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悪魔の酒精分(2)

恐ろしい映画の代表みたいにいわれる「エクソシスト」は、この悪魔の酒精分の伝え方がおそろしくうまかったと思います。
今見ると随分展開の遅い話なんですが、前半、普通の家族の苦労話がある分、加速度的におかしな方向に進む後半のドライブ感というのはすさまじい。
そして悪魔くん。言葉を逆転して話し、頭のよさを誇り神父を試す、その母親の口真似して弱点をつくずるさ。これは人間の持っている悪知恵ですよね、だからこそ絶対悪をイメージできる。
なにより「悪魔は人の心の中に潜んでいる」という原則を守ったことが重要で、2重3重に人格が出てくる様は、ビジュアル含みで悪魔です、って出てくるよりはるかに怖い。いきなり首がぐるぐる回ったり、宙に浮いたり、逆さに階段下りてたら、逆に笑っちゃいますよ。それ以前に実体のない悪魔の酒精分に酔わされているからビジュアルが効いてくる。映画史に残る恐怖の名場面が生まれたのだろうと思います。
いくつかは実際にあったことなんですよね。このリアルな異常さはちょっと普通の脳みそでは考えられない。

「エクソシスト」が他のホラー映画と圧倒的に違う部分はリアルさですね。後半に入るまでこの映画に悪魔は登場してこない。かわった病気の話で、主人公のカラス神父自身も信じてない。だが徐々にじりじりと「悪魔の影」が見えてくる。だからこの映画は怖いんですね。一方、「悪魔祓い師」メリン神父がタクシーで登場した時には拍手喝采となります笑


原点にして頂点といわれます。その後、「エクソシスト」的オカルトやホラーが多数登場しますが、ビジュアル面だけ引き継いだものや、存在としての悪魔が確かなものがほとんどです。当の「エクソシスト」も続編にはパズズがキャラクターとして認知されている分、安心感がある。ま、結構おもしろいのですが、やっぱり悪魔は半分リーガン自身なんじゃないか?というアプローチだとよかったのに、といまだに思います。

『エクソシスト』(The Exorcist)は、1973年のアメリカ合衆国のホラー映画。監督はウィリアム・フリードキン、出演はリンダ・ブレア、エレン・バースティン、ジェイソン・ミラーなど。 少女に憑依した悪魔と、自らの過ちに苦悩する神父の戦いを描いたオカルト映画の代表作であり、その後さまざまな派生作品が制作された。本国において1973年の興業収入1位を記録した。第46回アカデミー賞の脚色賞と音響賞を受賞。

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