ビオラ演奏》徳高真奈美

SISカンパニーホームページより

北村想の戯曲は、独特の世界観があるので、予習してから行こうと思っていたのに、忘れた。
私にとって、宮沢賢治は、パンフレットの山崎一さんのコメントにまるで同じことが書いてあって驚いたが、「好きだけど読み込んでない」ものである。
子どもに読み聞かせするのに少しずつ読み直しているところ、という具合なので全然詳しくない。
作品名は知ってるし、だいたいの内容も覚えてるけども、背景まで読み込んでないし、宮沢賢治の歴史はほとんど知らない。

なので、やっぱり、もう少し予習してから観たらよかったなあと観終わった後に思った。

冒頭、陸軍のイシワラが出てきて、石原莞爾のことかいな??と思ったけども(そうだったけど)、石原莞爾とケンジのつながりが見えなくて、うーむーとなってしまった。
なんというか哲学的で、文学的で、宇宙的な作品だった。
難解度は高いので、どのように理解するかは観る人次第みたいなところなのかな。
だから、まあ、予習してもつながりが見えたかは怪しい。

ケンジと妹のトシとの関係性が、独特でとても面白かった。
兄妹ではあるが、同志で理解者で、同じ信仰を持つもの同士でもあった。(宮沢賢治は法華教を信仰していた。)

主演の二人がとてもよかった。
中村倫也を舞台で観たのは初めてだったのだが、すごくよいですね。
トシがいなくなって慟哭しながら、トシをいとおしんでいるシーンの演技が胸を打った。
黒木華、すごい女優になりましたねえ。
2010年の野田さんと勘九郎さん(当時)との3人芝居「表に出ろいっ!」で観たときから光るものがあったけれども。
こういう人は、女優以外の仕事はできないだろうよって思う女優になった。

すっごい難しい言葉を使って、ケンジのことを解説しているシーンの黒木華がすごいよくて、なんというか難しい言葉を使っているが、すごく優しいと言う感じだった。
セーラー服ももんぺもよく似合う。

シアタートラム、久しぶりに行った。
三軒茶屋に行ったのが引っ越してから初めてかも?と思ったので、3年ぶりくらいだ。
バスで、小さな冒険的に行ってみたら楽しかった。

やはり、舞台はよい。

では、またね。


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