見出し画像

「どうせ話すなら自分よりも若い女がいい、ただそれだけだ。」と言っていた定年近い役員の1年半後

エグゼクティブ層のコーチングを担当して約3年。今日、定年間近の役員の方とのセッションが終わった。この1年半くらいはすごく勉強になったので少し書く(俺のこと書いて良いぞと言われた)。その方ははじめ

「お前に何ができるんだ」
「これになんの意味があるんだ」
「俺の悪いとこを矯正しようってのか」
「どうせ話すなら若い女がいい、あんたを選んだのはそれだけだ」

と、まぁまぁ圧が強めな感じだった。その為わたしははじめコーチとしてのスタンスを取れず。まずは関係作りにじっくり時間をかけることにした。 

基本の傾聴、コーチとしてNCRWでいること、わたし自身がその方のインパクトで共にいられないものは何か。など、コーチとして自分自身にもその都度伸びしろがないかを見直した。

「今日は何についての時間にしましょうか」
「わからないな」
「自分の理想の将来についてなんて、わからない。考えたこともないね」

リスケも多くありながら、そんなやり取りが3ヶ月くらい続いたある日。変わらず基本を徹底し、丁寧に傾聴と、わたしが出来うる限りのコーチとしてのスタンスを貫いてみた。正直、セッションの前は気持ちがどんよりしていたことも1度や2度ではない。そして、仕事と関係のない話をする中で、はじめてその人が「自分の内側の話」をしてくれたことがあった。

私にとっては、そのお話は日常的に友人たちとする話だったが、その方にとっては、滅多に人に話すことは無いと言う。その時気づいたのは、この方は仕事を戦場のようなものでみていて、自分の内側を出すことは御法度の世界で生きてきたんだな。だから、そもそも内側の話をすること自体の経験や、そこから得られる世界についても未知なるものがあるのか。と新鮮な気付きをもらった。

半年あたりから、その方のコーチングへの向き合い方が変わった。
イヤイヤ月1回だったのが、3週に1回、隔週に増えた。

10ヶ月をすぎた頃、それまで一切出てこなかった、自分の思う課題を口にしてくれた。1年経つ頃には、宿題にも取り組んでくれるようになった。そして最終回の前には、「自分の理想の未来」について語るようになっていた。お顔はとても穏やかで、勇敢さもあって、年上の男性には少々失礼かもしれないけれど、とってもチャーミングだなと思った。

今日は最終回だったんだけど、お互いこの期間を振り返って感謝と応援とで終わった。「最初怖くてびっくりしましたよ!勘弁して〜とおもいました」「えーそうだっけー?」と言いたいことを忖度なく言い合える関係性になっていた。

「こんなに自分のことを話したことは、人生でほとんどないに等しい。話聞いてもらうって、いいんだな。俺も人の話聞かないとな。俺のことさ、何かに使ってくれて良いからな。あんたの仕事になるかもしれないじゃん。」

コーチの変更を依頼するも出来たけど、プロとして絶対に逃げないでやってみようと自分とクライアントと向き合った期間だった。頑張ってよかった。Mさんありがとうございました。

いつでも自分を素晴らしく成長させ、豊かな世界を見せてくれるコーチング、大好きだなあ。

読んでくださり本当にありがとうございます。サポートしていただけるとその分うれしさの極みで、調子に乗ってどんどん記事を書き始めます。ぜひお願いします。