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効率

(下記は2005年に書かれた記事を再投稿しています。)
なんでも、人間というのはやっぱり最大一馬力くらいはあるそうですね。
でも、常時出せるのは0.3馬力とかそんなもんだそうです。
自転車のロードレーサーはそれでも、えらいスピード出しますね。
そうなんです、自転車のパワー効率は他の乗り物の比ではなく、大型の鳥に匹敵するそうです。
(何のことかわからん?)
実際、ツール・ド・フランスの平均時速は時速40キロに達します。あのアルプス、ピレネー越えを含んでですよ。平地とかではそれこそ70キロとか出したりします。ほんと自転車選手は細い人多いのに、ちょっと信じられません。

これは筋肉を極限まで目的のために絞った結果で、そのほとんどが自転車で走るためのものです。しかも、少量で異常に代謝し、力を持続させることができる筋肉なのです。
よって、それ以外のことはほとんどできません。階段とか上がるとすぐにへたりこんでしまう自転車選手が結構いるそうです。やっぱり鳥に近いですね、そうじゃないと勝てない。

最強といわれる自転車選手にアメリカのランス・アームストロングがいます。
ツール・ド・フランス6連覇の偉業を続けている選手ですが、彼はトライアスロン出身で、それは走ったり、泳いだりしなければいけませんから、以前は競輪の選手のようなごっつい体つきをしてました。だからスプリントは早いけれど超長距離ではその筋肉が重くて、いい成績を残せなかったんですね。

彼に最強の体を与えたのは実はガンでした。闘病生活のはてに体の筋肉がほとんどおちて、そこから必要な筋肉と心肺機能だけを強化した。復帰の1999年突然彼は優勝します。ものすごく強くなって帰ってきた。もちろんガンに打ち克った精神力の賜物でしょうが、神はこの地獄からの生還者に密かなプレゼントを用意していたといえます。

ともかく自転車。人間が自分の力で馬よりも早く走れるなんて本当に素敵だと思います。効率の追求によって全くちがう世界が開けるのです。
あ~、早くツール・ド・フランス始まらんかな。

(2005.2.20初出)
追記:
ご存知の通りランス・アームストロングは2012年全米アンチドーピング機関(USDA)の記録抹消と「永久追放」宣告をされて、翌年には自身もドーピングを認めた。彼はスポーツ史上に残る巨悪となった。分かんないですねぇ、人間なんて。
でもランス・アームストロングの記録は抹消されても、彼によって自転車レースが好きになった記憶は残るんですよね。2003年のウルリッヒ、ヴィノクロフとの三つ巴の死闘は忘れられません。消すことはできません。

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