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手すりの「太さ」を細かく刻む

当社の室内用手すりシリーズで使用する木製の丸棒には、φ35mmとφ32mmの2種類があります。(φは直径のこと。)
3mmしか違いがないので、見た目には差がさっぱり分かりません。

ツヤツヤの「グロス丸棒」ディンプル付

しかし弊社社員なら、そのへんに1本転がっているカットサンプルを拾えば即座に「あ、これφ35mmのほうだわ」と分かってしまうんです。
…例外は認めてあげてくださいね。

今回は室内用手すりシリーズを例に、手すりの「太さ」のお話をさせていただきます。


たった直径3mmの違いで、2種類?

35mmも32mmも誤差の範囲内じゃないの?と思われるかもしれません。
何を隠そう、当初は私もそう思っていました。

しかし目視ではなく手の感覚なら、明らかに違うんです。手ってすごい。

手すりの太さは視覚より触覚で

ここで算数の時間にしましょう。円周は直径×3.14なので
●φ35mmの円周は 35×3.14=109.9mm
●φ32mmの円周は 32×3.14=100.48mm
実は直径の差が3mmでも、手が触れる円周部分には約9.42mmの差がでてくるんですね。そう考えれば「握れば差がわかる」のも、うなずける気がしてきました。


手すりの太さを使い分ける(一般論)

一般的にはφ35mmくらいの太さは手を滑らせて移動する「摺る(する)」使い方に向くとされています。
ハウスメーカー様などが、廊下や階段の手すりに多く採用されている太さもこちら。

「摺る」手すりの例。

それに対してちょっと細めのφ32mmは、ぎゅっと「握る」使い方に向いています。トイレの手すりや玄関上がりかまちの手すりには、細い方がおすすめ。

「握る」手すりの例。

とはいえ、使われる方の手の大きさや感覚はそれぞれ。小柄な女性であれば、廊下にφ32mmの手すりをご採用いただくことも多々あります。


強度との関係もありまして

同じ材質なら、円柱(丸棒)は太い方がもちろん強い。
強度を担保したいなら、細い手すりはブラケットの数を多くしなければいけません。

弊社室内用手すりシリーズでは、φ35mmとφ32mmでブラケット(支柱)の取付け最大ピッチを下図のように定めています。

()内の数字がφ32mmの場合。

ところで、駅や公共施設の手すりを握って「なんか太っ!握りにくっ!」と感じたことはないでしょうか。
それ、おそらくφ40mm~φ45mmくらいはあったかと。

こういうところの手すりは太め。

不特定多数の方が毎日使用される公共の設備は、どうしても強さが重視されます。そのため、ひと昔前までは強度の高い、つまり太い直径の手すりが定番だったのではないでしょうか。

近年はバリアフリーの研究と普及が進んだおかげか、駅や公共施設でも握りやすい太さの手すりを設置されている所が多くなりましたね。



手すりの設置をご検討の際は、実際に手すりを使う方にあわせて太さをお選びいただいた上で、施工ルールの違いもしっかりご確認ください。

木製手すり棒のカットサンプル、施工マニュアルなどもご用意しております。

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