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【554/1096】人として~NHK「ルポ死亡退院」を見て

NHKの「ルポ死亡退院」を見た。

患者さんから相談を受けた弁護士への相談場面。
「あそこに戻ったら殺される」
「怖い」
「死にたくない」
などと訴える患者さんは40代の男性で軽度の知的障がいがあり、統合失調症を発生していて、透析が必要な状態で、その状態の患者さんを受け入れることができるのが八王子にある滝山病院だった。
相談から2週間か3週間後、その患者さんは死亡する。
滝山病院は、死亡して退院する率が7割にも上る、「死亡退院」の病院だった。

病院の内部告発の映像は、日常的な暴力が映し出されており、病院長や看護師長などが話している言葉からも、患者さんを「人として」見ていないことがわかる。
この病院のスタッフも、「人として」扱われていない。
その「人として人と接する」ということが失われるということの恐ろしさがこのドキュメンタリーに映像としておさめられていた。

病院長は、2001年、入院していた患者の40名以上が不審死をしたことが明らかになり、生活保護の患者からの診療報酬の不正受給などで、2002年事件となった朝倉病院の元院長。
その事件で保険医の資格を抹消された。
ところが、滝山病院の院長になっていたのは、なんと保険医は5年ごとに再申請できるらしく、2006年に再登録されていたという。
厚労省の審査はどうなっているのか?とNHKが取材を申し込んだところ、「個別の案件にはおこたえできません」という回答だった。

この病院に入院している友人を転院させたいという相談を受けた冒頭の弁護士さんが、なんとか転院先を見つけて、その患者さんを滝山病院から退院させることができたところで、番組は終了した。

誰か一人が悪者だからこうなった、ということではなく、いろいろなことが複雑に絡み合って、この状態になったというのは理解できるが、この状態になるまで放置してしまえるシステムになっているのはやはりおかしい。

人を人として見ていないところに、暴力は容易に起こる。
命が軽く扱われる。

先日観た映画「生きる~大川小学校 津波裁判を闘った人たち」でも、「人として」ということを遺族が言っていたのが印象に残っている。

イタリアのバザーリアが精神病院のない世界を対話で実現させた。
むかし、Mattoの町があった」という上映会に参加したことがあり、その取り組みに感銘を受けた。

日本はこの精神的な病気に対する差別意識が根深い。
けれど、イタリアで実現できたことが日本で実現できないということはないのではないか?と思っているし、すべての人が人として尊重される社会になるように、自分ができることを模索して、行動していきたいと思う。

では、また。


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