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ストラトス洗礼(2)

ストラトスというのは「成層圏」という意味の造語みたいですね。
クサビ形の未来的フォルムを身にまとったランチア・ストラトスはそれこそ、時代を高高度でちぎっていった車でした。
そのカタチは鬼才マルチェロ・ガンディーニによるもの。多くの革新的な車を世に送り出したガンディーニデザイン※の中でもカウンタックと並んで最も異常なカタチの車がストラトスでした。ただ、多くのスーパーカーと違っていたのは完全に「ラリーで勝つためのデザイン」であったということです。
軽自動車よりはるかに短いホイールベースはクイックな回頭性に、サイドまで回りこんだフロントウィンドーはコーナリング中の視界確保に役立ちます。ガンディーニにこの勝つためのデザインを要請したのはランチア・ラリーチームのチェーザレ・フィオリオ監督(一部ではチェザーレとも)、シャシーを仕上げたのはジャン・パオロ・ダラーラ(ダラーラってF1ありましたよね)でした。まさにこれは3人の男の夢の結晶といっていいでしょう。
さらにエンツォ・フェラーリに頼み込んで、供給を受けたフェラーリ・ディノの2.4リッターV6エンジンがミッドシップに載るのですから、これ以上のドリームはありません。
期待を受けデビューしたストラトスは74.75.76年世界ラリー選手権3連覇をはじめ、あまりに多くの伝説的な成功を成し遂げます。
当時の映像を見ると、他の車と動きが全然違うんですね。ミズスマシのように雪面をスライドしていくアリタリアカラーのストラトスとか、ホントしびれます。
子供ばかりか、大人に夢の続きを見せてくれるスーパーカー。それがストラトスです。

余談ですが、、
企画者フィオリオは、後にストラトスのエンジン供給を受けたエンツォのフェラーリF1チームの監督となり、プロスト、マンセルを擁しアイルトン・セナを追い回すんですが、その始まりは、このストラトス完成までに発揮した強烈な “プロデュース能力”が買われたのだと思います。
一方、ストラトスは70年代末、堂々勇退ということになるのですが、夢には続きがあったのです。(また続く)

★インタビューを受けるフィオリオ  
マクラーレンのロン・デニスとの口ゲンカと並んで90年代初頭のF1によく見られた光景

※ガンディーニは当時イタリアのカロッツェリア「ベルトーネ」のチーフデザイナー。ランボルギーニ・カウンタック、シトロエンBX、マセラティ・クワトロポルテ、ルノー5、なんかをデザインしました。

◆ストラトス洗礼(1)https://note.com/mazetaro/n/n6d9f212dd37a
◆ストラトス洗礼(2)https://note.com/mazetaro/n/ned131c4c6721
◆ストラトス洗礼(3)https://note.com/mazetaro/n/n62e80466ed0f

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